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第一章 士官学校時代編
レイラとマリア
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ティファが家に戻ると妹のレイラが鬼将軍の特訓を受けている最中であった。
レイラに特訓をしているのはロナルト・ヴェルナー・ミュラーという初老の元騎士で、ミュラーはロマリア帝国で多大な功績を挙げた功労者で大将の地位であったが、年齢的な理由もあったが皇帝ルーファスのやり方に疑問を持ち、これ以上帝国が脱落していくのを見たくないと職を降りて第一線から退き、老後の生活をオルジュ湖の横にあるこのオルジュの街で終えようとタスタニアに移住して来た人である。
ミュラーはオルジュの教会で剣術教室を開いていた時に剣を習いにきた生徒たちの中で一番動きの良く、目が輝いていたレイラの素質を見抜ぬいてその才能に惚れ込み、レイラの意気込みを聞いて自ら騎士になるための修行を付けるようになった。
レイラは運動に自信がなかったティファと違い幼少の頃から運動神経が抜群であった。
父親であるクリストファー・オブ・エヴァンスはタスタニア王国でも突出した武力を持つ騎士であったが、その剣の才能は妹に受け継がれたようだ。
父親の影響を色濃く受け継いだレイラは早くから剣術に興味を持ち、将来は微かに記憶に残る父親のような騎士になるんだと決めていた。
性格もティファ似ていて気さくではあるが、少し一本気なところもある。
しかし普段から姉の「世話」をしている事もあり面倒見はとても良い。
温和で優しい表情のティファと見た目も違い栗色のロングヘアとブラウンの瞳。
キリッとした目元に身長も一七〇センチあり、姉妹なのに見た目が違うと世間でもよく言われていたが、とても仲の良い姉妹であった。
現在十六歳でティファと同じ学校の騎士養成部に通っている。
レイラは両刀使いでパワーよりスピード重視の剣術が自分には活きると考え、二刀流で戦う事にしたのだが、二刀流はかなり難易度が高い剣術であり、ミュラーの厳しい特訓に必死についていった。
ティファもレイラもミュラーを尊敬の意を込めて「将軍」とかつての役職で呼んでいる。
「ただいま戻りました。ミュラー将軍、今日もご苦労様です」
「おお、ティファニー殿。お帰りなさいませ」
「お帰り」
「レイラがいつもお世話になっております」
「なんの、レイラはなかなか筋が良い。将来いい騎士になることはこのわしが保証しますぞ」
「ミュラー将軍、本当ですか?ありがとうございます」
レイラは将軍に褒められて嬉しかったのか思わず顔がほころんだ。
「お主はなかなか筋が良い。しっかり精進して修行に励めばいずれこのわしをも越える最強の騎士ミリアードになれるであろう」
ミュラー将軍の言葉は半分はそうなって欲しいという願望も含まれていたが実際レイラにはそれだけの素質があると見込んで育成している自負もあった。
タスタニア王国には最強の兵士に送られる「ミリアード」という称号があり、これは数万人の兵士に匹敵する武力を持つという敬意を込めて作られた称号であるが、建国以来まだこの称号を与えられた兵士は存在していなかった。
ミュラー将軍はロマリア帝国ではこのミリアードに相当する「大将軍」の称号を得ていた。
タスタニアのミリアードはこの大将軍と同じ意味合いを持ち、自国にもこのクラスの騎士をという願望も込めて創設された称号であった。
「ミリアードかぁ。。私もいつかそんな国を代表するような騎士になれるといいな。。」
「今は精進あるのみだ。さあ、続けるぞ」
「はい」
将来は師であるミュラー将軍のような騎士になりたいと目標を持っているレイラではあったが、今はまだ日々の修行に精一杯で先の事など考える余裕もない駆け出しの新米騎士であった。
