悪役令嬢女神が担当だが、神様からヨメを貰いました。

生活と営み

オータム探検記-3-

　ビリアはあなたから挨拶して欲しかったわとホホを少し膨らませて首を傾げ瞳をずらす。タスクは苦笑いしながら、自己紹介は苦手なんだと答える。「俺はタスクです、よろしく」と答える。
　「それで何で森が…」
　ビリアが、そうだったと手を叩き応えてくれる。
　「この魔法は王立図書館の魔導書にもあるくらい一般的な物よ」
　ビリヤは俺の方を向き凝視される。
　「そうなのか、空間を変えられる魔法があれば何かと便利なのに」
　俺は反応すると、ビリヤは微笑み、訳を話してくれた。
　「この魔法、人気がないのよね、攻撃魔法にしても殺傷性が薄い。魔法を使って水や土の中に転移しても、見つけるのが大変だし、商品価値が下がるのよねー。あと、転移先だったたり空間は難しいのよ」
　俺はすかさず「何が難しいの」と聞く。
　「転移先、ん～入口と出口が問題なのよ、入るところに魔力を込めた目印を描くの。出口も同じく目印を描いてそこをつなぐの。距離が遠ければ、遠いほど魔力を使うわ」
　ビリアは紅茶を飲み続ける。
　「まず、魔力量が必要になるわ、距離が短くとも他の魔法より魔力を使い、目印を保つため永続的に魔力を使う…使い勝手が悪いの」
　俺は、「ここは…ここの森はどうやって…森の中に印は、見えないけど」としどろもどろに聞く。ファンタジーなものは好きだ。だが頭が追いつかない。
　ビリアは嬉しそうに答える。
　「入口はお店のドア、あそこだけ借りているの。それでここには…」
　ビリアは手を横に上げ白い壁のようなものが現れ、角とその間には金のふちが付いている。ビリアは笑顔で説明する。
　「これは転移魔法でも上位なもの、でも、これも魔導書に載っているわ。貴方も、察していると…」
　タスクは「ゲート…」と呟く。
　ビリアは「そう」と言って続ける。
　「これができるようになれれば、どこへだって行ける。入口…。出口…。自分で出来るのだから」
　ゲートが消えビリアはへたり込む。タスクは駆け寄ろうとしたが、ビリアは手を突き出し、「大丈夫」ときじょうに振舞う。ビリアはタスクに対して問う。
　「私が貴方の知りたいことに応えたわ、それじゃ今度は私が聞く番ね、貴方は何者なの。教えてくれたらお代はいらないわ」
　タスクは頷き「この世の禁忌に触れても良いなら答えるよ」するとビリアは身を振るわさ、目を見開いて興味津々な様子だ。
　ベルは聞きたい気持ちはあれど、そこまでのことをおかしたくないと思っているらしく、タスクに声をかけ遠くに行ってしまった。
　ビリアにここまでの事を伝えると俯きつつ、首が斜めになり、大きく見開いた瞳は涙が溜まり、二ヘラと笑顔を浮かべている。そうこうしていると、小屋のドアの前へ立っていた。