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ロマリア帝国事件編
出撃命令
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「ソレーヌから報告があった」
イリーナが伝令兵に渡した手紙の内容はモニカに送ったものと同じであった。
予想よりも全然早い報告にジュディたちも少し不安がよぎった。
「ギアラエ鉱山都市ではイアル民族以外の民族を鉱山で過酷な労働に従事させてそれに対する対価はほとんど支払われる事はありません。
体力の限界で倒れたものは収容所に入れられて治療も受けることが出来ずに命を落としていきます。
また生贄と称して他民族を殺害しています。
ギアラエ近隣でのネープ民族失踪事件もこれが関与していると考えられます。
彼らは己の欲望を満たし、私腹を肥やすだけでなく殺人までおこなう集団です。
近日中に新たな生贄にされる女性と私の古い友人もおりました。
私は友人を助けるために鉱山で動きます。
他の重労働に従事させられている人たちを救うために急ぎ軍の出動をお願いします」
セリアがソレーヌからの手紙を読み終えると全員が信じられないと言った表情を隠せなかった。
「こんな事が許されているなんておかしい。ソレーヌと生贄にされようとしている人たちを早く助けなくては」
ジュディの言葉に他のメンバーも同意した。
「それと、ジュディとエミリアにはあまり嬉しくない報告だが、ドナウゼン在中軍にあのハインツ・ヨアヒム・ハプスブルクが配属されているようだ」
「ハインツだと?昔エミリアを卑怯なやり方で監禁したあのハインツか?」
ジュディが彼女にしては珍しく怒気を含んだ声で問いかける。
「どうやらそのようだ。一度痛い目にあっても懲りないとはよほど鈍い神経の持ち主のようだな」
「ファシエルとハインツが組んでるとは、凶暴と傲慢が手を繋いで絶望という名の終着地に向かっているようなものだな」
「ジュディにしては珍しく皮肉を言うな」
「あいつの名前を聞いただけで、ボクの親友を監禁して大怪我させた事を思い出して、はらわた煮えくりかえってくる」
「私は自分の汚点でもあるから思い出したくもないけど。。助けに来てくれたジュディには感謝してるよ」
「友達なら当たり前だろ」
ジュディとエミリアが妙に照れながらそう言い合うのを見てセリアは笑いを堪えながら指揮を出す。
「二人とも仲良しを見せつけるのはそれくらいでいいだろう。フェルデン在中軍出撃だ。目的は二つ。ドナウゼン在中軍の撃破とソレーヌを始めとする炭鉱の労働者たちの救出。我々にとっての初陣だ。油断は禁物だが、華々しく飾ってやろうじゃないか」
セリアたちはすぐに出動した。
「ソレーヌを助けに行くぞ」
一方でイリーナの飛ばした伝書鳩は三十分後にフェルデンにいるモニカの元に届いた。
手紙を受け取ったモニカはその内容に驚きを隠せなかった。
「こんな事が鉱山の裏でおこわなれていたとは。。これ以上犠牲者が出ないようにここでギアラエ鉱山は廃止させねばならぬ」
モニカは内情がもう少し早くわかればと舌打ちしたが、それよりもこれ以上の犠牲者を出さぬよう素早く解決するようイリーナに命じた。
⭐︎⭐︎⭐︎
独房では腕利きの県令親衛隊が四人でソレーヌを取り囲んでいた。
いくらソレーヌと言えども腕を縄で結ばれていて、なおかつ複数人相手ではそう簡単に抜け出せる状況ではなかった。
(さて、どう切り抜けるかな。。)
ソレーヌは親衛隊たちが四人いるのと縄で縛られているソレーヌに対し油断しているとわかると、一瞬の隙をついて攻撃する決断を下した。
「悪く思うな。ここからの脱走を企てたお前が不運よ」
「お前たちこそ、何故こんな事をしている。ファビアンの悪事を知っていて止めないなら同罪だ。何故ファビアンに従っている。何か弱みでも握られているのか?」
「そのような事、お前に話す必要はない」
「話し合いの余地もなさそうだな」
ソレーヌはそう言うなり目の前に居た親衛隊員の一人の顔に頭突きを食らわせた。
「ぐあ。。」
まともに頭突きを食らった親衛隊員はもんどり打って倒れた。
「貴様、大人しくしていろ」
それを見た一人が後ろから腕を掴みかかると、ソレーヌはかかとで腕を掴んでいた隊員の足を思い切り踏みつけると、隊員は激痛に悲鳴をあげた。
さらに別の隊員が後ろから斬りかかってきたが、身体を反転させて間一髪でかわすと、左腕で強烈な肘打ちをみぞおちに喰らわせ、隊員はうずくまるようにその場に倒れた。
ソレーヌは倒れた隊員の持っていた剣を素早く拾い上げる。
「残るは二人か」
「小癪な。。」
足を踏みつけられた隊員ともう一人の一対二となったが、手を縄で結ばれた状況とはいえ、刀を持ち自由に動けるようになればソレーヌに分がある。
親衛隊員は二人がかりで左右から襲い掛かったが、ソレーヌは先に右の隊員に狙いを定め、自ら一歩踏み込んで相手が刀を振り下ろすより先に胴を斬り、そのまま反転して左の隊員の斬撃を弾き返すと肩口から斬り裂いた。
僅か十数秒で四人の親衛隊員はソレーヌに倒された。
県令親衛隊は確かに並の兵士よりは強いが、普段、ジュディ、エミリア、ユリアと共に修行しているソレーヌにはその動きは緩慢に見えた。
それを見抜きスピードで圧倒したのだ。
「ふう。危機一髪だったな。早くミリアムを助けに行かなくては。。」
