上 下
55 / 146
出会いと別れ

旅立ち

しおりを挟む
 一旦、喋らなくなると、くちびがきれなくなる。を共有するのが苦手いや嫌悪することもある。これは紛れもなく、嫉妬だろう。
 でも話に詰まったり、無言よりはいいか。
 「依頼受けて、どこに行ってきたの」
 スレッジは、顔を上げまたフライパンを見つめる。
 「あー、ボア狩りだ。ボアは知ってているか」
 タスクが「イノシシでしょ」と応えると、その後も小気味よくスレッジは喋る。
 「そう、ボアなら、まだ、対抗できるのだが、ファイヤーボア、アイスボア、ウィンドウボアと属性がついてるものいて大変なんだが…」
 時折考えているのか、炒めている音が部屋に広がる。それに気づくと、また混ぜたりしている。
 「逆に属性がついているってことは、弱点もあって、戦士がボアを防いでる隙に魔法師が弱点をつくと…」
 フライパンから皿に移し、こちらに向かってくる。テーブルにつき、話は続く。
 「…狩れる。簡単のようだが、突進力がすごくてな、並大抵の者は耐えられない。魔法を使う者も一撃で倒せる者でないと押し切られて、前衛も後衛もやられる。よかった——」
 しみじみと噛み締めるように言う。相当楽しかったのだろう。
 「おお、いいね。何か下級の怪物でも行く」
 スレッジは炒めた野菜を口に運ぶのをやめ、フォークを置く。ナップキンで口を拭き真剣な顔で言う。
 「怪物を倒…」
 タスクは巨大な水玉をだし,そこから小さい水玉を分離させる。分離した水玉は、反時計回りに回りながらタスクの後ろと左右に、浮かび上がる。水玉は更に形を変え、花瓶、壷、鎌、剣、等変化した。
 「これでもダメかな…」
 スレッジは目を見開き、鯉のように口を動かす。うつむいたあとすぐに難しい顔になり、腕を組む。タスクの得意な武器に変えれるかと聞かれたので、弓にして見せた。次に、矢を作り机に置いてくれと言われたから5秒で作り机の上に置いた。

30分後

スレッジは矢が水になるのを見届けると、目をつむり、目頭を押さえながら呟く。
 「はぁ、大した者だ。だが、これが実践で役に立つかは別だ。軽く肩慣らしをして、本格的なものに行こう」
 明日の依頼を何にするか、決めていたら日は沈み、用意をしていたら、腹が鳴り出す。夕飯をとって眠ることにする。 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【R18】禁断の家庭教師

幻田恋人
恋愛
私ことセイジは某有名私立大学在学の2年生だ。 私は裕福な家庭の一人娘で、女子高2年生であるサヤカの家庭教師を引き受けることになった。 サヤカの母親のレイコは美しい女性だった。 私は人妻レイコにいつしか恋心を抱くようになっていた。 ある日、私の行動によって私のレイコへの慕情が彼女の知るところとなる。 やがて二人の間は、娘サヤカの知らないところで禁断の関係へと発展してしまう。 童貞である私は憧れの人妻レイコによって…

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

悪役令嬢の独壇場

あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。 彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。 自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。 正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。 ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。 そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。 あら?これは、何かがおかしいですね。

目が覚めたら夫と子供がいました

青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。 1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。 「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」 「…あなた誰?」 16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。 シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。 そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。 なろう様でも同時掲載しています。

乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う

ひなクラゲ
ファンタジー
 ここは乙女ゲームの世界  悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…  主人公と王子の幸せそうな笑顔で…  でも転生者であるモブは思う  きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…

処理中です...