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2章 約束と忘れた思い出

30.心配と手鏡

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「なぁ~ん、にゃん、なぉん」

とてとてと足音を立て、にゃんにゃんと鳴きながらネコは冷たい石畳の上を駆けていた
それは主の命の為であり、ネコ自身…いや、ネコの愛しい子達の為であった
ネコはネコでは無かった。
ネコは、昔は人であったのだ、過去の負の遺産と言えるべき其れを、自らの手で片す為に、ネコは賭けた。自らの命を


◆◇◆◇◆◇
「大丈夫かしら、あのネコ…」
「どうされたのですか?お嬢様」
「ほら、シロエとクロエのお使いに言ってくれたネコが居るでしょう?
あの子、想像よりも連絡が少なくて…ちょっと心配なのよ…」

思い浮かべるはあのオッドアイが特徴的な三毛猫
頼んだ時は随分と張り切っていたが…本当に大丈夫なのだろうか…?どこかで怪我でもしていないだろうか?と真夜は心配していた

「大丈夫だと思いますが…いえ、確かに少し到着が遅いように感じますが…」
「うーん、もしかしてあの世界…いや、あの国って、ネコが不吉だったりするのかしら…?
行動範囲を覗いては見たんだけれど人目をを避けてるみたいで…」
「ふむ…しかし、あの双子はネコ達を見て何も言わななかったので、その可能性は低いと思われますが…」
「そうよねぇ…どうしたものかしら…」

はぁ、とため息を付きながら2人で頭を悩ませていると黒のネコがにゃあと部屋に入り込んできた

「あら、ネコ…貴方の所の…オッドアイの子、大丈夫だと思う?」
「にゃん?」
「ほら、シロエとクロエのお使いの子よ」
「なぁん、にゃぁ」

お行儀よく座ったネコはニンマリと笑ってしっぽをゆらゆらと揺らしながら「大丈夫だよ」と言うように鳴いた
そのまま立ち上がり、真夜の足元をぐるりと回るとにゃんとしっぽを巻き付けコチラを見つめてくる

「…どこかに案内してくれるの?」
「にー、みゃんみぃ」
「…誰かが私を呼んでるの?」
「みゃん」

「そうだ。」と言うように頷くネコに首を傾げながらも真夜は椅子から立ち上がった

「じいや、申し訳ないんだけれど片付けておいてくれる?」
「かしこまりました。」
「じゃあ、私ネコについて行くわね」
「えぇ、お気を付けて」

すたすたと歩くネコの後ろをついて行く
たまに足にまとわりついてくるのを見るに、特に急ぎのものでは無いのだろうな、と思いながらも歩いた

「…ここ?」
「みゃーん、にゃんなぉー」

辿り着いた場所には、誰かが待っている訳でもなく、ただ大きな大樹が1本生えているだけだった

「ねぇ、どうして私をここに連れてきたの?」
「みゃんみぃぅ」

大樹なんてこんな場所にあったかしら…と見上げながら言うと、ネコは「こっち」と言うように鳴き声が上がった

「ん?あら、これ…鏡…?どうしてこんな場所に…」
「にゃあ」
「え?これを私に?」

見つかったのは小さな手鏡、それを真夜が手に取るとネコは満足そうに「にゃあー」と鳴いた
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