上 下
94 / 132
第二章 新世界と神々

進んだ先は鬼が出るか蛇が出るか-4-

しおりを挟む
 水魔法のおかげあってか、なかなか顔を出さない。後ろの皆も、四人いる。
 「そうか、大丈…いや」
 三人は全速力で走っている。1メートルぐらい離れたところに四人目がいる。どうなっている。すぐに、前に何かいるか探りいない。
 (一か八か試すしかないか)
 テムが持っている、ポーションにはタスクの思いが詰まっている。そのポーションを媒介に転移魔法を試みる。
 「ポーション、ポーション…ポー…ション。見つけた」
 タスクは翔んだ。
 「うわ」
 「ぐっ」
 「あわわ」
 三人は躓いく。
 「ここまで来れば大丈…夫だろう。ジークにポーションを飲ませよう」
 息も絶え絶えに、なりつつジークにポーションを与える。
 「きゃー何こいつ」
 ヤムは叫ぶ。鋭い光を放ち、振り落とされる。
 剣と剣がぶつかり、音が、反響する。
 「よかった、間に合った」 
 タスクが剣を跳ね返し、風魔法で吹き飛ばす。
 相手は風が当たるとガシャガシャと金属が当たって擦れる音が響く。
 「マリウス」
 ジークが叫ぶ。皆、ジークを見る。
 「あれはマリウスだ」
 タスクは火魔法を使う。腕を上げ照らす。甲冑だ。
 「俺とマリウスは、あいつと戦った。それで守るのは僕の仕事ジョブだって言って、攻撃を全部防いでくれた。だけどマリウスも疲労が溜まって、動きが鈍くなった時に、その甲冑に食われちまった」
 パーティの皆は言葉を発しない。
 「…それじゃあ、マリウスは…」
 ヤムが口火を切る。皆、同じモノが過ぎる。
 「ああ、甲冑の中にマリウスがいる」
 皆はまた、黙り込む。思っていたものと違い混乱する。
 「マリウスは食べられたのよね。それじゃあお腹の中にグシャグシャになって…」
 今度はテムが話す。ジークは首を振る。
 「違う、甲冑の腹が開き、腕を掴まれ、そのまま腹に取り込まれた、それで煙のように消えて行った…」
 倒した、甲冑が煙を残して消えて行く。
 (マリウスを助けなくちゃ帰れないか…)
 皆、甲冑にマリウスがいることを知ってしまったこと、助けたいと思う気持ちを抑えきれない。そして、タスクが甲冑を倒した。これは救えるじゃないかと、希望が出てきてしまった。
 「ジーク、マリウスを助けに行きたいかい」
 タスクは問う。
 「マリウスは、絶対に助ける」
 ジークは熱い眼差しでこちらを見つめる。
 「うん、俺は雇われているから、従う。ジークが動けるようになったら行こう」
 タスクは懸念していた。タスク一人ならなんとかなるかもしれない。また、誰か甲冑に飲み込まれたらと考えると、めんどくさいやら心労が増える。あと一番は、ポーションを使っても疲労は溜まる。体を治すため飲んでいるのだから、相当な質量の消費エネルギーをなくしている。今の状態は空元気とか、薬が効いて、気持ちが昂っているにちがいない。
 (はぁ、大変だこれから……———)
 
 
  
しおりを挟む

処理中です...