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第一章 士官学校時代編
ナディア・フォン・クライナート 後編
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「お主たちそこで何をしている?」
声を掛けたセリアを見て山賊たちはほくそ笑んだ。
「ほう、女の騎士とは珍しい。お前たちも大人しくしていれば手荒な事はしないぜ。全員奴隷として売り飛ばしてやる」
その言葉を聞いてジュディが不快をあらわにした。
「下品な奴らだ。品もなければ人相も悪い」
このひと言に山賊たちが怒号をあげた。
「舐めた口聞きやがって、奴隷として売り飛ばすのはやめだ。斬り殺してやるから覚悟しな」
「覚悟するのはお前たちだ。ここでボクたちに出くわしたのを不運と思え」
ジュディの言う通り、山賊たちは不運にもセリアたちの実力を知らなかった。
「初陣には物足りないが、夕飯前の準備運動程度にはなろう」
セリアがそう言うと全員戦闘体制に入った。
ソレーヌ、エミリア、ユリアは剣を、ジュディは槍を構えると襲いかかって来た山賊たちを瞬殺した。
手練れの山賊たちが誰一人として一合も交える事なくセリアたちに斬り倒されたのだ。
「ばかな。。」
一人残った山賊のリーダーはセリアに剣を向けられると、馬車を置き去りにして逃げて行った。
「追わなくていい。このあたりは皇帝ルーファスの悪法によって行き場をなくした人間が山賊に身を落として旅人を狙っているとは聞いていたが、治安も含めて酷いものだな」
山賊を倒して再びフェルデンに向かおうとしたセリアたちの前に馬車から一人の少女が降りて来てお礼の言葉を述べた。
「あ、あの。。助けて下さってありがとうございます」
「お主、もしや今の山賊たちに捕らえられていたのか?」
「はい。みなさんに助けて頂かなければ、ハーフェンの宮殿に侍女として売られるところでした」
「そうか。助かって何よりだ。ここから一人で家路に帰るのは危険だ。私たちの仲間が安全な場所まで送っていこう」
セリアがそう言うとナディアはうつむいて涙を流した。
「私にはもう帰る場所も行くあてもありません。一緒に旅をしていた父も従者も山賊たちに殺されてしまいました。。」
泣きながら途方に暮れるナディアを見て、ジュディが声をかけた。
「お前、行くあても帰る場所もないなら、ボクたちと一緒に来るか?」
「え?」
ナディアがジュディの言葉に驚いて顔を上げた。
「なあ、セリア。この子、ボクたちの仲間として一緒に連れて行こうよ」
「私たちはこれから戦場に向かうんだぞ。いくらなんでも危険すぎる」
セリアは難色を示したが、ソレーヌがジュディに口添えした。
「戦場と言っても今すぐに前線に行くという訳ではないし、当面はフェルデンで役所仕事に従事する予定だろ。仲間にするかはひとまず置いておいても、せめて行く先が見つかるまで面倒見てあげても問題ないんじゃないか」
「ソレーヌまでそう考えているのか」
セリアはまだ少女であるナディアを一緒に連れて行くのは危険過ぎると判断したのだが、他のメンバーたちは行くあてもない少女を何とかしてあげたいという気持ちが強かった。
「私は家族も持ち物もすべて失いました。もう失うものはございません。どんなに危険な場所でも構いません。お願いです、一緒に連れて行って下さい」
ナディアの言葉にセリアはしばらく顎に手を当てて考えていたが、他のメンバーが連れて行こうと言っている中で、いつまでも一人だけ異を唱えている訳にもいかず、承諾する事にした。
「私たちはタスタニアとの戦争に赴く身ゆえ、死と隣り合わせの立場だ。戦場で命を落とす事になるかも知れないが、それでもいいのか?」
セリアの言葉にナディアは首を縦に振った。
「私は奴隷として売られるくらいなら、たとえ危険でも自分の意思で選択した道で生きていきたいのです」
そう答えたナディアの目を見てセリアは(温室育ちのお嬢様と思っていたが、意外に芯のある子だな)と見直した。
「わかった。今日から私たちの仲間として共に生活し、戦おう」
セリアの言葉にようやくナディアから笑みが溢れた。
「ありがとうございます」
「ところでお主、名は何という」
「申し遅れました。私はナディア・フォン・クライナートと申します。どうぞよろしくお願いします」
「私はセリア・フォン・フレーベルだ。ここにいるのは私の頼れる仲間たちだ」
「私はソレーヌ・ベルジュ。一応このグループのサブリーダーだ。よろしく頼む」
「ボクはジュディ・ジャーヴィスだ。よろしくな」
「私はエミリア・イグレシアス。よろしくね」
