悪役令嬢女神が担当だが、神様からヨメを貰いました。

parip Nocturne

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第二章 新世界と神々

戦闘は慎重に-2-

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 洞窟に入ると、黒煙が広がる。風の魔法ウィンド ベールに包まれているので黒煙を避け、新鮮な空気を取り込んでいる。
 地面にはゴブリンの亡骸が転がっている。
 「この風の魔法、すごいですね。だいぶ快適です」
 アインも続けて言う。
 「ああ、どうやったらこんな魔法を作れるんだ」
 多分、術式と言うものだろう。複雑に記号化してやる。もうそれは呪術なのではないかと思うぐらいだ。
 「ああ、これは風魔法を使って、覆うようにする。そのあと、悪い空気を跳ね返し、良い空気を取りえるようにした…」
 タスクは言い終わる前にアインが疑問をぶつけて来る。
 「ああ、それはわかる。説明じゃなくて…感覚でもないぞ」
 タスクは考え込む。静寂が訪れる。アイシスが場を繋ごうとするが、しどろもどろでアインを苛立させる。
 「それでどう…」
 「アインは魔法…」
 アインとタスクは同時に喋り出す。
 「なんだ、言いかけてただろ」
 アインはすぐ切り返す。
 「アインは魔法使える」
 タスクは問う。アインは即座に答える。
 「俺には適性がない。魔力はあるが何度やっても、できない術式もダメだ」
 魔術の教科書的なものでやったのだろう何が書いてあるかは分からないが理解が追いつかない時もある。
 タスクはアインの体を見て、魔力の流れを見る。確かに流れているが上半身にだけ流れている。手や脚の末端までは届いていない。つまり、手から魔法を放つことができない。足から魔力を吸収することや地の魔法を操作できない。できるとしたら、自分を強化するものならできそうだ。
 「自分を強化したことがあるの、体を鋼のように固くするとか絹のように柔らかくするとか」
 タスクはアインに聞くが、中々返事が返ってこない。彼からしたら珍しいのかもしれない。
 「…ない。考えたこともない、魔法と言えば、攻撃。防御か…」
 アインは想いにふけっている。
 タスクも考え込む、元素を使って魔法を使う、土(地)を使って体を硬くするとかでわなく、肉体を強化して強くすると考えると、こっちの方が難しい。魔力を使って何を硬くするのか…。
 (魔力を筋肉に使って一時的に強化するとかできないか…。いや、体の中にも元素はあるじゃないか。鉄分、亜鉛、水分、他にもあるがわかりやすいものだとこれくらいかな。だが危険すぎないかそれを使って、持っているもの大量に消費して…鉄分なら貧血になる。増幅して、消費だったら良いのか)
 タスクは考えているうちに横に入れる道があると、アインとアイシスがはしゃいでいる。
 「ちょっと待った」
 タスクは声をかけ,風魔法で空間把握する。
 「ゴブリンが三体構えている。襲ってこないのはこの戦闘に慣れているからだと思う」
 タスクは冷静に言うが覇気がない。そこでアインが提案する。
 「それでは、アイシスが矢を放つなり,タスクが魔法を使えば良いのではないか」
 アインは不機嫌に問う。
 「推定30mはある。魔法は届くが、宝があった場合、跡形もなくなる」
 アインはさらに不機嫌になる。アイシスも、距離を聞いてアインと目を合わさないようにしている。
 
 
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