そんなある日の事であった。
首都オルジュを守る組織である「ローレライ」の見廻り部隊がティファの家にいるミュラー将軍の元を訪れた。
「近頃、この辺りで強盗事件が頻発しております。恐らく十人程度の小規模な組織と推測されますが、手当たり次第相手を襲う連中なので将軍もお気をつけ下さい」
「そうか、わかった。見廻りご苦労。ここの家主であるティファニー殿にも気をつけるよう伝えておこう」
「よろしくお願いします」
ローレライの兵士たちが一礼して立ち去ろうとした時、ミュラーがひと言確認した。
「ちなみにその盗賊とやら、わしらが見つけたら捕らえてしまっても良いのか?」
ローレライの兵士たちは驚きの表情を浮かべたがすぐに返答した。
「将軍のお手を煩わせる事になってしまいますが、それで宜しければ」
「なに、構わん。わしとここにいるレイラなら盗賊の十や二十、ものの数ではない」
ミュラーがそう言って笑うとローレライの兵士たちは少し困惑した。
「将軍はご高齢。少しご自愛下さいませ」
兵士たちがたしなめるように言うとミュラーはわかったわかったという表情で手を振った。
「ありがとう。アネットにもよろしく伝えてくれ」
アネットとはローレライの隊長でかつてミュラーの弟子だった人物である。
女性であるが、豪快な性格と桁違いの武力で首都オルジュを守る組織ローレライを率いる隊長にまで上り詰めた実力者だ。
「は!」
ローレライの兵士たちはミュラーに敬礼し、ティファの家から立ち去っていった。
「聞いたかレイラ。もし盗賊とやらがこの家を狙ってきた時は遠慮なく倒すがいい。それにティファニー殿は剣の心得がない。お主が守ってやらねばならぬぞ」
「はい」
ティファの家は決して裕福とは言えなかったが、それでもタスタニアでは中流程度のレベルではあった。
それにティファは武術は全くの素人で盗賊にとっては格好の獲物である。
「ただし斬ってはならぬぞ。お主はまだ正式な軍人でもなければ騎士でもない。動けない程度に留めてあとはローレライに任せるのだ」
「心得ております」
それから数日後、盗賊の話しを聞いたレイラはティファを盗賊から守るため、士官学校の行き帰りに同行していた。
その帰り道、レイラは複数の殺気を感じ取っていた。
「ティファ、気をつけて。。」
レイラの言葉にティファも身構えた。
「例の盗賊が近くにいるの?」
「恐らく。複数の殺気が伝わってくる。ティファ、私の側から離れないで」
レイラが剣を手を添えて身構えると盗賊たちが姿を現した。
数はローレライに聞いていた通り十人であった。
「女二人か。身ぐるみ剥いで奴隷としてロマリア帝国に売れば高く売れる」
タスタニアには奴隷制度が存在しないが、ロマリア帝国には奴隷制度が存在する。
中でも美人の女は皇帝ルーファスの側室候補として首都ハーフェンの宮殿アンタレスにある後宮に集められ、高く売れた。
「ここで俺らに会ったのが運の尽き。諦めな」
盗賊の頭領らしい人物がそう言うとレイラが言葉を返す。
「その言葉そのままお返しする。ここで私たちに会ったのが運の尽き」
レイラの言葉に盗賊たちは笑った。
明らかに呑んでかかっていたが、レイラが剣を一閃させると表情が変わった。
双刀エアリエルと呼ばれるレイラの剣が一振りされた瞬間、二人の盗賊が打ち倒されていた。
「お前たち全員ローレライに引き渡してやる。覚悟しろ」
「小癪な。かかれ!」
頭領の命令に盗賊たちがレイラに襲いかかるが、目にも止まらぬレイラの高速剣の前になす術なく次々と打ち倒されていった。
ミュラーに言われたように、斬る訳にはいかないのでブレイド(刀身)を横にして当身を喰らわせた。
「おい、もう一人の女は剣を持っていない。あいつを捕らえろ」
「そうはさせるか!」
ティファを捕らえようとする盗賊とティファを守るレイラの間で激しい攻防が繰り広げられた。
