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第二章 新世界と神々

家具屋を目指して遠路遥々30秒-4-

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 「そりゃー…そりゃーな、出前出来るなら続けてぇけど、人数が足りないし…」
 店主はやりたげだが、条件(上限)にあわないので、煮え切らない。
 「分かりました。それじゃあ、皆さんに、出前をやめる旨を伝えてきます———」
 タスクが言うと店主が慌て出す。
 「ちょっと待った。今から全部回るとなれば、朝になっちまう。また明日早くに行こう」
 店主が必死に言う。だがタスクは聞き入れない。
 「その事で、話があるので、一緒に来てくれませんか」
 店主を連れ、ウーメン屋の食ビルの隣の路地に連れて行く。
 「おいおいこんなとこに連れてきて何しようってんだい」
 店主からは警戒心が伝わる。タスクは止まり鏡を出す。
 「おい、おいおいもしかしてこれ…」
 店主はしているみたいだ。
 「ええ、ここを通って皆さんのとこに行きましょう」
 タスクはひと言いい。一足早く鏡をくぐる。タスクが鏡の奥で招く。
 「あ~あ、あゝ、嗚呼~。ちきしょう行くか」
 あっさりと通れてしまう。拍子抜けするほどに。店主は前屈みになり、動かなくなる。
 「どうしました」
 タスクが声をかけると、店主は驚き、姿勢が良くなる。
 「うわ、これは禁忌の技だろ。ここに来てから、術式とか見たことねーぞ」
 店主は息を切らせながら言う。
 「まぁ、禁忌の技ですし、普通のところではまずお目にかかれないでしょうね。俺は、たまたま、出会えたので使っていますが…なんで店主はしているんですか」
 タスクが疑問に思いながら聞く。
 「あ、ああ。禁忌の技か。学校で習うんだ。技の名前は教えず、用途だけ教える、この鏡の禁忌は壁が出てきて、遠くのどこかに行けると説明される後は、刃がボロボロでもなんでも切てしまう禁忌。刃物じゃなくても、棒でも良いらしい。こんなのもあるらしいな、どんな宝箱でも開けられる禁忌とかな」
 禁忌を語るのは許されているらしい。店主は愉快そうに話す。
 (ああ、最初に言っていたのが斬撃・空風鈴か。剣士が最終的に取得できるって技。でもタネを明かすなら魔法使いの方が得意ではある。空気中の魔素を斬撃に変えて、その場に留めたり、打ち出したりする物だ。名前の由来は空中に浮かび風を裂き、鈴の音が聞こえる事からきている。俺は使えないんだよな、吸っちゃうから。それで二個目開示する者アンロック・マスターキー。開ける、開くと言った物は全て開けられる。宝箱、扉の鍵、一般的だが、日本語には心を開くと言うものがある。こちらが明るく接しても、頑として動かない子もいるが、このアンロック・マスターキーにかかれば、相手は子供の時からいるやうな幼馴染感覚になる。そう慣れれば気がれなく喋れて、楽になる。異性だったら、同性だったら。アンロック・マスターキーは本当に禁忌だと思う)
 タスクは思う事この間3秒だった。
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