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第二十四話
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「うえぇ、くさ~い」
「確かにカビ臭いな」
鼻がいいルキナも辛そうだ。 オレたちは遺跡の中にはいっていた。 古い遺跡ではあるが、壁や床が正確に正方形の石がつまれ整然とした印象を受ける。
(地上にあったものは城の残骸みたいだったな)
「早くいくわよ。 奥にアンデッドたちがいるんたから」
マゼルダは人のポケットに入って腕を付き出した。
「なあ、それはいいが、マゼルダどんだけ倒せばいいんだよ」
「全部よ」
「ええ、全部!!? どのぐらいいるかも、外にいるかもしれないだろ!」
「まだ昼だから、全部ここにいるの。 夜になったら外にでてくるけどね」
「なんで夜しか来ないんだわーちゃん」
「おそらく何者かに操られているのかと」
「操られている?」
「はい、私のように操られていないアンデッドは自由に動けますが、操られているものは、使役者の魔力が届く範囲でしか動けません。 ゆえに使役者は夜に魔力をます闇属性のモンスターではないかと推察します」
「そうなのか、闇のモンスターか、だったらきっと光に弱いな。 ミリエルかクエリアのどちらかに来てもらうんだったな」
「ご心配めさるな。 このわーちゃんも、魔王島でのほほんとしていたわけではございません。 ちゃんと鍛練はしておりましたゆえ」
「そうだよ。 私もゴレサンとスピードと特訓してたんだ」
ルキナは鼻をつまみながらいう。
「そうか、まああてにしとくよ」
「頼んどいて何なんだけど、本当に大丈夫なの」
「大丈夫だよ。 ここで仲間にしたモンスターも二十はいるし、ポイルもいる」
「ポイル?」
「この子」
そういってルキナは懐からポイルをだした。
「ゲコ?」
「ふ、ふぎゃあ!! カエル!! だめ! 私カエルは! 前に食べられかけたことがあるの!」
マゼルダはオレの後ろに隠れた。
「ゲコ......」
ポイルは落ち込んで、ルキナの懐に潜る。
「ほら落ち込んだじゃないか、これはエクスポーショントードだぞ」
「エクスポーショントード!? そんな、上位モンスターもいるの!」
「ええ、これもマスターの人望のなせる業」
「......ふーん、なかなかやるわね。 ただの見た目どおりの頼りなさそうな子供とは違うのね」
そうマゼルダは意外そうにいった。
「なんか来る!」
ルキナは耳をたてている。
ガシャガシャと音がする。 奥から、剣を持ち鎧をまとった五体の骸骨があるいてくる。
「マスター、スケルトンです」
「こんなの私が!」
「ちょ、ちょっとルキナいきなりは危ない......」
そうマゼルダがいうまもなく、五体のスケルトンはルキナの爪で一瞬で両断された。
「ふぇ!!? 何なのあの子!? ただの獣人じゃない!?」
「ああ、ルキナはワーピューマだ」
「ワーピューマ!! そんな上位モンスターなの!?」
スケルトンを見ていたルキナはオレを呼んだ。
「なんだ? ルキナ」
「なんか苦しんでる」
ルキナに斬られたスケルトンたちは何か言葉を発している。
「ク、クル...... シイ......」
「タ...... スケ...... テ、クレ......」
「ほら契約印があります」
スケルトンの頭に紋様がある。
「契約すれば助けられるかな」
「おそらく契約は上書きされるでしょう」
「お前たち、契約をすればその苦痛から解放されるぞ」
「ケ......イ、ヤク...... ワカッタ......」
オレはスケルトンたちと契約をした。
「......助かりました」
オレの魔力でからだが戻ったスケルトンはそう頭を下げた。
「めちゃめちゃ流暢にしゃべるな」
「元々人間ですからね」
わーちゃんがうなづいていう。
「それで、悪いがオレの仲間にターンアンデッドをかけてもらうまで骸骨のままになるよ」
「それは構いません...... ですが助けていただいて恐縮ですが、ひとつお願いを聞いてはもらえませんか」
「お願い?」
「我らの王を解放してもらいたいのです」
「王?」
「はい、元々ここはゼーサライ王国でした」
「ゼーサライって古代の王国ね」
マゼルダがそういうと、スケルトンがうなづく。
「ええ、ですが魔王により蹂躙《じゅうりん》され滅ぼされました...... しかし滅ぼされる前にアスファ王は魔法使いの奸計《かんけい》にのってしまい禁忌の魔法に手を出したのてす」
「魔法使いにだまさたってこと?」
「ええ、それでわれらはアンデッドとなったのです」
「しかしそんな禁忌......」
わーちゃんはそういって言葉を飲み込んだ。
「そう、生者を犠牲にしてアンデッドとする邪悪なる魔法。 残りの国民を犠牲にして、我らを強制的にアンデッドとして支配したのです」
「モグモグ、ひどい王様! モグモグ」
ルキナは持ってきていたお菓子を口に含んで怒っている。
「ルキナ、食べるかしゃべるかのとっちかにしなさい」
「......そうですね。 ですが、王の憎悪はわかります。 元より民への慈愛にあふれた賢君でしたが、魔王の軍は人々をおもちゃのように殺して回りました。 おんな子供、老人、見境なく殺すその残虐さは言葉にできないほどだった...... それゆえ王は」
スケルトンたちは皆うつむいている。
「ですので倒していただきたい...... 王も我らと同じ様に苦しんでいるのです...... 解放してあげたいのです」
