悪役令嬢女神が担当だが、神様からヨメを貰いました。

parip Nocturne

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第二章 新世界と神々

芽生え-3-

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 ベアーストンは酒場でくだをまいていた。
 「はぁ~、何だってんだ。好きな事して。俺は…ちゃんと、苗やタネを買ってだよ、世話してさぁ。そんな大事な時に娘一人にさせて、どっか行って、帰ってきたら、キレられて…」
 ベアーストンは狩仲間のボウとその友達のアローそして偶然居合わせた、イオリがいる。
 (まぁ、エリヤは、ベアーストンに惚れていた。俺とベアーストンと態度を見ても、俺でもわかるぐらいだったからな。だけど…まぁーあたりは強かったからな、わかる。他のやつだったらまず手が出る。そして無視を決め込む。本当は愛されているんだけどな)
 ボウは思う。
 「ええ、エリヤちゃん一人にしたの。エリヤちゃん、すごく美人だし、スタイルもいいし、他の人放っておかないよ」
 イリヤが言う。
 「まぁ、そうだね」
 ベアーストンは笑みを浮かべ、静かに笑い出す。徐々に笑い声が大きくなって行く。
 (ああ、言いたいことわかるよ。どっちの意見も。確かにエリヤは綺麗だし出るとこ出ている。それで人気も高い。だけどエリヤに近づくためにはまず、茨の道を掻い潜り、高い山におぼり、登りきったと思ったらエリヤに手を踏まれ、片手で抑えている手を何十回蹴られても、その手でその腕で登り切らなきゃいけない。そんな感じだから、今ではもう、告白するやつはいない)
 ボウは思う。
 「なに、そんなに面白いの」
 不機嫌そうにイリヤはいう。
 「あ、ああ…あは、そうだ、ううんそうだな。まぁエリヤのことだ。喧嘩にすらなく終わるだろう。それに、いまが一番楽しい」
 ベアーストンは涙を浮かべて言う。それは楽しいのか、辛かったのかはわからないが。
 「ああ、そうだエリヤと一緒に住んでるって皆、羨ましそうにしてたぞ」
 アローが言う。
 「お前が言うのか、いつも、エリヤに挨拶しても無視されて、蔑まれた目で見られて、耐えきれなくならないのか」
 ベアーストンは言う。
 「そ、そりゃー、なっ…師匠の娘さんだぞ。人はあいさつに始まりあいさつに終わる」
 アローが言う。ベアーストンはニカッと笑う。アローは「なんだよ」とすかさず言う。
 「いやな、挨拶してもアローは一日始まらないし、終わらないしなと思ってな」
 ベアーストンが言うと、皆黙りこくる。その後、意味がわかった順に静かに笑いが起き最後は、どっと笑いが起きた。
 「確かにな。挨拶して無視されてたら進みも終わりもないもんな」
 ボウは言う。
 ひとしきり笑った後、イリヤが言う。
 「それで…ベアーストン、あんたこれからどうすんの。謝って戻りたいと思っているの、それとも独り立ちしたいと思っているの」
 ベアーストンは口を開かない。上を向いたり、キョロキョロと見渡したり、落ち着きがない。行きたい方向があるのかもしれないが言いにくいのだろう。
 「…うち来るか。どうせ、どこも行く宛なんてないんだろ」
 アローが言うと、ベアーストンは手を握り、「ありがとう」とベアーストンは言う。
 
 種まきの時期が切れるまで後一日
 
 
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