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第二章 新世界と神々

家具屋を目指して遠路遥々30秒-5-

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 「このゲートを残しときます。それでも、出前、辞めますか」
 タスクが店主に言うと、店主は頭をかきながら言う。
 「正直、これがあればらくになるけどよぉ。従業員が足りねーんだわ」
 店主は困った顔をする。本当は出前がしたいなら苦笑いしながら言うのかもしれないが、出前を渋るというより、やらない、やりたくない想いが伝わってくる。
 「分かりました、お客さんのところに行って、食器の回収と出前を終了したことを伝えます。店主は一緒に———」
 タスクが言い切る前に店主は言う。
 「いや、俺は、仕込みがあるからよ。やっといてくれや」
 店主は鏡を潜り、店に帰って行く。タスクはその姿を見送り。食器回収をする事にした。
 (うん、出前を勝手にやり出したのは俺だし、責任を持たないと)
 タスクはお客の元に行き、食器と、代金をもらい、出前がなくなることを言う。悲しむ声、熱望する声、希望を見出す声と色々聞けた。普段なら、一日かかるところ、1時間で終わった。
 店に帰りタスクは報告する。
 「終わりました。お金置いときます。お客さん、悲しむ人や、お店で食べにいくって」
 タスクは、笑顔で言う。
 店主は洗い物をしながら「そうか…」と呟く。
 「それじゃあこれで失礼します。また、来ます」
 アーウェンが岡持ちを置き、出て行こうとすると、店主に止められる。
 「待った。一ヶ月後か、半年後か、一年以上か…」
 店主はタスクに向かい、叫ぶ。
 「分かりません、そこに置いてある、家具を手に入れるまで帰って来れないですから」
 タスクは家具に指を指す。店主は指された方に目をやる。顔面が強張る。
 「今日は宿屋に泊まって行くんだろ」
 店主は家具のことについて、思う節がある様だ。声が震えている。
 タスクが返事を返す。
 「そうか…それじゃあ、明日話そうや」
 店主は何か思うことがあるのだろう。言葉が重い。
 タスクは、返事をし、宿屋に帰路に着く。
 帰り道、街は賑わっている、皆は酒を飲みながら語らい、陽気なものは狭い道で踊っている。合いの手、手の打つリズム、歌本当に最高の空間…だ。
 「おい、子供がこんなところで何してんだ。早く家に帰ってねんねしな」
 ヤジが飛ぶ。
 「たく…」
 大きなため息が聞こえる。
 「…待っ———」
 男が叫んでいる。
 音楽が鳴る中、足音が聞こえる。
 「おい、無視すんなよ…」
 宿が遠くに見える。ここで肩に手を当てられる。手際よく、慣れた手つきで男の方に体を回され、胸ぐらを掴まれる。
 (なんなんだ、こいつ、宿で早く寝ろって言ったくせに無視するなって…)
 男の言動に嫌気ををさす。男はまだ横暴な自論を言っている。
 (埒があかない、面倒だけど気絶してもらうか)
 タスクは、ゲートを2枚重ねた状態の物を胸ぐらを掴む手に標準を合わせ、腕橈骨筋の方に出す。いちゃもんをつけた、男は急に現れたゲートに気づくと、ストンと腕が落ちる。
 男は何が起きているかがわからない。落ちた先の腕は指先まで感覚がある。しかし人間は恐怖を目の前にすると、力が抜けてくる。
 タスクは腕を外し落とす。男は、腕が地面についた時、鈍い顔をする。
 タスクは男に近づくと、男は顔を歪めてのけぞる。
 「そっちが先に手を出してきたんですよ。これで逃げるなんて事しませんよね」
 タスクが言うと男はヤツより強者であり、強靭であり神に近い者と思っていた…だが今となっていれば得体の知れない、化け物で、本能が危険だと言っている。
 「ば、化け物。いや悪魔、魔王」
 男は呟く様に言う。
 「本当に……自分が弱者になった瞬間相手を化け物扱いして、本当にだ。最初っから謙虚に入ればこんな事にはならなかったのに。本当は子犬だと、自分のことを戒めていたらまだ、こんな事にはならなかったのに…いい経験になりましたね」
 タスクは男に訴える様に言う。
 男は体を翻して逃げようとする。本能がそうさせているのだろう。だがもう遅い。
 「腕のをゲート見られたくないからね」
 男の腕についているゲートが回り始める。高速回転していき、何重にも、見える。男もゲートの変化に体を止める。
 「動いたら…」
 タスクが声をかけたら、男は体を大きく動かして、全力速で逃げようとする。その瞬間信じられない痛みが走る。いや走るなんてものではない、何が起きているか分からないが腕が…腕が捻れている、骨も飛び出している。腕の痛み、見た目の衝撃。男の精神は耐えられるものではなかった。
 「気絶したか…」
 タスクが男に向かって言うが反応がない。
 男は目覚める。彼はいつもの天井を見つめる。
 「はぁ~、悪酔いしたか悪夢だった」
 男は手を見る。ちゃんと指の先まで動く。肩も回る。
 「ははっ、自分のことを子犬だと思えだ。ん~あれ誰に言われたっけな」
 男は珍しく、悩むのだった。
 

 
 
 
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