その時である。
盗賊の頭領が突然膝をついてその場に倒れた。
「レイラ、ティファ」
「マリア!」
マリアと呼ばれたもう一人の剣士が助太刀に入った。
一人でも手こずっていた時にもう一人。
マリアもブレイドを横にして当身で相手を打ち倒していった。
盗賊たちはそれから間もなく全員倒された。
「マリア、いいところに来てくれた」
「私もローレライから盗賊の話しを聞いて警戒していたところにちょうど出くわしたのでな。ティファが無事で良かった」
「マリア、ありがとう」
マリアとはマリア・フォン・エアハルトと言い、レイラと同じくミュラー将軍の教え子であり、二人は同門で同じ歳のいいライバルであり友人でもあった。
身長はレイラとほぼ同じ一七〇センチ。
金髪にルビーのような紅玉色の瞳
キリッと引き締まった表情は彼女がそれだけでも実力のある騎士という事を見て取れた。
マリアはサラマンダーと名付けた大刀を軽々と扱う桁外れの膂力を持つ女性騎士候補生である。
このサラマンダーは大刀ではあるが、柄から二つに分割する双剣にもなる特殊な剣である。
レイラの持つエアリエルとは対剣で同じ職人が作った剣であった。
その後、二人の連絡でローレライの見廻り部隊が到着し、盗賊たちは一人残らず捕らえられた。
「では、私はこれで」
一件が落着するとマリアは一礼して立ち去っていった。
マリアは口数も少なく、孤高の雰囲気が漂う人であった。
「相変わらず無骨な奴だけど、頼りになるな」
「そうね。いつか軍に所属したらマリアと一緒に仕事が出来ればいいね」
ティファとレイラはマリアを高く評価していて、いつか共に仕事をしたいと思っていたのだ。
「そうか、マリアも来てくれたか」
翌日、ミュラーに前日の件を報告するとミュラーは愛弟子たちの実力に目を細めた。
「お主たちはすでに並の騎士を超える実力を身につけている。どこに出ても恥ずかしくないし、実力を遺憾なく発揮出来るであろう」
「将軍にお墨付きを頂けると自信になります」
レイラは初の実戦で改めて師の偉大さと教えに感謝した。
レイラに特訓をしているのはロナルト・ヴェルナー・ミュラーという初老の元騎士で、ミュラーはロマリア帝国で多大な功績を挙げた功労者で大将の地位であったが、年齢的な理由もあったが皇帝ルーファスのやり方に疑問を持ち、これ以上帝国が脱落していくのを見たくないと職を降りて第一線から退き、老後の生活をオルジュ湖の横にあるこのオルジュの街で終えようとタスタニアに移住して来た人である。
ミュラーはオルジュの教会で剣術教室を開いていた時に剣を習いにきた生徒たちの中で一番動きの良く、目が輝いていたレイラの素質を見抜ぬいてその才能に惚れ込み、レイラの意気込みを聞いて自ら騎士になるための修行を付けるようになった。
レイラは運動に自信がなかったティファと違い幼少の頃から運動神経が抜群であった。
父親であるクリストファー・オブ・エヴァンスはタスタニア王国でも突出した武力を持つ騎士であったが、その剣の才能は妹に受け継がれたようだ。
父親の影響を色濃く受け継いだレイラは早くから剣術に興味を持ち、将来は微かに記憶に残る父親のような騎士になるんだと決めていた。
性格もティファ似ていて気さくではあるが、少し一本気なところもある。
しかし普段から姉の「世話」をしている事もあり面倒見はとても良い。
温和で優しい表情のティファと見た目も違い栗色のロングヘアとブラウンの瞳。
キリッとした目元に身長も一七〇センチあり、姉妹なのに見た目が違うと世間でもよく言われていたが、とても仲の良い姉妹であった。
現在十六歳でティファと同じ学校の騎士養成部に通っている。
レイラは両刀使いでパワーよりスピード重視の剣術が自分には活きると考え、二刀流で戦う事にしたのだが、二刀流はかなり難易度が高い剣術であり、ミュラーの厳しい特訓に必死についていった。
