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第3章 守るべきか、攻めるべきか

思わず、認識してしまう-4-

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 「すみません。娘が…娘がいなくなちゃって。旅人に用があるって出て行ったきり、帰ってこなくって、その旅人の格好が———」
  レイカはアーウェンの特徴と仲間の情報を言う。門番は「確か…いたような気がする」と曖昧な答えにレイカは苛立つ、なんとか顔に出ないようにする。しかし門番はその静かな怒りを感じてしまう。
 「わかった、知っている奴がいないか聞きに行ってくる」
 門番はもう一人の門番にいい、そそくさと、他の兵のところに行く。
 「ありがとうございます」
 レイカの艶やかな声に門番は手を振る。
 門番は兵を連れて帰ってくる。
 レイカは、身を丸め、落ち着かない様子を見せている。
 「ああ、婦人お待たせしました。該当する、冒険者を見送った、兵を連れて来ました。事情はもう話して…」
 兵の話を遮って慌てた様子でレイカがアーウェンを見送った兵の肩にしがみつく。
 「娘が、娘が拐われたかもしれないんです。お願いです…どうかどうか…教えていただけないでしょうか」
 兵はそのまま、立ったまま話す。
 「落ち着いて下さい。その冒険者は昼には出ています。距離的に言えば、つぎに近い国にいるでしょう」
 レイカは兵の手を伝って滑り落ちる。膝をつき、頭を小刻みに揺らす。周りからは同情、悲壮感に包まれる。
 「ママ何してるの」
 カレンの声に周囲は響めき出す。レイカはすぐに、カレンの元に行く。
 「お肉屋…」
 レイカはカレンを抱きしめる。
 (もう、何も言わなくていいのよ。いいのいいのよ…)
 レイカはカレンにしか聞こえない声をかける。
 そこに夫が現れる。
 「探したぞこんな所にいたなんてさぁ帰ろ」
 夫はそういい、子供を連れていく。レイカは門番や兵に「お騒がせしました」と告げ、家に帰宅する。
 レイカは無語でエプロンを取り、野菜を切る。いつものようにテンポ良く切るがいつもより音が大きい気がする。
 部屋の中にはグツグツと煮立つ音だけが鳴り響く。夫がレイカに近くに行き、小さな声で話している。カレンには聞こえない。
 「はい、ポトフ出来たわよ、パンと一緒に召し上がれ…。そうそうママね、明日出かけてくるからパパと一緒に待っててね。ちょっとママ、遠くに出かけてくるからね」
 今夜の食事は通夜のようだった。
 朝日が差し、国の門が開く。活気がよく騒がしい。
 「よーし、国に入るか」
 アーウェンが支度し、テントをしまう。見た所さっきよりも列が長くなっている。
 列の最高尾に着く。その間にレイカに対して皆と念話しながら待つことにした。

 

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