ブラックボックス 〜禁じられし暗黒の一角〜

第二章 冒険の始まり

騎士の処置-4-

　アーウェン達は、路地に入り、宿を取ったことをつげバニラ達を見送る。その後、アーウェンはバザーにバニラ達はテントの方に行く。
　テントはほぼほぼ出来ており、後は仕上げだ。
　「ああー、まだ、お姉ちゃん達やってるー」
　少女が現れた。
　「わぁーテントだテントができてる」
　少女は、あどけなく笑いながら言う。
　「こぉらぁ、ダメじゃないこんなところに走っていちゃあ」
　少女の母親だろうか、少女を心配している。
　「すみません、ここで何しているんですか。ここ…は……」
　母親はバニラ達を見た瞬間、顔を一変させる。
　「何ってテント…」
　「カレンお家に帰ってパパのところに行きなさい」
　少女が何か教えていると、母親は少女カレンの前に立ち言う。カレンは「でも…」と少々駄々をこねる。
　「良いからお願い、聞いて」
　母は、娘カレンを背を見せたまま喋る。少女は足音を立てて戻って行く。
　「娘さん、帰って行きましたよ」
　クロムが言うが母親は表情がは緩まない。
　「そんな事わかってる」
　カレンの母親と会話してる隙に、クロムは地面に吸い込む様にテントを閉まってしまう。
　「やっぱりそうだ、あなた達、人じゃないわね」
　カレンの母親は呼吸を荒くして話す。
　クロムは話を逸らす事にした。
　「これから帰ろうとしていたところなんです。そこを通りたいのでどいてくれますか」
　クロムが言うとカレンの母親は逆にジリジリと滲み寄ってくる。クロム達が戦闘体制に入ろうと受注すると、カレンの母親は消える。クロムは上、バニラは左、アーリーはキョロキョロ。見渡す。カレンの母親を目視できない。
　クロムはp-95を両手に構え、バニラはハルバートを出し光を集める。アーリーは草を生やす。クロムとアーリーはしゃがむ。その瞬間、バニラが光を放つ。
　カレンの母親は、影のある壁沿いに走り、背をとる。光に包まれながらも最高速度でバニラに向かい、刃を突き立てる。しかし感触がない。
　「ナイフを振り回したら危ないですよ」
　後ろからクロムの声が聞こえる。未だに視界は白い。体制を崩したのか転んでしまう。
　「うぐっ———」
　体制を崩しただけならこんなに痛みはない。足首が想像以上に痛い。これは捻った、自分でもこの失態はありえないと思った。足元を手探りで探す。足があらぬ方向に曲がり、草と草が結ばれている輪に足が引っかかっている。
　カレンの母親は草を引きちぎろうと思うが針金の様に固くしなる。このままの状態でここに居ては時間だけが過ぎて行く。ナイフを取り自分より前から徐々に足元に持って行く。
　「大丈夫か。私が取ろう」
　紳士のいい声が聞こえる。
　「あなた」
　カレンの母親は力が抜け安心するのだった。