ブラックボックス 〜禁じられし暗黒の一角〜

第二章 冒険の始まり

いざ、生地作り-2-

　休憩を挟んだのち、村まで光の球で、一飛び。普通に歩いて来たのと同じぐらいに着いた。
　「また、お願いします」
　アメリアが、帽子をクイっと上げ村の人に挨拶をする。
　「ああ、ブラックサイクロンズだぁ…」
　村人は息を飲み言う。
　（何、あの…ぶらっくさいくろんずって）
　タスクは笑いもふくみながら小声で言う。
　（不名誉ですが私たちの通称だそうです。一瞬で来て、一瞬で獲って、一瞬で帰っていたので）
　クロムが言う。まったく表情がわからない。
　「いやはや、鹿三頭に猪二頭は助かりました」
　嬉しそうに、村人は言う。
　「まだ残っていますか」
　アーリーは言う。村人は、見開いて驚く。すぐに気持ち悪い笑顔で媚びるように言う。
　「いのしし～、もうないだよ。取って来てくれるのか～い。鹿もとてくれると嬉しいだけどね～」
　「これだけ人数いるんだから、一人一匹でも、いいよね」
　言いたい放題の村人たちにアーウェンは、気持ち悪くなる。依頼書を見て、何匹取るか見る。猪三頭、鹿三頭取る。
　「そうですね。期待に応えられるようにします」
　アーウェンは爽やかに言う。
　「所で鹿とかの住処はどこですか」
　村人達は村の裏山を指す。
　「それじゃあ、あまり期待しないで下さい」
　アーウェンは村人に言い、山に向かう。
　山に着くと、皆をブラックボックスに入れ、アーウェンは魔法陣を足元に出し、エレベーターの様に競り上げそこからトランポリンの様にして跳び上がる。山越の要領でてっぺんまで登る。
　てっぺんに降り立つと、足跡が無数にある。人間が易々と入れない領域なので動物にとって安全地帯なのだろう。ここでクロムとバニラを出す。
　「クロム、鹿の気配はあるか。バニラは見えるか」
　アーウェンは二人に聞く。二人は真剣な顔をしている。クロムはライフルにつけるスコープを作り出し見る。バニラはオペラグラスで見る。
　「500メートル先に見える」
　クロムが呟く様に言う。
　「あっ、こちらでも確認できました」
　バニラも発見したようだ。
　「２つの群れがありますね、どうします」
　バニラは続けて、喋る。
　「うーん、出来るだけ多く欲しいけど…クロム、何体ぐらいしまえる」
　アーウェンはクロムの方向いて言う。クロムは顔ひとつ変えずに言う。
　「千体ぐらいは余裕で入れられる」
　クロムの返答を聞き。アーウェンは満面の笑みで、応える。
　「そうか、それなら、クロムはここで待機。ここからでも撃ち落とせるだろう———」
 「よゆうー」
「ライトニングは俺と来て、危険を察知した物を狩っていく」
　「わかりました～」
　「みんなにも協力してもらうよ」
　ブラックボックスが微振動したように感じる。
　クロムはスコープ目から外し、手を下げていく、その間スコープは煙になり消えていく。腹ばいになり構える形を取るとどこからともなく煙が出てスナイパーライフルの形になる。ピカテリーレールの部分をふわっとなぞるように触るとスコープが出て来る。スコープの蓋を外し、準備が整う。
　バニラと一緒に光の球の中に入り鹿にバレないように背後に着く。