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2章 約束と忘れた思い出
15.優しさと、衝撃の新事実
しおりを挟むわちゃわちゃと戯れている双子の姉弟とエーデルを微笑ましく見守っているとじいやから「少しお耳に入れたいことが…」と言いにくそうに声をかけられる
「なにかあったのかしら?」
「…ここでは、少し」
珍しく口ごもるじいやにただ事ではないと思いエーデルに声をかけてから二人で廊下へと部屋から出た
「それで?
何があったのかしら」
「双子のことで、分かったことがありまして。
もしかしたら、大事になるやも知れません」
真剣な表情で、厳しそうな顔をするじいやに物珍しさを感じながらも真夜はどうして?問いかける
「まずは彼らの保護者について報告を…
最初は母親が女手一つで双子を育てていたようですが、病により亡くなり、その後引き取ったのは母親の妹、つまりは叔母夫婦ですね。が二人を引き取り育てたようです。
叔母夫婦には子供が出来なかったそうで、双子との仲は良好。
それはそれは可愛がられていたそうです。」
「へぇ、そうなの…」
嫌がる双子を引き離そうとしていたのだから、あまり仲は良くないと思っていた…でもそれならなぜ?シロエとクロエが嫌がるような事を…
「しかし、クロエに魔王の素質があるとわかると、貴族の家に双子を養子に出したそうです。」
「どうして?」
「平民ではあまり良い生活をさせてあげられず、ならば貴族の家に行った方が幸せに暮らせるだろうと…」
苦渋の決断をしたそうですよ。との続けられた言葉にあの子たちはちゃんと愛してくれる人がいたのだと少しほっとした
だけれど、その決断は失敗だったようだと双子の様子をみて察する
「で?なのにどうしてあんなにボロボロで二人は逃げ出してきたのかしら?」
「それが…どうも引き取り先の貴族が、シロエを疎い、どこかに売ろうとしていたようで…」
「は??その家はどこかしら。
あの二人はもううちの子。ならそれ相応のお礼をしなければ」
さてどんな呪いをかけてやろうか、髪の毛を薄くする呪いは絶対にかけるとして…小指を角にぶつけさせる?あと良縁を全部ぶった切って…
「落ち着いて下さいお嬢様。
もうその家は罰せられ牢獄に入っております。
なんでも人身売買の罪でつかまった…とか」
「あーぁ。なぁんだ、いやでも小指を角にぶつける呪いぐらいはかけておきましょ
気分が晴れないんだもの」
「はぁ…お好きにどうぞ
それともう一つあの子たちの父親についての報告が」
あきれたように返事を返されたのを聞き流しながらウキウキと呪いの準備をしに行こうとするとまだ報告の途中だと引き留められた
「なによ、まだあるの?」
「はい。どうも二人の父親は現魔王だそうで」
「は…?」
いや、魔女を母親に持つにしてもクロエの魔力量は多すぎた。シロエのあの魔力操作は母親譲りとして、クロエのあの魔力は父親譲り…
そう考えると確かに筋子は通るけれど…
「父親、魔王は?あの子たちのことを知らないの?」
知っていたら知っていたでそれは放置していたと同然。それについてのお礼参りをしに行かなければなのだが…
「えぇ、知らないようです。
昔、側近の魔女がいたそうですがいつの間にかいなくなっていたと…」
「はぁ…そう
というかいつも思うのだけれどその情報はどこから仕入れているの?」
短時間で、これほどの情報をつかむにはただの使い魔では無理なもの。更には本人が知らないであろう情報まで握ってきている
「それは企業秘密、と言いたいところですが、今回はあちらの世界に同族がおりましてね。
同族の合間に流れる噂を教えてもらったのですよ」
「今回は…ね。つまりほかの方法もあるのね…」
「えぇ、そうかもしれませんねぇ」
食えない笑みを浮かべながらはぐらかしてくるじいやにはぁと溜め息をついてしまう
「出来過ぎの執事だこと」
「お褒めいただき光栄です。」
さらに笑みを深くする執事に呆れながらも、これから起こる波乱に内心頭を抱えるのだった
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