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両雄激突編
不安 前編
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キルス歴一〇九六年も三月に入り、冬のどんより薄暗い空は青空に変わり、新緑の緑色と青空よコントラストが鮮やかな季節にになっていた。
自由貿易都市ザラメス。
人口は三万人ほどであるが、ロマリア帝国の南東、タスマニア王国の南西に位置し両国の人々が自由に行き来出来る都市で、日中は人口の倍以上もの人たちが往来する都市である。
街の大きさは帝国首都ハーフェンとほぼ同じ五百ヘクタールほどであるが、賽の目上の道路には肉、野菜、小麦といった食料品から武器、防具屋に居酒屋もあれば家具や宝石を売る店も軒並み揃っていてここにくれば手に入らない物はないという商業都市である。
ザラメスはおよそ八百年の歴史を持つ古都でもあり、自由貿易都市としての地位を確立させた。
非戦闘地域でもあり、帝国とタスタニアの両国がこのザラメスで戦争を行う事も両国の軍隊がここを通過する事も固く禁じられていた。
街中で帝国兵士とタスタニア兵士が顔を合わせても揉め事は一切禁止で破った者は即処刑という厳しい規程が設けられており、街中で互いの兵士たちが鉢合わせになっても何事もなく素通りするのみであった。
シャローラは情報収集のために首都オルジュから月に一回ザラメスへ赴くのが任務の一つである。
ここで何件かの居酒屋の経営をおこなっている店が、裏ではロマリア帝国を始めとする諸外国の動きを旅人たちから聴き込みするタスタニアの諜報機関であった。
色々な人たちが客として出入りするので情報も比較的入手しやすかったが、それを必要不必要に分別して報告書として仕上げるのがシャローラの役目だ。
噂に過ぎない事もあれば、真実味を帯びている話しもある。
最終的な判断はその報告を受けるシュミット国王に委ねるが、それでも下手な物は提出出来ない。
これはと思った事はさらに調べを進めるし、明らかな噂の類のものであれば捨てる。
各店の諜報員は、集めてきた情報をシャローラに提出するのが役目なので、そこから後はシャローラの判断で分別されていく。
「ティファも頑張ってるみたいだし、私も頑張らなきゃいけないな」
ティファがベンタインで山賊退治した件はシャローラの元にも入ってきていて、同級生の活躍は励みになるし自分も頑張らないとという気持ちにさせてくれる。
「気になる事といえば、ブラウゼンのレオニード少将がルンベルク要塞を攻めるという噂が流れているけど本当なのかな?このザラメスにまで流れている噂がルンベルクに届かないはずがないよね。相手に待ち構えられているところを攻撃して勝つ見込みあるとは思えないし、第一に首都オルジュはこの件を許可してるのかな?」
シャローラはそう不安に感じながらこの件をパトリシアへの報告書としてまとめていた。
ベンタインで役所仕事をこなしているティファはロビー、ソフィアという新たな仲間と共に街の整備や食糧の管理を日々こなしていた。
ロビーとソフィアは元山賊というのが信じられないほどティファの手助けをしてよく働いた。
元々この二人は完全な悪人ではなく生きるための手段として山賊をしていたので、自分たちが信用出来る人間に対してはむしろ従順であった。
「ティファ、何でも言ってくれよ。ティファがわざわざ動かなくても命令してくれればオレたちがやるからさ」
「ロビーありがとう。もう十分すぎるくらい助かってるよ」
ロビーは山賊の頃から筋力を鍛えるために力仕事を行っていて、開墾や整地の際に大木や大岩を排除する作業では男たちが動かせない大木や岩を軽々と動かして周囲の人たちを驚かせていた。
またソフィアはすぐれた話術で情報収集を得意としていて、ブラウゼンを取り巻く周辺の様子や帝国の動きなども旅人たちから仕入れて来てくれて二人はティファにとって今やなくてはならない存在となっていた。
そんな折、ソフィアが不穏な噂がある事を聞きつけていた。
自由貿易都市ザラメス。
人口は三万人ほどであるが、ロマリア帝国の南東、タスマニア王国の南西に位置し両国の人々が自由に行き来出来る都市で、日中は人口の倍以上もの人たちが往来する都市である。
街の大きさは帝国首都ハーフェンとほぼ同じ五百ヘクタールほどであるが、賽の目上の道路には肉、野菜、小麦といった食料品から武器、防具屋に居酒屋もあれば家具や宝石を売る店も軒並み揃っていてここにくれば手に入らない物はないという商業都市である。
ザラメスはおよそ八百年の歴史を持つ古都でもあり、自由貿易都市としての地位を確立させた。
非戦闘地域でもあり、帝国とタスタニアの両国がこのザラメスで戦争を行う事も両国の軍隊がここを通過する事も固く禁じられていた。
街中で帝国兵士とタスタニア兵士が顔を合わせても揉め事は一切禁止で破った者は即処刑という厳しい規程が設けられており、街中で互いの兵士たちが鉢合わせになっても何事もなく素通りするのみであった。
シャローラは情報収集のために首都オルジュから月に一回ザラメスへ赴くのが任務の一つである。
ここで何件かの居酒屋の経営をおこなっている店が、裏ではロマリア帝国を始めとする諸外国の動きを旅人たちから聴き込みするタスタニアの諜報機関であった。
色々な人たちが客として出入りするので情報も比較的入手しやすかったが、それを必要不必要に分別して報告書として仕上げるのがシャローラの役目だ。
噂に過ぎない事もあれば、真実味を帯びている話しもある。
最終的な判断はその報告を受けるシュミット国王に委ねるが、それでも下手な物は提出出来ない。
これはと思った事はさらに調べを進めるし、明らかな噂の類のものであれば捨てる。
各店の諜報員は、集めてきた情報をシャローラに提出するのが役目なので、そこから後はシャローラの判断で分別されていく。
「ティファも頑張ってるみたいだし、私も頑張らなきゃいけないな」
ティファがベンタインで山賊退治した件はシャローラの元にも入ってきていて、同級生の活躍は励みになるし自分も頑張らないとという気持ちにさせてくれる。
「気になる事といえば、ブラウゼンのレオニード少将がルンベルク要塞を攻めるという噂が流れているけど本当なのかな?このザラメスにまで流れている噂がルンベルクに届かないはずがないよね。相手に待ち構えられているところを攻撃して勝つ見込みあるとは思えないし、第一に首都オルジュはこの件を許可してるのかな?」
シャローラはそう不安に感じながらこの件をパトリシアへの報告書としてまとめていた。
ベンタインで役所仕事をこなしているティファはロビー、ソフィアという新たな仲間と共に街の整備や食糧の管理を日々こなしていた。
ロビーとソフィアは元山賊というのが信じられないほどティファの手助けをしてよく働いた。
元々この二人は完全な悪人ではなく生きるための手段として山賊をしていたので、自分たちが信用出来る人間に対してはむしろ従順であった。
「ティファ、何でも言ってくれよ。ティファがわざわざ動かなくても命令してくれればオレたちがやるからさ」
「ロビーありがとう。もう十分すぎるくらい助かってるよ」
ロビーは山賊の頃から筋力を鍛えるために力仕事を行っていて、開墾や整地の際に大木や大岩を排除する作業では男たちが動かせない大木や岩を軽々と動かして周囲の人たちを驚かせていた。
またソフィアはすぐれた話術で情報収集を得意としていて、ブラウゼンを取り巻く周辺の様子や帝国の動きなども旅人たちから仕入れて来てくれて二人はティファにとって今やなくてはならない存在となっていた。
そんな折、ソフィアが不穏な噂がある事を聞きつけていた。
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