ティファもレイラもミュラーを尊敬の意を込めて「将軍」とかつての役職で呼んでいる。
「ただいま戻りました。ミュラー将軍、今日もご苦労様です」
「おお、ティファニー殿。お帰りなさいませ」
「お帰り」
「レイラがいつもお世話になっております」
「なんの、レイラはなかなか筋が良い。将来いい騎士になることはこのわしが保証しますぞ」
「ミュラー将軍、本当ですか?ありがとうございます」
レイラは将軍に褒められて嬉しかったのか思わず顔がほころんだ。
「お主はなかなか筋が良い。しっかり精進して修行に励めばいずれこのわしをも越える最強の騎士ミリアードになれるであろう」
ミュラー将軍の言葉は半分はそうなって欲しいという願望も含まれていたが実際レイラにはそれだけの素質があると見込んで育成している自負もあった。
タスタニア王国には最強の兵士に送られる「ミリアード」という称号があり、これは数万人の兵士に匹敵する武力を持つという敬意を込めて作られた称号であるが、建国以来まだこの称号を与えられた兵士は存在していなかった。
ミュラー将軍はロマリア帝国ではこのミリアードに相当する「大将軍」の称号を得ていた。
タスタニアのミリアードはこの大将軍と同じ意味合いを持ち、自国にもこのクラスの騎士をという願望も込めて創設された称号であった。
「ミリアードかぁ。。私もいつかそんな国を代表するような騎士になれるといいな。。」
「今は精進あるのみだ。さあ、続けるぞ」
「はい」
将来は師であるミュラー将軍のような騎士になりたいと目標を持っているレイラではあったが、今はまだ日々の修行に精一杯で先の事など考える余裕もない駆け出しの新米騎士であった。
そんなある日の事であった。
首都オルジュを守る組織である「ローレライ」の見廻り部隊がティファの家にいるミュラー将軍の元を訪れた。
「近頃、この辺りで強盗事件が頻発しております。恐らく十人程度の小規模な組織と推測されますが、手当たり次第相手を襲う連中なので将軍もお気をつけ下さい」
「そうか、わかった。見廻りご苦労。ここの家主であるティファニー殿にも気をつけるよう伝えておこう」
「よろしくお願いします」
ローレライの兵士たちが一礼して立ち去ろうとした時、ミュラーがひと言確認した。
「ちなみにその盗賊とやら、わしらが見つけたら捕らえてしまっても良いのか?」
ローレライの兵士たちは驚きの表情を浮かべたがすぐに返答した。
「将軍のお手を煩わせる事になってしまいますが、それで宜しければ」
「なに、構わん。わしとここにいるレイラなら盗賊の十や二十、ものの数ではない」
ミュラーがそう言って笑うとローレライの兵士たちは少し困惑した。
「将軍はご高齢。少しご自愛下さいませ」
兵士たちがたしなめるように言うとミュラーはわかったわかったという表情で手を振った。
「ありがとう。アネットにもよろしく伝えてくれ」
アネットとはローレライの隊長でかつてミュラーの弟子だった人物である。
女性であるが、豪快な性格と桁違いの武力で首都オルジュを守る組織ローレライを率いる隊長にまで上り詰めた実力者だ。
「は!」
ローレライの兵士たちはミュラーに敬礼し、ティファの家から立ち去っていった。
「聞いたかレイラ。もし盗賊とやらがこの家を狙ってきた時は遠慮なく倒すがいい。それにティファニー殿は剣の心得がない。お主が守ってやらねばならぬぞ」
「はい」
ティファの家は決して裕福とは言えなかったが、それでもタスタニアでは中流程度のレベルではあった。
それにティファは武術は全くの素人で盗賊にとっては格好の獲物である。
「ただし斬ってはならぬぞ。お主はまだ正式な軍人でもなければ騎士でもない。動けない程度に留めてあとはローレライに任せるのだ」
「心得ております」
