悪役令嬢女神が担当だが、神様からヨメを貰いました。

すれ違いと達観と

冒険者の始まり-3-

　視線を戻してみると、スレッジがいない。よくよく見ると、人かげが前を歩いている。置いてがれないように出来るだけ静かに後を追う。
　髪型、格好、服装、スレッジで間違いない。俺はスレッジの斜め後ろから囁くように声をかけた。
　「追いついた、ここが薬草の場所…」
　スレッジは頷く。
　「ここがそうだ、だが気をつけろ。いろんな気配がする」
　スレッジが葉っぱを取り「これがそうだ」と言う。
　「私は警戒にあたる。これに似た物をタスク、取ってくれ」
　タスクは力強く頷く。スレッジは片足をつき、剣のグリップを握り周りの警戒している。
　慣れないが似たような草を片っ端から抜いていく。
　そろそろいいかと、スレッジに話しかける。研ぎ澄ましているスレッジには声が届かない。スレッジと目を合わせ，俺は頷く。スレッジも頷く。
　「これでどうかな」
　俺はちゃんと取れているかスレッジに聞くと、雑草も含まれているが充分取れているとのこと。帰ることにした

　拍子抜けするぐらい何もなく、何かに遭遇するわけではなく、森から出られた。
　「はぁ～無事出られたー」
　あまりの安堵感からやや大きめの声が出てしまった。
　「まだ、安心はできないぞ」
　スレッジも嬉しそうだ。
　遠くから何か大きい物を薙ぎ払いながら近づいて来る音が聞こえてくる。
　「逃げろ、まだ時間はある」
　スレッジは異変を気づき、すぐに城の方に向かう。
　近づくごとに足音が早く聞こえる。まだ距離があるはずなのに真後ろにいる感じさえある。
　スレッジは門、間近まで来ている。俺ははっきりと門とわかる距離感だ。なかなか遠い。
　門の上には弓兵がいる。前にもこんなことがあっような。意を決して、後ろを見る。
　「えっ、やば」
　トロールが追ってきている。追いつかれるのも時間の問題だ。
　俺はもう心臓が張り裂けそうになっているとゆうのに、足の回転数を挙句ではいけないのかと思うと、歩いて、止まって、息を整えたいと思う。そんな弱気が減速に繋がる。だが、まだやられるわけにはいかない。思いっきり手を振り、足を大股にし走る。トロールの差は縮まらず一定の距離感のままになったが長くは続かない。
　後ろから追い風が吹いている。振り向くと、土煙を纏った巨大な竜巻が現れた。自然のものではないような気がする。そこで歩きながら息を整えようとしたが竜巻の中からうっすらと巨大な影が浮かぶ。トロールにとって竜巻は攻撃にはならず、足止め程度なのかと唖然としたが走らなければ、
ﾀﾋあるのみ、走るしかない。走るしかないのだが、一向に門に近づかない。