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2章 約束と忘れた思い出
40.腹の探り合いと一芝居
しおりを挟む「で、だ。結局どう伝えるの?」
こんがらがりそうだと話の内容を逸らすがフレールとプロムスにジト目で見られてしまった
でも、そろそろどう動くべきか考えなくては…
「どうしましょうか…
あ、囲いこんでいるお医者様に言ってもらうとか!」
「残念ながら、感染症かもしれないと怯え、王家が囲っているお医者様達はみな見たがらないのです…」
「はーーそれでも医者かぁ??
…私のキャラバンに今回医者を連れて来なかったのは痛いな…」
そう頭を抱えつぶやくタージルにプロムスは首を傾げながら「そういえば…」と問いかけた
「そういえば…お連れ様をお見かけしませんが…どちらかに泊まられているんです?」
「僕ら、別々に入ったので、仲間はみんな城下町の宿で待機してもらっています。」
「別々に…?ですか?」
「この国に来る前にひと仕事終わらせてから来たんだよ。予定より時間かかっちゃって仲間達に先に行ってもらってたんだよ」
「あぁ、なるほど…そういう事でしたか。」
納得しているプロムスを横目にタージルはトントンとこめかみを叩く
…どうするか…グロッサにいる知り合いの名の売れている医者に頼むか、医療免許を持っている仲間を呼び寄せるか…
「どっちがいいのか…」
「…ちなみにこの治療法見つけたのどこなんです?」
「ん?母上の事だから、家の図書室じゃない?
それかじいやの情報網に引っかかったか」
「図書室…本からってことですよね?」
「…?フレールさんはなにを…」
「うん?まぁ…あーでも本じゃなくて家によく出入りする医者が持ってきたカルテかもしれない…」
「いえ、十分です。日付が分かるものの方が好ましいですね…
治療法の記述があったものをこちらに届けていただくことは出来ますか?」
「んー、姉上が乗ってくれたなら」
「姉上…??」
話の流れに置いていかれているプロムスにニヤリと笑いかけ、フレールは説明する
「物的証拠を提出して、治療法をあなたが見つけたって事にすればいいのです。
我々が、あなたに原因を教え、あなたはその内容の本をむかし読んだ事、または目にした事がある。
そしてそれを探し出し、王家の方たちに提出すればいい」
「きゃー!フレールくんの悪知恵~!」
「え?え???」
目を白黒とさせるプロムスにタージルもにっこりと笑いかけ、言葉を続ける。楽しそうな気配を察して姉上もどこかから部屋へと入ってきた。
「まぁ、なに。ちょっと芝居を打ってもらうだけさ」
「みゃーん」
「へ?!芝居??というかどこから猫が…!!」
「いやぁ~プロムスくん、姉上も面白そうだとやる気だからね。これは確定事項って訳だ!
さぁフレール、プロムスくんが動きやすいようにシナリオを考えてあげなさい!」
「えぇ、お任せ下さい。産まれてから王家と腹の探り合いをしていた能力を今ここで解放致しましょう…!!」
「へ??へ?!!?」
やる気を出したタージルとフレール。
顔を青ざめさせながらおろおろと狼狽えるプロムスを、ふかふかのソファーから見上げ姉上と呼ばれたネコは機嫌良さげににやぁーと鳴いた
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