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第二章 新世界と神々

憧れの国-3-

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 「俺たちは一緒のパーティだ。他にも三人いて———」
 二人目は息を吸う暇なく言う。仲間の職業ジョブ、特徴、癖。一人目に必ず聞くことへの不満が積もり、かなりの情報を吐露する。
 (あれだけ二人の関係性を言うのを嫌がっていた…いや嫌悪感すらあったのに仲間のことはここまで言うのか)
 「…それで女性も、パーティメンバーにいるんですか」
 タスクが聞くと、間が開く。
 「…なんで、そんなこと聞くんだ」
 二人目が聞き返す。
 (また警戒するのか)
 タスクは心の中でため息をつきながら思う。
 「…この本に載っている、ブラブラを探しに行こうと思ってて。それで、と一緒に行けたらなって。でも、俺女性ウケ受けが悪いみたいですぐに怒らせちゃったり、呆れさせちゃって士気を下げるとか言われて、すぐに辞めさせられちゃうんだよ…ああそうだ、ブラブラが見つかったら大快挙だと思ったから一緒にどうかなって…でも迷惑だよね」
 タスクは笑みを混ぜながらゆっくり儚く語る。
 二人は言葉を織り交ぜながら喋る。
 「別に俺たちはいいけどな…」
 「うん、確かにその本に載っている動物に会えたら、凄いことになる」
 「…歴史が変わるぞ」
 「あっ、でもどうしよう。あいつらになんて言おう」
 二人は急に冷静になった。発言的に、女性が居るのだろう。
 タスクは、本を強めに閉め破裂音を鳴らす。そのまま、立ち上がる。
 「いや、楽しい冒険談、凄く参考になった。それに女性たちには迷惑をかけられないよ。俺のせいで解散になっても困るしね。また冒険先で会ったらまた話そう」
 笑顔でそう言いタスクは二人の横を通りスレッジの家に向かう。二人は呆気にとられ、身動きも声をかけることも出来なかった。
 スレッジの家につき、鍵を閉め、机の上に地図を広げ、本のブラブラの項目を開く。本にはこう記されている。
 〝リバーレイク国を出てマルシュホレスト国に向かう途中だった、眼に光が当たったと思えば、今まで平原にいたのに斜面がついて落ち葉で足元が見えない。森にしては斜面がきつ過ぎる山なのではないだろうか。とにかく上ってみよう。
 頂上に着くと今まで見てきた景色は一変した。山脈が連なり、底が見えない谷、ここはどこなのか自分の記憶を疑いたくなる。王国の城、城壁、街並み見慣れたものがない。とりあえずここで呆けてもしょうがない。平原がある場所を目視し、そちらに降りることのに…
 山を下り始めて分かったこと、獣が歩いた後はあるが人の歩いた後は一切ないここは、山道というものはない。ここにはスタートもゴールもないのだ。すべてが道であり遭難地帯ということだ。体に悪寒がとる。しかしやるしかない。標高も高いようだ息が苦しい続けばいいが…
 何とか息ができるようになった。一休みしようと思ったらけたたましい声が響く。ブラーブラーと鳴いている早めにここをお暇した方がよさそうだ。
 必タヒに縄張りから逃げるが威嚇の声はおさまらない。方向がわからないままただただ下る。気づけば断崖絶壁一歩でも動けば落ちてしまう。威嚇の声は…遠くなっていく崖の高さは5メートルぐらいだろか10メートルでもおかしくない。安堵し気を抜いた瞬間、体が崖の方に倒れていく。ああ、もうこれまでかと目を瞑り自分の今後を悟った。
 強い衝撃を背中に受け周りを見回ると見慣れた風景がひろがっていた”
 記事はここで終わっている。
 
 
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