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第二章  冒険の始まり

怖いのは夜明けまで-2-

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 フー、ルーは、アーウェンの膝の上に乗っかる。
 小さくってもこもこしていてぬいぐるみみたいだ。
 「素朴な疑問いい」
 アーウェンは優しく言うとフー、ルーは振り返る。
 「なーにー」
 フー、ルー返事を返す。
 「フー、ルーどっちが最初にブラックボックスに居たのかなって思って…」
 アーウェンは一呼吸おいてさらに深いところまで聞こうとしたが、フー、ルーが察して、話だす。
 「うーん、二人は一人だよ。元々大狂いのスライムだったから…」
 「あの時司祭が召喚した、あのスライムか…」
 「うん、そう———」
 フーは、俺に会う前の事を話し出した。
 「元々は、スライムだった。スライムの時は何も考えず、溶かせるものはなんでも溶かした。今ならわかるけど、木を溶かして、樹液を吸い。果実を溶かした。物には味があるって知ったの。そこからは色々溶かした。木の上の蛇、アリ、鳥。蛇とか、溶かするとね、蛇とかの知識を得られるの———」
 今度はルーが喋り出す。
 「その知識を使って今度は、木の上から落ちてマンティコアを食べたの。マンティコアはすごく頭が良かった。だけど頭が良すぎたから食べられた」
 アーウェンは二人に質問する。
 「ちょっといい…マンティコアを食べたってどうゆうふうにして」
 フーが前に肘を立て出す。ルーが手首を握る。今度はフーが喋る。
 「…上から落ちた後、水みたいに胴体をぐるーって巻いて、いっきにジュッて溶かした。マンティコア自体は一瞬冷たいなぐらいだったと思う。でも体の異変に気づいて走り出そうとしたけど前足しか動けないからすぐ転けて、何が起きたのかわからない感じだった」
 ルーが喋り出す。
 「すごい顔だったよね。真顔なんだけど、どこか悩んでいる感じ。それでそのままマンティコアを食べたら、人間の言葉がわかるようになった。そこからやりたい放題だったかな。それで、ブラックボックスを手に持っていた人間が"こんなの使えないよ、神様の嘘つき"って言ってたから、そのブラックボックスを取り込んだの」
 ルーが喋り終えると、フーが続きを言う。
 「それで、狸を体に取り込んだら、よく分からないところに飛ばされて、そしたら、アーウェンが居たの」
 フーがいい終わるとすかさず、ルーが喋り出す。
 「それで二人きりになったときブラックボックスの中に入ったの。そしたら、そこには女神さまがいて頼まれたの」
 ルーがいい終わると、二人で息を吸う。
 「"アーウェンを頼みましたよ。二人の力が必要です"って」
 アーウェンはフー、ルーを抱きしめ、考える。
 (そうか、パートナーは文字通り、…僕の場合はブラックボックスだったから、女神様が居て僕の信頼度を皆上げてくれた。他の子はただ野生の子を与えているのか……あれ、何かフー、ルーに言いそびれていることはないのか)
 アーウェンは口を開く。
 「僕は…二人に会えて、本当に良かった。辛い思いでもあると思うけど、フー、ルーのことを知れて良かった。ありがとう」
 アーウェンが言い終わると、フー、ルーはアーウェンの腕を剥がすように、軽く力を込める。それを察して、アーウェンは腕を解く。フー、ルーはこちらを向き直りフー、ルーはアーウェンに抱きつく。アーウェンも応え、抱きしめる。
 
 
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