悪役令嬢女神が担当だが、神様からヨメを貰いました。

parip Nocturne

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第二章 新世界と神々

横道に逸れぬなかれ

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 山で増え、四方八方に広がっていく。増える前に、狩るのが今回の依頼だ。肉質は柔らかい急所をつければ勝てるので依頼としては簡単な方だろう。
 遠足のようにお喋りしながら、目的地に向かう、タスクは引率の先生みたいだ。
 今回の狩場についた。
 「猪突進してきて怖いらしいよ」
 「鹿は早いから、狙うのが難しい」
 「狸やハクビシンは可愛いから———」
 狩場につけば冒険者らしくなるかと思えば遠足気分のままである。これで狩れるのだろうか。
 「ちょっといいかな」
 タスクは提案を言おうとする。
 「なんだよ、くだらない事か」
 今の声で周りの鳥は飛び立つ。結構遠くの鳥も飛んでいってる。散々くだらない事を言っていて戦略にもならないことをずっと言ってたのに…いけない落ち着け。
 「静かにして、姿勢を低くして移動した方がいいよ」
 とタスク姿勢を低くしながら言う。彼らの方が、姿勢が高くなる。
 「フン、そんな事は知っているよ。早く獲物を見つけなければいけないだろう」
 と言い。
 「早く見つけようぜ」
 そう言って、走り出す。葉のすれる音、枝のへし折れる音、泥濘の水の音、けたたましい音が広がる。
 これじゃあ獣の足跡も全て消えてしまう。先生でも無ければ、お守りでもない。足跡を見て、熊や怪物がいるか周辺を見る。まだなさそうだ。安心したところで彼らの足跡を追う。
 彼らは立っている。しゃがみ、少しつつ近づいていく。彼らの前には何もいない、周囲にも居ないただ立っている。
 「なんで、突っ立てんだ」
 タスクが問いかけると、彼らは背中をビクッとしてこちらに顔を向ける。
 「驚かせんなよ」
 また鳥が飛ぶ。
 半べそかきながら言われた。まぁ勢いよく行ったはいいものの、どうすればいいのかわからなくなり、冷静になったら恐怖が襲ってきたのだろう。最後にトドメになったのがタスクがいないことだろう。
 「話を聞くきになった」
 タスクは呟く。彼らは元気に返事をする。出来れば頷き、座って欲しかった。
 「それじゃあ、最初に言ったこと覚えてるか」
 彼らはしゃがむ、タスクが頷くと、数秒後に頷く。伝わっているようで何より。
 「それじゃあ、獣の足跡を見たいから待って」
 彼ら全員聞こえるか聞こえないかの声で言う。彼ら、全員が頷く。
 タスクが足跡を見つける。さほど離れてないところで見つけられた。タスクは、手を広げてボクシングのフックのように横に振り、皆を呼ぶ。
 「まだ真新しい、足跡が残っている…」
 2本特徴的なヒズメが残っている鹿が居るはず。
 「これが、どっちに延びてるか、見て足跡を追う。周囲に大きい足跡がある場合、どこに延びているかも見逃すな」
 鹿の足跡以外は近くにないので立って静かに進む。
 
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