悪役令嬢女神が担当だが、神様からヨメを貰いました。

parip Nocturne

文字の大きさ
上 下
28 / 154
戸惑いと発見

知らなくてはいけないこと-6-

しおりを挟む
 俺は水を想像した。手に水がまとい、微睡む。これを刃物として想像する。なんとか、刃の部分ができたが持ち手が出来なかった。集中を切って意識を楽にする。刃の形は溶け、水になり手から,こぼれ落ちる。まだ何もしていないのに、倦怠感が酷い。今度は手の上で火が燃えてるイメージをする。火柱が上がるほどの自然な火が出た。火が消えるイメージを持ったら徐々に小さくなり消えた。意識ははっきりしているが倦怠感、吐き気、体が動かない。
 俺はうずくまり、荒く深呼吸する。何回吸っても、はいても楽にならない。これは酸素が足りないじゃないと思って、文章を読む。
 [体がだるいなら自然に任せろ。地面に寝っ転がり、深く深呼吸しろ。だるさがなくなるまで、戦闘や旅には出るな、絶対にな]
 俺は前のめりになりそのまま頭から落ちる。手をつき、四つん這いで木々の間の場所で寝っ転がる。一か八か、試して見る。中々思うように息が吸えない。まだ、気持ちを落ち着かせてないからであろう。あまりに辛い。
 (落ち着け、ゆっくり吸って、はいて)
 俺は咳き込みながらゆっくり深呼吸する。とつじょめまいがする。自分が知らない出来事が無理やり頭に入ってくる。目が回ってしまうほど歪んで見える。
 カフェ通りで起きたことがぼんやり、映像として広がる。アベックがアバンチュールして行うまで一連の流れを何組も見せられたり。カフェに入って、出てを見せられたりした。それぞれの映像を雑多に見せられた。何を見せられているんだと思いながら、体は正直に反応していた。一息をつきまた、魔法を始める。
 今度は、本命の転移魔法、スレッジの借りている家を想像する。確かに開いた、しかし入口、出口が一緒なのが気になる。近くの石や砂を投げてみる。ゲートを通り、映し出されている世界に石が転がっている。魔法が成功したのかわからないができたことで一安心したらまた体中に痛みが走る。さっきの比じゃない。また倒れ、深呼吸をする。
 今度の映像は見たことのないような場所だった。荒地で皆戦っていたりする。また違う映像で何人も魔法の訓練している。
 映像は目紛しく変わっていく、知らない歴史、知らない魔法。俺は夢中で映像を追っていた。
 いつの間にか日が暮れようとしている。急いでスラッジのところに帰ることにした。
 スレッジは料理を作って待っててくれた。テーブルの上はビーフシチュー、魚のソテー、サラダ、リゾット、デザートにクレープ(ガレットのように四角くなっているところに、フルーツが入っている)まである。
 俺は首を支えながらゆっくり歩み、部屋にはいる、料理に驚きつつ「ただいま」と言う。
 スレッジはタスクが首を押さえていることに驚いた。
 「タ、タスク。頸動脈やられたのか」
 タスクが手を離そうとすると、スレッジは慌てて、大声で「離すな」と言う。その勢いすごみがあるが勘違いを解かなければならない。
 「大丈夫だって、頭がくらくらするから…」
 スレッジは動揺して、言葉が届かない。
 「大丈夫なものか、まだ押さえていろ、包帯を持ってくる」
 俺は実力行使に出る。押さえていた左手を外し、スレッジを呼ぶ。
 スレッジは「なんだ」とこちらを振り返るとタスクの腕が下がっている。何が何やら理解できない目を丸くするばかりだ。
 「だから…大丈夫って言ったじゃないか」
 スレッジは腰を抜かす。気の抜けたような声で言う。
 「そ、それは、良かった」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない

陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」 デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。 そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。 いつの間にかパトロンが大量発生していた。 ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

原産地が同じでも結果が違ったお話

よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。 視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。

悪役令嬢、資産運用で学園を掌握する 〜王太子?興味ない、私は経済で無双する〜

言諮 アイ
ファンタジー
異世界貴族社会の名門・ローデリア学園。そこに通う公爵令嬢リリアーナは、婚約者である王太子エドワルドから一方的に婚約破棄を宣言される。理由は「平民の聖女をいじめた悪役だから」?——はっ、笑わせないで。 しかし、リリアーナには王太子も知らない"切り札"があった。 それは、前世の知識を活かした「資産運用」。株式、事業投資、不動産売買……全てを駆使し、わずか数日で貴族社会の経済を掌握する。 「王太子?聖女?その程度の茶番に構っている暇はないわ。私は"資産"でこの学園を支配するのだから。」 破滅フラグ?なら経済で粉砕するだけ。 気づけば、学園も貴族もすべてが彼女の手中に——。 「お前は……一体何者だ?」と動揺する王太子に、リリアーナは微笑む。 「私はただの投資家よ。負けたくないなら……資本主義のルールを学びなさい。」 学園を舞台に繰り広げられる異世界経済バトルロマンス! "悪役令嬢"、ここに爆誕!

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか? 「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」 「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」 マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

魔道具作ってたら断罪回避できてたわw

かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます! って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑) フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。

処理中です...