上 下
84 / 146
第二章 新世界と神々

食事は速やかに-2-

しおりを挟む
 とりあえず、球体に汚水を合わせる。
 (よし、これでよし)
 肩の臭いも、水魔法で取って更に加える。
 「よし、ご飯だ」
 店に帰ると、頼んだものが並んでいる。思ったより量が多い。全体に小山ぐらいになっている。タスクは席に付く。そうすると、店主のオヤジが、厨房から顔を出す。
 「おう、にいちゃん…にいちゃんのおかげで、やっっっっと普通にできそうだ——」
 タスクは五目餡掛けソバのツユにレンゲを入れ飲もうとしたら、オヤジがしゃべれ出す。無口なのかと思ったら、気さくな方だ。
 「ああ、悪い悪い、冷めちまったら、不味くなっちまう。食いながら聞いてくれて良いからよ。……ここ一ヶ月ぐらい、店に生ゴミが入れられてよ。それから、床は生ゴミだらけ、それだけじゃなく、その生ゴミも踏まれて対処が出来なくなってさ」
 オヤジの顔を見ると溢れんばかりの笑顔で言う。
 「おお、ごめんな、食べてる時によ、ちょっと嬉しくなっちまって多く作りすぎた。余ったら残して良いからよ」
 オヤジの独演会が終わり静かに食べる。ここ数日まともなものを食べていなかったのもあるが、オヤジの腕は一流品だ。どれもうまい。近くにあったら通い詰めたいくらいだ。
 「…ああ、うまかった」
 タスクは呟くように言う。
 「それで、一ヶ月前…一ヶ月前以前に何かあったの」
 店員の子がやってきた。
 「目の前の店ができた頃ね。周りの店も、臭いが酷くて辞めた人や、無期限定休になってるところもあるみたい…」
 タスクは口を開く。
 「店主が、紹介してくれたら臭い取ります。あっでも今日は無理なのでまた明後日とかになりますけどね」
 色々やっていたらあっという間に2時間経ってしまった。
 においを取ったことでお代は無料、明後日の臭い取りの約束もし、店を去る。
 「ごちそうさまでした」
 店主や店員は大きな声でありがとうございましたと見送る。
 先ほどの料理の匂いに釣られてか、お客が入って来る。
 アーウェンは路地裏に行き、汚水を分解して真水に変え、地面に帰す。
 急いで、教会に行き。アインを向い入れる。
 「はぁー助かった。それでアネスは、どうなんだ」
 アインは皆に聞く。明るくはあるが元気はない声で言う。
 「三日はかかるらしい」
 アイシスが答える。どうやら片手剣の名はアネスと言うらしい。
 「そうか…生き返るんだな」
 アインはしみじみ実感しながら呟く。
 「それじゃあよ、金が入り用になったから、オータム行くか」
 ウィップは空を見ながら、軽く言う。
 
 
 
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生料理人の異世界探求記(旧 転生料理人の異世界グルメ旅)

しゃむしぇる
ファンタジー
 こちらの作品はカクヨム様にて先行公開中です。外部URLを連携しておきましたので、気になる方はそちらから……。  職場の上司に毎日暴力を振るわれていた主人公が、ある日危険なパワハラでお失くなりに!?  そして気付いたら異世界に!?転生した主人公は異世界のまだ見ぬ食材を求め世界中を旅します。  異世界を巡りながらそのついでに世界の危機も救う。  そんなお話です。  普段の料理に使えるような小技やもっと美味しくなる方法等も紹介できたらなと思ってます。  この作品は「小説家になろう」様及び「カクヨム」様、「pixiv」様でも掲載しています。  ご感想はこちらでは受け付けません。他サイトにてお願いいたします。

従姉が私の元婚約者と結婚するそうですが、その日に私も結婚します。既に招待状の返事も届いているのですが、どうなっているのでしょう?

