ガールズサイド

師走こなゆき

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ガールズサイド P.2

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 前回私が来た時と何が変わっているのかを見つけるために。

 例えば、マンガが増えていたり、ライトノベルが増えていたり、それを指摘すると、ユキは熱く語り出し、私は黙ってうなずく。

 実を言うと、話の内容はよく分らない。それでも、ユキが熱く語っている表情。それが、私は、たまらなく大好き。

 稀に部屋の模様替えがされていて、それを指摘した時は「何となく」で流されて、話が終わったこともある。

 しかし、今日は少し違っていた。

 部屋をきょろきょろと見回していると、ユキが口を開いた。

「あ、あのさ……」

 どもりながら言うユキに、私は、

「なあに?」

 と聞き返す。

「ユカリさんってさ、妄想?」

 ……どういうこと? モーソー? 妄想好きってこと?

 私が少し困っていると、ユキも困りながら続けた。

「いや、違うんだ。今日学校でさ、ユカリさんの話をしてたら、お前にそんな彼女居る訳ない。妄想かなんかだろ。って言われてさ……」

 私が妄想ってことは、私は存在してないってこと?

 ……イライラするなあ。

 机の下で、両掌を握ったり、開いたりしてみる。

 ほら、私は存在してるでしょ。

「それで気になったんだ。その……あの……ユカリさんみたいな……良い人が、本当に僕の恋人なのか、疑問になったんだ」

 私は、少し力を込めて両手でテーブルの面を叩き立ち上がる。

 その音に驚きながら、こちらを見ているユキ。その目を見つめながら、私はスカートをなびかせながら、ひらりと回って見せた。

「これでも私が存在しないって言うの?」

 なぜかユキは顔を真っ赤にしている。

 疑問に思った私が、

「どうしたの?」

 と尋ねる。

「あの……スカートが……ふわって、なってて……かわいいな…………なんて」

 そう言われると、私の頬までユキと同じく真っ赤になってしまい、小さく跳ねるように座った。

 いくら非現実の存在と言われて、腹が立ったとはいえ、どうしてこんな事しちゃったんだろ。

 ユキの顔を見るのも恥ずかしい。

 ユキも同じように考えてるのか、真っ赤にした顔を上げようとはしない。

 えっっっと………………こういう時は、どうすれば良いの? 神様、教えて下さいいいっ。

「あっ……」

「そのっ……」

 私がこの状態をどうにかしようと声を出した。それに対しユキも、この状態を打破しようと思っていたらしく、動き始めた。どうにも間が悪い。

 また、黙りこんでしまう二人。

 チラッと時計を見る。

 ……そろそろ時間かな。
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