魔女の理想郷で〜それは誰かを待ち続ける少女の話〜

無月

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2章 約束と忘れた思い出

20.魔女の弟子

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「あー!もう、どうするんですか…!!」

イラつきながらも育ちの良さがわかる動きをする青年、フレールに椅子につき、静かにコーヒーを1口のみ、紙に何かを書いていたもう1人の青年、タージルは笑った

「まぁ、落ち着きたまえ。
なに、急がば回れって言うだろう?
イラついたってなんの解決にもならないのだからね」






◆◇◆◇◆◇
フレールとタージルは魔女からのおつかいで隣の国に訪れていた
その訪れた国で、2人はとある事件に巻き込まれてしまった

「しかし…私たちが来てから人が不審死し始めた…
うん!私達を疑うのも仕方ないぐらいのタイミングだ!」
「タージルさんはどうしてそんなに落ち着けるのですか…!!
僕らは今この部屋に軟禁されているようなものなんですよ!?」
「まー、私達が帰ってこないとなれば王も動くし、私自身の切り札もあるからね
最悪の自体は避けられるさ」

タージルはそう言いながらクルクルと書いていた紙を丸め椅子から立ち上がる

「さて、我が魔女さまはこの手紙の推理をして下さるだろうか」
「え?僕ら外に出れないのに、どうやって外に手紙を出すんです…え?」
「ほら、私の忠実なる可愛い子が運んでくれるからね」

知らぬ間に現れた小鳥がピチピチと鳴きながらタージルの指に止まっていた
小鳥はぴょんっと飛び上がると丸められた紙…手紙を掴み羽ばたいた

「頼むよ、私の可愛い子。
屋敷のネコに遊ばれないように気を付けて」

ピィと鳴いて飛び立ち、クルンっと回るとその姿を何処かへと消した

「は…?え、鳥は…どこに…??」
「ん?あの子は私の使い魔だよ
ま、魔法の一瞬ではあるけど初級も初級ってとこだけどね」

なんとでもないように話すタージルにフレールは唖然とする
魔法とは、数少ない人間だけが扱えるもので、国が専属として囲うほどの存在。
そしてそこから才ある魔法使い、女性は魔女と呼ばれ男性は賢者と呼ばれるようになる
ゆえに、誰でも扱える魔道具というものが作られ、民衆に広がった
それゆえ、初級といえど、ソレを扱えるタージルにフレールは驚いたのだった

「貴方は…もう…」
「いやいや、だって君がこれから会う魔女さまはもっと凄いのを扱えるんだぜ?
私の扱った魔法がそれこそ子供用の魔道具のように感じてしまうだろうね」
「それでも、魔法が使えること自体が凄いんですって…」

ハハハ、母上の魔法を見たらきっと君も驚くさと指を鳴らすとふわりと花が舞い、フレールは何かを疑問に思いながらも、はぁとため息をついた
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