ギガンティア大陸戦記

葉月麗雄

文字の大きさ
上 下
58 / 118
両雄激突編

再会 前編

しおりを挟む
ティファはロビー、ソフィアと共にブラウゼンへの道中であった。
ベンタインからは馬で一日の行程であるが、三人は徒歩で三日かけて来た。
馬を使わなかったのはロビー、ソフィアと初めて組んで戦いに出るため、話す時間が欲しかったからである。

ここでティファは自分の考え方、やり方をロビーとソフィアに話し込み、二人はそれに納得してくれたようだった。
ティファに興味を持ってついて来てくれた二人だったので、一度築いた絆はそう簡単に崩れないとわかってティファにとっても有意義な三日間であった。

「二人はレイラとマリアに会うのは初めてだよね。とっても頼りになる味方だから安心して。まあ、マリアは少しぶっきらぼうだけどね」

「妹さんはどんな感じなんだ?」

「そうね、私と正反対って言っていいかも。顔つきも精悍だし背も高い。私は剣の才能がないから、そっちはレイラに任せっぱなしでね」

そんな会話をしているうちにブラウゼンに到着した。

「ベンタインよりレオニード少将の応援として参りしたティファニーです。ここにいるのは同じく応援として参りましたロズヴィータとソフィアです」

ティファが門番にそう伝えると、すでに周知済みのようで、門番はすぐに対応してくれた。

「お伺いしています。お役目ご苦労様です。どうぞお入り下さい」

門をくぐったと同時にティファたち三人は驚いた。

「これは。。」

ブラウゼンは東西に四、五キロ、南北に四、八キロとほぼ四角形の中に上からみると碁盤の目のように道と街が整然と並んでいるような作りになっている。

「凄いな、首都オルジュよりはるかに大きな都市だ」

ティファが驚いていると門番の兵士が簡単に街の説明をしてくれた。

「この街は帝国首都ハーフェンを手本にして作られた都市だと聞いております」

「ハーフェンを基盤にしてるんだ。何か理由があるの?」

「私には守るにこの作りが一番効果的だということしかわかりませんが、ここは千年以上前からの要害ですからね。その当時からある要塞都市はみんなこのような形状という事ですよ。城の城壁は三重にしてありますし、万一敵に侵入されてもこの碁盤の目のような通路が相手の目くらましになるそうです」

「なるほど、さすがに要害というだけあるね」

ロビーとソフィアがブラウゼンの威容に驚いていると前からよく知っている顔がこちらに向かってきた。

「ティファ!」

「レイラ!」

「久しぶり。逢いたかったよ」

「私もだよ。元気にしてるようで嬉しいよ」

ティファとレイラの姉妹は久しぶりの再会にお互い抱き合って喜んだ。

「みんな、私の妹のレイラだよ。よろしくね」

「姉がいつもお世話になっています」

「へえ、聞いてはいたけど、確かに姉妹で全然雰囲気違うや。ティファはいかにも役人って感じなのに妹さんは颯爽とした騎士だね」

ロビーとソフィアが初めて会うレイラを見て姉妹で全然雰囲気違うのに驚いた。

「私は剣術が苦手だったから兵法を学んだんだけど、レイラは剣術の才能あったからね」

「私は自分に剣術の才能があるかなんてわからないけど、ミュラー将軍の教えに恥じないように日々努力しているだけだよ」

「ティファ、久しぶり」

「あ、マリア。マリアに逢うのはオルジュで盗賊の一件があった時以来だね。いつもレイラがお世話になってます」

「とんでもない、私の方こそ色々と助けてもらっていますよ」

「この人も強そうだな」

「レイラさんとマリアさんはこのブラウゼンでも最強の剣士ですからね」

門番がそう言うとロビーは感心しきりだった。

「そうなのか?さすがに雰囲気あるよ」

「私たちだってまだ山賊の雰囲気のカケラくらいあるかもよ」

ソフィアがそう言うとレイラが思わず「山賊?例の水鉄砲で退治されたって言う?」と言ってしまいティファにたしなめられた

「レイラ、そんなにはっきり言う物じゃないよ」

「あ。。ごめんなさいね」

「まあ、本当の事だしな。その点に関しては返す言葉もないや」

「みんな、過去や経歴は色々違うけどこれからは一緒に過ごす仲間だからね」

「そうだね。ロビーさんにソフィアさん、あらためてよろしくね」

「あ、こちらこそよろしくな。。じゃなくてよろしくお願いします。。」

レイラとマリアにかしこまって挨拶されて、またも恐縮したロビーにティファは可笑しくなった。

「とりあえずここじゃなんですから司令部のある建物に移動しましょう。ティファ、ここからは私が案内するよ」

「レイラありがとう」

門番はティファたちにお辞儀をすると持ち場に戻り、ここからはレイラに案内役が変わった。
ティファたちはレイラの先導で司令部があるという街の最深部に移動した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

無職ニートの俺は気が付くと聯合艦隊司令長官になっていた

中七七三
ファンタジー
■■アルファポリス 第1回歴史・時代小説大賞 読者賞受賞■■ 無職ニートで軍ヲタの俺が太平洋戦争時の聯合艦隊司令長官となっていた。 これは、別次元から来た女神のせいだった。 その次元では日本が勝利していたのだった。 女神は、神国日本が負けた歴史の世界が許せない。 なぜか、俺を真珠湾攻撃直前の時代に転移させ、聯合艦隊司令長官にした。 軍ヲタ知識で、歴史をどーにかできるのか? 日本勝たせるなんて、無理ゲーじゃねと思いつつ、このままでは自分が死ぬ。 ブーゲンビルで機上戦死か、戦争終わって、戦犯で死刑だ。 この運命を回避するため、必死の戦いが始まった。 参考文献は、各話の最後に掲載しています。完結後に纏めようかと思います。 使用している地図・画像は自作か、ライセンスで再利用可のものを検索し使用しています。 表紙イラストは、ヤングマガジンで賞をとった方が画いたものです。

【新訳】帝国の海~大日本帝国海軍よ、世界に平和をもたらせ!第一部

山本 双六
歴史・時代
たくさんの人が亡くなった太平洋戦争。では、もし日本が勝てば原爆が落とされず、何万人の人が助かったかもしれないそう思い執筆しました。(一部史実と異なることがあるためご了承ください)初投稿ということで俊也さんの『re:太平洋戦争・大東亜の旭日となれ』を参考にさせて頂きました。 これからどうかよろしくお願い致します! ちなみに、作品の表紙は、AIで生成しております。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

健太と美咲

廣瀬純一
ファンタジー
小学生の健太と美咲の体が入れ替わる話

旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます

竹本田重朗
ファンタジー
転生石原閣下による大東亜戦争必勝論 東亜連邦を志した同志達よ、ごきげんようである。どうやら、私は旧陸軍の石原莞爾に転生してしまったらしい。これは神の思し召しなのかもしれない。どうであれ、現代日本のような没落を回避するために粉骨砕身で働こうじゃないか。東亜の同志と手を取り合って真なる独立を掴み取るまで… ※超注意書き※ 1.政治的な主張をする目的は一切ありません 2.そのため政治的な要素は「濁す」又は「省略」することがあります 3.あくまでもフィクションのファンタジーの非現実です 4.そこら中に無茶苦茶が含まれています 5.現実的に存在する如何なる国家や地域、団体、人物と関係ありません 6.カクヨムとマルチ投稿 以上をご理解の上でお読みください

処理中です...