ソレーヌは腕の縄を刀で切るとミリアムの救出に向かった。
イリーナが伝令兵に渡した手紙の内容はモニカに送ったものと同じであった。
予想よりも全然早い報告にジュディたちも少し不安がよぎった。
「ギアラエ鉱山都市ではイアル民族以外の民族を鉱山で過酷な労働に従事させてそれに対する対価はほとんど支払われる事はありません。
体力の限界で倒れたものは収容所に入れられて治療も受けることが出来ずに命を落としていきます。
また生贄と称して他民族を殺害しています。
ギアラエ近隣でのネープ民族失踪事件もこれが関与していると考えられます。
彼らは己の欲望を満たし、私腹を肥やすだけでなく殺人までおこなう集団です。
近日中に新たな生贄にされる女性と私の古い友人もおりました。
私は友人を助けるために鉱山で動きます。
他の重労働に従事させられている人たちを救うために急ぎ軍の出動をお願いします」
セリアがソレーヌからの手紙を読み終えると全員が信じられないと言った表情を隠せなかった。
「こんな事が許されているなんておかしい。ソレーヌと生贄にされようとしている人たちを早く助けなくては」
ジュディの言葉に他のメンバーも同意した。
「それと、ジュディとエミリアにはあまり嬉しくない報告だが、ドナウゼン在中軍にあのハインツ・ヨアヒム・ハプスブルクが配属されているようだ」
「ハインツだと?昔エミリアを卑怯なやり方で監禁したあのハインツか?」
ジュディが彼女にしては珍しく怒気を含んだ声で問いかける。
「どうやらそのようだ。一度痛い目にあっても懲りないとはよほど鈍い神経の持ち主のようだな」
「ファシエルとハインツが組んでるとは、凶暴と傲慢が手を繋いで絶望という名の終着地に向かっているようなものだな」
「ジュディにしては珍しく皮肉を言うな」
「あいつの名前を聞いただけで、ボクの親友を監禁して大怪我させた事を思い出して、はらわた煮えくりかえってくる」
「私は自分の汚点でもあるから思い出したくもないけど。。助けに来てくれたジュディには感謝してるよ」
「友達なら当たり前だろ」
ジュディとエミリアが妙に照れながらそう言い合うのを見てセリアは笑いを堪えながら指揮を出す。
「二人とも仲良しを見せつけるのはそれくらいでいいだろう。フェルデン在中軍出撃だ。目的は二つ。ドナウゼン在中軍の撃破とソレーヌを始めとする炭鉱の労働者たちの救出。我々にとっての初陣だ。油断は禁物だが、華々しく飾ってやろうじゃないか」
セリアたちはすぐに出動した。
「ソレーヌを助けに行くぞ」
一方でイリーナの飛ばした伝書鳩は三十分後にフェルデンにいるモニカの元に届いた。
手紙を受け取ったモニカはその内容に驚きを隠せなかった。
「こんな事が鉱山の裏でおこわなれていたとは。。これ以上犠牲者が出ないようにここでギアラエ鉱山は廃止させねばならぬ」
モニカは内情がもう少し早くわかればと舌打ちしたが、それよりもこれ以上の犠牲者を出さぬよう素早く解決するようイリーナに命じた。
⭐︎⭐︎⭐︎
独房では腕利きの県令親衛隊が四人でソレーヌを取り囲んでいた。
いくらソレーヌと言えども腕を縄で結ばれていて、なおかつ複数人相手ではそう簡単に抜け出せる状況ではなかった。
(さて、どう切り抜けるかな。。)
ソレーヌは親衛隊たちが四人いるのと縄で縛られているソレーヌに対し油断しているとわかると、一瞬の隙をついて攻撃する決断を下した。
「悪く思うな。ここからの脱走を企てたお前が不運よ」
「お前たちこそ、何故こんな事をしている。ファビアンの悪事を知っていて止めないなら同罪だ。何故ファビアンに従っている。何か弱みでも握られているのか?」
「そのような事、お前に話す必要はない」
「話し合いの余地もなさそうだな」
ソレーヌはそう言うなり目の前に居た親衛隊員の一人の顔に頭突きを食らわせた。
「ぐあ。。」
まともに頭突きを食らった親衛隊員はもんどり打って倒れた。
「貴様、大人しくしていろ」
それを見た一人が後ろから腕を掴みかかると、ソレーヌはかかとで腕を掴んでいた隊員の足を思い切り踏みつけると、隊員は激痛に悲鳴をあげた。
さらに別の隊員が後ろから斬りかかってきたが、身体を反転させて間一髪でかわすと、左腕で強烈な肘打ちをみぞおちに喰らわせ、隊員はうずくまるようにその場に倒れた。
ソレーヌは倒れた隊員の持っていた剣を素早く拾い上げる。
「残るは二人か」
「小癪な。。」
足を踏みつけられた隊員ともう一人の一対二となったが、手を縄で結ばれた状況とはいえ、刀を持ち自由に動けるようになればソレーヌに分がある。
親衛隊員は二人がかりで左右から襲い掛かったが、ソレーヌは先に右の隊員に狙いを定め、自ら一歩踏み込んで相手が刀を振り下ろすより先に胴を斬り、そのまま反転して左の隊員の斬撃を弾き返すと肩口から斬り裂いた。
僅か十数秒で四人の親衛隊員はソレーヌに倒された。
県令親衛隊は確かに並の兵士よりは強いが、普段、ジュディ、エミリア、ユリアと共に修行しているソレーヌにはその動きは緩慢に見えた。
それを見抜きスピードで圧倒したのだ。
「ふう。危機一髪だったな。早くミリアムを助けに行かなくては。。」
ソレーヌは腕の縄を刀で切るとミリアムの救出に向かった。
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