それから数日後、盗賊の話しを聞いたレイラはティファを盗賊から守るため、士官学校の行き帰りに同行していた。
その帰り道、レイラは複数の殺気を感じ取っていた。
「ティファ、気をつけて。。」
レイラの言葉にティファも身構えた。
「例の盗賊が近くにいるの?」
「恐らく。複数の殺気が伝わってくる。ティファ、私の側から離れないで」
レイラが剣を手を添えて身構えると盗賊たちが姿を現した。
数はローレライに聞いていた通り十人であった。
「女二人か。身ぐるみ剥いで奴隷としてロマリア帝国に売れば高く売れる」
タスタニアには奴隷制度が存在しないが、ロマリア帝国には奴隷制度が存在する。
中でも美人の女は皇帝ルーファスの側室候補として首都ハーフェンの宮殿アンタレスにある後宮に集められ、高く売れた。
「ここで俺らに会ったのが運の尽き。諦めな」
盗賊の頭領らしい人物がそう言うとレイラが言葉を返す。
「その言葉そのままお返しする。ここで私たちに会ったのが運の尽き」
レイラの言葉に盗賊たちは笑った。
明らかに呑んでかかっていたが、レイラが剣を一閃させると表情が変わった。
双刀エアリエルと呼ばれるレイラの剣が一振りされた瞬間、二人の盗賊が打ち倒されていた。
「お前たち全員ローレライに引き渡してやる。覚悟しろ」
「小癪な。かかれ!」
頭領の命令に盗賊たちがレイラに襲いかかるが、目にも止まらぬレイラの高速剣の前になす術なく次々と打ち倒されていった。
ミュラーに言われたように、斬る訳にはいかないのでブレイド(刀身)を横にして当身を喰らわせた。
「おい、もう一人の女は剣を持っていない。あいつを捕らえろ」
「そうはさせるか!」
ティファを捕らえようとする盗賊とティファを守るレイラの間で激しい攻防が繰り広げられた。
その時である。
盗賊の頭領が突然膝をついてその場に倒れた。
「レイラ、ティファ」
「マリア!」
マリアと呼ばれたもう一人の剣士が助太刀に入った。
一人でも手こずっていた時にもう一人。
マリアもブレイドを横にして当身で相手を打ち倒していった。
盗賊たちはそれから間もなく全員倒された。
「マリア、いいところに来てくれた」
「私もローレライから盗賊の話しを聞いて警戒していたところにちょうど出くわしたのでな。ティファが無事で良かった」
「マリア、ありがとう」
マリアとはマリア・フォン・エアハルトと言い、レイラと同じくミュラー将軍の教え子であり、二人は同門で同じ歳のいいライバルであり友人でもあった。
身長はレイラとほぼ同じ一七〇センチ。
金髪にルビーのような紅玉色の瞳
キリッと引き締まった表情は彼女がそれだけでも実力のある騎士という事を見て取れた。
マリアはサラマンダーと名付けた大刀を軽々と扱う桁外れの膂力を持つ女性騎士候補生である。
このサラマンダーは大刀ではあるが、柄から二つに分割する双剣にもなる特殊な剣である。
レイラの持つエアリエルとは対剣で同じ職人が作った剣であった。
その後、二人の連絡でローレライの見廻り部隊が到着し、盗賊たちは一人残らず捕らえられた。
「では、私はこれで」
一件が落着するとマリアは一礼して立ち去っていった。
マリアは口数も少なく、孤高の雰囲気が漂う人であった。
「相変わらず無骨な奴だけど、頼りになるな」
「そうね。いつか軍に所属したらマリアと一緒に仕事が出来ればいいね」
ティファとレイラはマリアを高く評価していて、いつか共に仕事をしたいと思っていたのだ。
「そうか、マリアも来てくれたか」
翌日、ミュラーに前日の件を報告するとミュラーは愛弟子たちの実力に目を細めた。
「お主たちはすでに並の騎士を超える実力を身につけている。どこに出ても恥ずかしくないし、実力を遺憾なく発揮出来るであろう」
「将軍にお墨付きを頂けると自信になります」
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