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ロマリア帝国事件編
脱出
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ここまでは予定通り。
ミリアムとアンナはソレーヌと警備兵の動向に目を配らせながら、そろりそろりと警備兵の目を盗んで少しずつ出入り口へ近づいていった。
警備兵がソレーヌの行手を阻もうとしたが、ソレーヌは鍬を頭上で回転させ、振り下ろし、突き、払い、薙ぎ倒す。
「あの女、ハーフェンからの内偵員だったか」
カランドロはソレーヌの正体に気がつくと県令親衛隊に捕獲を命じた。
その間にミリアムとアンナは警備兵の目を盗んで出入り口から脱出していた。
カランドロがそれを目ざとく見つけると「逃すな」と怒号を上げる。
すぐに警備兵がミリアムたちを捕らえようと追うが、ソレーヌがそれを制止させる。
「あの女、確か士官学校時代にジュディ、エミリアとつるんでいた。。」
この騒動を見ていたハインツはソレーヌの顔を覚えていた。
「誰かを逃すつもりなのか。そう思い通りに事が進むと思うなよ」
ハインツはソレーヌには目もくれず、逃げようとしているミリアムとアンナに標的を絞った。
「ミリアム、アンナ。今のうちに早く!」
ソレーヌがミリアムたちの誘導に気を取られていた時、親衛隊から矢が放たれた。
それを見たミリアムはとっさに立ち止まりソレーヌに向かって叫ぶ。
「ソレーヌ、危ない!」
その声に素早く反応したソレーヌは間一髪で矢ををかわし、急ぎ身体を反転させて体制を整えるが、立ち止まったミリアムとアンナはハインツに捕らえられてしまった。
「ミリアム!アンナ!」
「ソレーヌ、私たちはいいから逃げて!」
「そんな事出来るか!」
「お前、士官学校時代にジュディたちと連んでいた奴だな。この女どもの命を助けたければ剣を捨てて大人しくするんだな」
ハインツの要求にソレーヌは舌打ちしたが、ミリアムたちを見殺しには出来ず、剣を地面に置いて手を上げた。
「よし。そのままこっちへ来い」
ソレーヌがゆっくりと一歩ずつ前に進んでいくが、その時イリーナが街の出入り口に姿を見せた。
「イリーナ、頼んだぞ」
ソレーヌは手紙の中に石を入れて丸め込み、イリーナに向けて投げ渡した。
イリーナはそれを受け取ると素早くその場から走り去った。
「ソレーヌ、必ず助けに行く。今しばらく辛抱してくれ」
突然の事にカランドロもハインツも対応できなかった。
「逃すな!追え!」
カランドロの命令に在中軍兵士が数人でイリーナを追って行った。
「貴様、生贄を逃そうとしたな」
「誰も生贄なんかにしない。お前たちの悪事は必ず明るみに出る」
「舐めた口を叩き折って。お前はイアル民族だからいずれは幹部にしてやろうと思うてたが生贄に予定変更だ。かなり腕のたつ偵察員のようだな。何度始末しても懲りずに差し向けてくるとは、誰の差し金だ?」
カランドロがソレーヌに問いただすが当然答える訳などない。
「誰だと思う?お前たちを怪しんでいる人間などこの帝国中に数えきれぬほどいる」
「カランドロ様、こやつはおそらく皇女モニカの手下でございましょう。士官学校時代からこやつらの仲間たちは何かとモニカに優遇されておりましたからな」
ハインツの言葉にソレーヌは表情こそ変えなかったが内心舌打ちした。
「やはりモニカか。まあいい。誰の差し金であろうと消してしまえば問題ない。逃げた奴もいずれ確保されてくるだろう」
カランドロはイリーナの実力を知らなかった。
あの程度の人数の追手ならイリーナは難なく返り討ちにして逃げられるだろうが、そんな事を親切に教えてやる必要もない。
そこへ県令ファビアンが現れるとカランドロを始めとする兵士たちが一斉に敬礼した。
「脱走しようとしたのはお前たちか?お前は相当な実力を持つ兵士のようだが、少しばかり血を抜けば、血の気も収まるであろう」
ファビアンの目くばせにカランドロが不気味な笑みを浮かべた。
「ソレーヌ。。」
「ミリアム、心配するな。必ず助ける」
ソレーヌはミリアムと離されて罪を犯した者が収容される独房へ連れて行かれた。
「さて、お前は生贄になってもらおう。早速準備を始めろ」
「かしこまりました」
ファシエルの命令にカランドロが儀式の準備に取り掛かった。
ミリアムは縄で縛られてとある小屋へと連れて行かれた。
一方でイリーナはソレーヌからの手紙を急ぎ開けて内容を確認すると、さすがのイリーナも驚きを隠せなかった。
「何という事だ。。すぐにモニカ様とセリアに報告せねば」
イリーナは連れて来た数名の部下に命じて伝書鳩を用意させると脚に手紙をくくり付けてフェルデンに向けて飛ばした。
「頼むぞ。モニカ様に手紙を届けてくれ」
さらにイリーナは伝令兵に命じてセリアたちに至急軍を動かすように伝えた。
実はモニカは緊急事態を想定して先にセリアたちをドナウゼンへ出撃させていた。
極秘の内にドナウゼンに潜入したセリアたちフェルデン在中軍五百人はギアラエ鉱山都市から十キロ手前の位置で陣を敷いて待機していた。
モニカはイリーナにいざと言うときはモニカの許可を待たずにイリーナの独断でセリアたちに連絡し、軍を動かすよう命じていたので、動きは早かった。
