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例え話をするとしよう

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「世界の最期、何して過ごしたいっすか?」

文化部の部室に集まって開幕1番にそう口を開いた学校一のモテ男梅崎うめさき蒼太そうたは読み途中の文庫本を開きながらそう言った

「なに…急に…」
「いや、創作部としてはいいネタじゃないっすか」
「は?蒼太…お前まさか今からなんか描くか書くかすんの?」
「いやしませんけど」

真顔でそう宣う後輩に溜息をつきながら、一言も喋らず知恵の輪を真剣に解こうと頑張っているもう1人の後輩兼おれの従姉妹、吉田よしだ千夏ちなつに話を振った

「千夏、お前はなんかある?」
「な、ちょ何が?!」
「ダメっすよ林道先輩
吉田さん昨日の昼から頑張ってんすから」
「え?そんなやってんの?諦めたら?」
「純煩い!邪魔しないで!!」

叱られちゃったと笑うと何やってんすかとため息を疲れた
いやいや、元はと言えばお前が変なこと言い始めたせいだからね?

「っはー、休憩!
で、何の話?」
「世界終わる前に何したいって話?」
「まぁ、そうっすね」
「えー?好きな物食べたい
あんた達は?」

そう聞かれ、改めて考えて見たが思いつかない
好きな物食べて、好きな事をして、それで…

「俺はベタっすけど好きな人と過ごしたいっすね」
「え、なに梅崎、彼女出来た?!」
「まだです」

なるほど、好きな人か
蒼太は顔がいいから作ろうと思えば校内中の女子から彼女の座争奪戦が開催されること間違いなし、すぐに出来ることだろう
おれは関わりたくないけど

家族、友人、恋人…恋人はおれ居ないから除外して、最期は誰と居たいんだろうか…

「好きな人ねぇ…」
「まさか…あんた彼女でき…?」
「てないよ、まずおれ好きな人居ない」
「枯れてますね」
「うっせ、お前が言うな
そういう2人はどーなの?
お兄さんと恋バナしよ恋バナ」

ニンマリとした顔でそう聞くと、呆れたような表情の千夏が諦めたように深く溜息を付き「恋バナ…ねぇ?」と頭を悩ませ首を傾げた
まぁ、この従姉妹は花より団子、恋より食い気の方が強いか…

「あ、そう言えばうちの担任の二宮先生
来週から1週間有給とって新婚旅行いくそうよ?」
「あぁ、言ってましたね…
確か本当は来年の春休みに行こうとしてた旅行を繰り上げたとか」
「まー、この世の中だもんねぇ…
新婚ほやほやなはずなのに可哀想…」
「いや、休みが取りやすくなってイチャつく時間が増えたと喜んでました」
「わぁ、つよぉ…」

そういや気が弱そうな見た目なのにメンタルつよつよだったわニノ先生忘れてた

「ん?その間お前ら授業どうするの?」
「自主だって」
「そもそも今この学校に理系の先生全滅なんで、どうするんすかね?」
「まじ?
あ、てか話戻るけど千夏は?好きな人居ないの?」

ぶっちゃけこっからどうなるのかとか気になるけどそれより後輩の恋愛の方が気になる
先の事は大人達が決めるだろうし、おれらがどうこう言って何とかなるもんじゃないしね

「は?なんで私に聞くのよ
そう言うのは梅崎の方が面白いでしょ」
「吉田さん吉田さん、矛先こっちに向けないで」
「いやさ、叔父さんが煩いんだよ
学校ではどうなのか~とか、虫が寄ってきたら排除しろ~とか
過保護すぎない?」
「パパめ……純にまで聞いて…!!」
「大変っすねぇ」
「んで、いるの?」

ねぇねぇとしつこく聞いてみるとはぁ、と深く溜息をつかれ、「いるわけないでしょ」とジト目で睨まれた
まぁ知ってるけども、千夏分かりやすすぎて心配になるほど顔に出るし

「てか、居ても純には絶対言わないし
と言うか、居たら何故か知らないけど勝手にあんた知ってるじゃない」
「いやまぁそれはそう」
「へ~居ないんっすか、ふーん」
「なによ、急に…
文句あるの?」
「いいや?別に?」

何やら思案顔な後輩に首を傾げたが、そう言えば蒼太の恋愛歴ってどんなんだろう?
イケメンだし、モテるからなんか凄そう
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