「ユリア・ファン・ヴァルシャイトです。ナディア、何かあったら遠慮なく言ってね」
こうしてナディアがセリアたちの仲間に加わった。
声を掛けたセリアを見て山賊たちはほくそ笑んだ。
「ほう、女の騎士とは珍しい。お前たちも大人しくしていれば手荒な事はしないぜ。全員奴隷として売り飛ばしてやる」
その言葉を聞いてジュディが不快をあらわにした。
「下品な奴らだ。品もなければ人相も悪い」
このひと言に山賊たちが怒号をあげた。
「舐めた口聞きやがって、奴隷として売り飛ばすのはやめだ。斬り殺してやるから覚悟しな」
「覚悟するのはお前たちだ。ここでボクたちに出くわしたのを不運と思え」
ジュディの言う通り、山賊たちは不運にもセリアたちの実力を知らなかった。
「初陣には物足りないが、夕飯前の準備運動程度にはなろう」
セリアがそう言うと全員戦闘体制に入った。
ソレーヌ、エミリア、ユリアは剣を、ジュディは槍を構えると襲いかかって来た山賊たちを瞬殺した。
手練れの山賊たちが誰一人として一合も交える事なくセリアたちに斬り倒されたのだ。
「ばかな。。」
一人残った山賊のリーダーはセリアに剣を向けられると、馬車を置き去りにして逃げて行った。
「追わなくていい。このあたりは皇帝ルーファスの悪法によって行き場をなくした人間が山賊に身を落として旅人を狙っているとは聞いていたが、治安も含めて酷いものだな」
山賊を倒して再びフェルデンに向かおうとしたセリアたちの前に馬車から一人の少女が降りて来てお礼の言葉を述べた。
「あ、あの。。助けて下さってありがとうございます」
「お主、もしや今の山賊たちに捕らえられていたのか?」
「はい。みなさんに助けて頂かなければ、ハーフェンの宮殿に侍女として売られるところでした」
「そうか。助かって何よりだ。ここから一人で家路に帰るのは危険だ。私たちの仲間が安全な場所まで送っていこう」
セリアがそう言うとナディアはうつむいて涙を流した。
「私にはもう帰る場所も行くあてもありません。一緒に旅をしていた父も従者も山賊たちに殺されてしまいました。。」
泣きながら途方に暮れるナディアを見て、ジュディが声をかけた。
「お前、行くあても帰る場所もないなら、ボクたちと一緒に来るか?」
「え?」
ナディアがジュディの言葉に驚いて顔を上げた。
「なあ、セリア。この子、ボクたちの仲間として一緒に連れて行こうよ」
「私たちはこれから戦場に向かうんだぞ。いくらなんでも危険すぎる」
セリアは難色を示したが、ソレーヌがジュディに口添えした。
「戦場と言っても今すぐに前線に行くという訳ではないし、当面はフェルデンで役所仕事に従事する予定だろ。仲間にするかはひとまず置いておいても、せめて行く先が見つかるまで面倒見てあげても問題ないんじゃないか」
「ソレーヌまでそう考えているのか」
セリアはまだ少女であるナディアを一緒に連れて行くのは危険過ぎると判断したのだが、他のメンバーたちは行くあてもない少女を何とかしてあげたいという気持ちが強かった。
「私は家族も持ち物もすべて失いました。もう失うものはございません。どんなに危険な場所でも構いません。お願いです、一緒に連れて行って下さい」
ナディアの言葉にセリアはしばらく顎に手を当てて考えていたが、他のメンバーが連れて行こうと言っている中で、いつまでも一人だけ異を唱えている訳にもいかず、承諾する事にした。
「私たちはタスタニアとの戦争に赴く身ゆえ、死と隣り合わせの立場だ。戦場で命を落とす事になるかも知れないが、それでもいいのか?」
セリアの言葉にナディアは首を縦に振った。
「私は奴隷として売られるくらいなら、たとえ危険でも自分の意思で選択した道で生きていきたいのです」
そう答えたナディアの目を見てセリアは(温室育ちのお嬢様と思っていたが、意外に芯のある子だな)と見直した。
「わかった。今日から私たちの仲間として共に生活し、戦おう」
セリアの言葉にようやくナディアから笑みが溢れた。
「ありがとうございます」
「ところでお主、名は何という」
「申し遅れました。私はナディア・フォン・クライナートと申します。どうぞよろしくお願いします」
「私はセリア・フォン・フレーベルだ。ここにいるのは私の頼れる仲間たちだ」
「私はソレーヌ・ベルジュ。一応このグループのサブリーダーだ。よろしく頼む」
「ボクはジュディ・ジャーヴィスだ。よろしくな」
「私はエミリア・イグレシアス。よろしくね」
「ユリア・ファン・ヴァルシャイトです。ナディア、何かあったら遠慮なく言ってね」
こうしてナディアがセリアたちの仲間に加わった。
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