珠宮さくら
恋愛
シーグリッド・オングストレームは人生の一大イベントを目前にして、その準備におわれて忙しくしていた。 そんな時に従姉から、結婚式の招待状が届いたのだが疲れきったシーグリッドは、それを一度に理解するのが難しかった。 そんな中で、元婚約者が従姉と結婚することになったことを知って、シーグリッドだけが従姉のことを心から心配していた。 一方の従姉は、年下のシーグリッドが先に結婚するのに焦っていたようで……。

序盤で殺される悪役貴族に転生した俺、前世のスキルが残っているため、勇者よりも強くなってしまう〜主人公がキレてるけど気にしません

そらら
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑ 大人気ゲーム「剣と魔法のファンタジー」の悪役貴族に転生した俺。 貴族という血統でありながら、何も努力しない怠惰な公爵家の令息。 序盤で王国から追放されてしまうざまぁ対象。 だがどうやら前世でプレイしていたスキルが引き継がれているようで、最強な件。 そんで王国の為に暗躍してたら、主人公がキレて来たんだが? 「お前なんかにヒロインは渡さないぞ!?」 「俺は別に構わないぞ? 王国の為に暗躍中だ」 「ふざけんな! 原作をぶっ壊しやがって、殺してやる」 「すまないが、俺には勝てないぞ?」 ※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル総合週間ランキング40位入り。1300スター、3800フォロワーを達成!

異世界で等価交換~文明の力で冒険者として生き抜く

りおまる
ファンタジー
交通事故で命を落とし、愛犬ルナと共に異世界に転生したタケル。神から授かった『等価交換』スキルで、現代のアイテムを異世界で取引し、商売人として成功を目指す。商業ギルドとの取引や店舗経営、そして冒険者としての活動を通じて仲間を増やしながら、タケルは異世界での新たな人生を切り開いていく。商売と冒険、二つの顔を持つ異世界ライフを描く、笑いあり、感動ありの成長ファンタジー!

3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

I.G
ファンタジー
神様と名乗るおじいさんに転生させられること3521回。 レベル、ステータス、その他もろもろ 最強の力を身につけてきた服部隼人いう名の転生者がいた。 彼の役目は異世界の危機を救うこと。 異世界の危機を救っては、また別の異世界へと転生を繰り返す日々を送っていた。 彼はそんな人生で何よりも 人との別れの連続が辛かった。 だから彼は誰とも仲良くならないように、目立たない回復職で、ほそぼそと異世界を救おうと決意する。 しかし、彼は自分の強さを強すぎる が故に、隠しきることができない。 そしてまた、この異世界でも、 服部隼人の強さが人々にばれていく のだった。

私が産まれる前に消えた父親が、隣国の皇帝陛下だなんて聞いてない

丙 あかり
ファンタジー
 ハミルトン侯爵家のアリスはレノワール王国でも有数の優秀な魔法士で、王立学園卒業後には婚約者である王太子との結婚が決まっていた。  しかし、王立学園の卒業記念パーティーの日、アリスは王太子から婚約破棄を言い渡される。  王太子が寵愛する伯爵令嬢にアリスが嫌がらせをし、さらに魔法士としては禁忌である『魔法を使用した通貨偽造』という理由で。    身に覚えがないと言うアリスの言葉に王太子は耳を貸さず、国外追放を言い渡す。    翌日、アリスは実父を頼って隣国・グランディエ帝国へ出発。  パーティーでアリスを助けてくれた帝国の貴族・エリックも何故か同行することに。  祖父のハミルトン侯爵は爵位を返上して王都から姿を消した。  アリスを追い出せたと喜ぶ王太子だが、激怒した国王に吹っ飛ばされた。  「この馬鹿息子が!お前は帝国を敵にまわすつもりか!!」    一方、帝国で仰々しく迎えられて困惑するアリスは告げられるのだった。   「さあ、貴女のお父君ーー皇帝陛下のもとへお連れ致しますよ、お姫様」と。 ****** 週3日更新です。  

ドラゴンキラーと呼ばれた女/プルムの恋と大冒険

守 秀斗
ファンタジー
剣と魔法の国、ナロード王国。十六歳の乙女、プルムはある事情で借金取りから追い回されたあげく、僻地の村に逃げ込み、ある冒険者パーティに潜り込む。その頃、村の近くの湖にドラゴンが出現。王国は軍隊を派遣、村に滞在していた冒険者パーティと一緒にプルムはドラゴン退治に同行することになったのだが……。

俺の婚約者は侯爵令嬢であって悪役令嬢じゃない!~お前等いい加減にしろよ!

ユウ
恋愛
伯爵家の長男エリオルは幼い頃から不遇な扱いを受けて来た。 政略結婚で結ばれた両親の間に愛はなく、愛人が正妻の扱いを受け歯がゆい思いをしながらも母の為に耐え忍んでいた。 卒業したら伯爵家を出て母と二人きりで生きて行こうと思っていたのだが… 「君を我が侯爵家の養子に迎えたい」 ある日突然、侯爵家に婿養子として入って欲しいと言われるのだった。

処理中です...