伝令兵からの報告を受けたセリアはすぐに仲間にその件を伝えた。
ミリアムとアンナはソレーヌと警備兵の動向に目を配らせながら、そろりそろりと警備兵の目を盗んで少しずつ出入り口へ近づいていった。
警備兵がソレーヌの行手を阻もうとしたが、ソレーヌは鍬を頭上で回転させ、振り下ろし、突き、払い、薙ぎ倒す。
「あの女、ハーフェンからの内偵員だったか」
カランドロはソレーヌの正体に気がつくと県令親衛隊に捕獲を命じた。
その間にミリアムとアンナは警備兵の目を盗んで出入り口から脱出していた。
カランドロがそれを目ざとく見つけると「逃すな」と怒号を上げる。
すぐに警備兵がミリアムたちを捕らえようと追うが、ソレーヌがそれを制止させる。
「あの女、確か士官学校時代にジュディ、エミリアとつるんでいた。。」
この騒動を見ていたハインツはソレーヌの顔を覚えていた。
「誰かを逃すつもりなのか。そう思い通りに事が進むと思うなよ」
ハインツはソレーヌには目もくれず、逃げようとしているミリアムとアンナに標的を絞った。
「ミリアム、アンナ。今のうちに早く!」
ソレーヌがミリアムたちの誘導に気を取られていた時、親衛隊から矢が放たれた。
それを見たミリアムはとっさに立ち止まりソレーヌに向かって叫ぶ。
「ソレーヌ、危ない!」
その声に素早く反応したソレーヌは間一髪で矢ををかわし、急ぎ身体を反転させて体制を整えるが、立ち止まったミリアムとアンナはハインツに捕らえられてしまった。
「ミリアム!アンナ!」
「ソレーヌ、私たちはいいから逃げて!」
「そんな事出来るか!」
「お前、士官学校時代にジュディたちと連んでいた奴だな。この女どもの命を助けたければ剣を捨てて大人しくするんだな」
ハインツの要求にソレーヌは舌打ちしたが、ミリアムたちを見殺しには出来ず、剣を地面に置いて手を上げた。
「よし。そのままこっちへ来い」
ソレーヌがゆっくりと一歩ずつ前に進んでいくが、その時イリーナが街の出入り口に姿を見せた。
「イリーナ、頼んだぞ」
ソレーヌは手紙の中に石を入れて丸め込み、イリーナに向けて投げ渡した。
イリーナはそれを受け取ると素早くその場から走り去った。
「ソレーヌ、必ず助けに行く。今しばらく辛抱してくれ」
突然の事にカランドロもハインツも対応できなかった。
「逃すな!追え!」
カランドロの命令に在中軍兵士が数人でイリーナを追って行った。
「貴様、生贄を逃そうとしたな」
「誰も生贄なんかにしない。お前たちの悪事は必ず明るみに出る」
「舐めた口を叩き折って。お前はイアル民族だからいずれは幹部にしてやろうと思うてたが生贄に予定変更だ。かなり腕のたつ偵察員のようだな。何度始末しても懲りずに差し向けてくるとは、誰の差し金だ?」
カランドロがソレーヌに問いただすが当然答える訳などない。
「誰だと思う?お前たちを怪しんでいる人間などこの帝国中に数えきれぬほどいる」
「カランドロ様、こやつはおそらく皇女モニカの手下でございましょう。士官学校時代からこやつらの仲間たちは何かとモニカに優遇されておりましたからな」
ハインツの言葉にソレーヌは表情こそ変えなかったが内心舌打ちした。
「やはりモニカか。まあいい。誰の差し金であろうと消してしまえば問題ない。逃げた奴もいずれ確保されてくるだろう」
カランドロはイリーナの実力を知らなかった。
あの程度の人数の追手ならイリーナは難なく返り討ちにして逃げられるだろうが、そんな事を親切に教えてやる必要もない。
そこへ県令ファビアンが現れるとカランドロを始めとする兵士たちが一斉に敬礼した。
「脱走しようとしたのはお前たちか?お前は相当な実力を持つ兵士のようだが、少しばかり血を抜けば、血の気も収まるであろう」
ファビアンの目くばせにカランドロが不気味な笑みを浮かべた。
「ソレーヌ。。」
「ミリアム、心配するな。必ず助ける」
ソレーヌはミリアムと離されて罪を犯した者が収容される独房へ連れて行かれた。
「さて、お前は生贄になってもらおう。早速準備を始めろ」
「かしこまりました」
ファシエルの命令にカランドロが儀式の準備に取り掛かった。
ミリアムは縄で縛られてとある小屋へと連れて行かれた。
一方でイリーナはソレーヌからの手紙を急ぎ開けて内容を確認すると、さすがのイリーナも驚きを隠せなかった。
「何という事だ。。すぐにモニカ様とセリアに報告せねば」
イリーナは連れて来た数名の部下に命じて伝書鳩を用意させると脚に手紙をくくり付けてフェルデンに向けて飛ばした。
「頼むぞ。モニカ様に手紙を届けてくれ」
さらにイリーナは伝令兵に命じてセリアたちに至急軍を動かすように伝えた。
実はモニカは緊急事態を想定して先にセリアたちをドナウゼンへ出撃させていた。
極秘の内にドナウゼンに潜入したセリアたちフェルデン在中軍五百人はギアラエ鉱山都市から十キロ手前の位置で陣を敷いて待機していた。
モニカはイリーナにいざと言うときはモニカの許可を待たずにイリーナの独断でセリアたちに連絡し、軍を動かすよう命じていたので、動きは早かった。
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