「まあ、そのつもりだしね。 あと他のアンデッドも解放するか」
「ですな。 同じアンデッドとして助けにはなりたいですしな」
「王様やっつければいいんだね」
「おお、ありがとうございます......」
スケルトンたちはみな深々と頭を下げた。
オレたちはでてくるアンデッドたちを次々倒し、ゴーストたちとも契約していく。
「おお! このギュレルからもらった剣めちゃくちゃ斬れるな!」
「どうやら魔力をのせられるようですな。 私の杖も魔法の威力があがっています。 ですがこの数契約して、魔力は大丈夫ですか?」
「ああ、このぐらいなら平気」
「......そうですか。 これ程のモンスターを契約して魔力を供給するとは、さすがというほかありませんな」
「うん、暴走状態を最低で制御すれば魔力切れはなさそうだね」
「そんな...... あれを制御、そんなことまでできるようになったのですか!」
「ああ、でも感情が高まりすぎれば制御できる自信はないよ。 ほんの少し漏れでる力を使ってるだけ」
「ふむ、あの制御は私も可能なのだろうか......」
「やめて! わーちゃんが暴走したら、止めるの大変だから!」
「そうですか、まあ契約していますゆえ、暴走はできませんよ」
「ふー、脅かさないでよ」
「何かいるよ!!」
ルキナが耳をたてさせて、フーフーいっている。 先に暗い部屋ごがみえる。
「いくか!」
「はい!!」
オレたちは大きな部屋へ足を踏み入れた。 大きな円柱が何本もある。 祭壇のようだ。
「グ、グ、クルシイ...... コロセ...... モンスターを! コロセ......クルシイ...... モンスターを殺すのだ!!」
その声の主は、部屋の奥でうずくまりそう叫んでいた。
「......モンスター、モンスター!! 我が国を滅ぼした憎き奴ら!!!」
そういってこちらに気づいたのか立ち上がる。 その大きさはこの部屋の天井につきそうなぐらいだった。
「な、なんだ!? こいつ巨人か!」
「いえ、ほらご覧ください!」
多くのスケルトンが体にはりついて大きな体になっている。
「他のスケルトンを取り込んでいるのか!」
巨大なスケルトンは石の柱をへし折ると、体を揺らしながらこちらへと地響きをたてながら走ってくる。
「みんなふとももを狙え!! スケルトンたちは足を止めろ」
スケルトンが足を押さえている間、オレたちは魔法で太ももを狙う。 しかし太ももが削れてもすぐに再生していく。
「だめです! 再生していきます! これだけの数のスケルトンを取り込んでいるので並みの攻撃では!」
「そうか、なら最悪暴走して......」
「お待ちください! しばし時間をいただければ、策はあります!」
「わかった。 マゼルダはわーちゃんといろ! オレが前で押さえる。 ルキナ! いくぞ!」
「わかった!」
オレたちは前にでる。
「失せろ!!」
スケルトンたちが払いのけられる。
「ドワーフの剣を食らえ!!」
左足を削りぐらつかせる。
「アクセルスラッシュ!!」
ルキナは加速して風のように右足を切り裂いた。
巨大スケルトンはバランスを崩し、土煙をあげてその巨体が倒れる。
(ルキナ、魔法で加速した! あんな魔法覚えてたのか!)
「グウ...... モンスターは全て殺す......」
そういって巨大なスケルトンは地面に手をつき立ち上がろうとしている。 オレたちはその手首を切り裂くが、斬っても魔法を放っても、すぐ傷が塞がってしまう。
「くそ! 再生が早い!」
「みなさん!! 離れてください!!」
そのときわーちゃんが叫ぶ。
「よし! みんな離れろ!」
オレの声でみんな巨大スケルトンから離れた。
ーー万物の終着たる闇、汝を静寂へといざない、漆黒の棺となりたもうーー
「ダークネスコフィン」
そうわーちゃんが唱えると、部屋の天井から真っ黒な液体のようなものが垂れてきて、巨大なスケルトンにまとわりつく。 スケルトンは暴れるが、その暗いものに触れた他のスケルトンはバラバラと剥がれ落ちていく。
「これって闇魔法!? しかもかなり高位だわ!」
マゼルダが驚いている。
「なんなんだこれ? スケルトンたちが剥がれていく」
「このダークネスコフィンは、触れたものの魔力を固定化させる魔法です。 スケルトンたちは王の魔力で強制されているので、魔力を固定してしまえば」
立ち上がろうとする巨大スケルトンは、パラパラとスケルトンたちを地面に落としている。 そして剥がれた体の中央に王冠らしきものを被った骸骨が一体いた。
「あれです!! マスター! あれが王です!」
「わかった!! ダークスフィア! ダークネスフォール! ダークネスゲイザー!!」
オレはありったけの魔法を巨大スケルトンに撃ち込んだ。
「グゥ!! 止めろ! クル、シイ...... 止めろ! クルシイ...... 我は魔王をモンスターを倒すのだ! タスケ...... テ」
崩れ行く巨体の中、王が苦痛の声を漏らした。
「......いま楽にしてやる」
(わーちゃんに習った新魔法......)
ーー深き影よ、その黒き残影を、このうつしよに現せーー
「シャドウブレード」
オレは崩れゆくスケルトンの体をかけ上ると、左手に影の剣を作り出し、両手の剣で王の首をはねた。
「ァァァァァア!!」
首を跳ねると、その巨体が崩れ落ちていく。 その時落ちていく王の口が動いた。
「ミ、ナ......ス、マナ......カッ、タ......」
そう安らかな声で王の頭が落ちていき、地面に落ちた王冠の音が静寂の中響いた。
「確かにカビ臭いな」
鼻がいいルキナも辛そうだ。 オレたちは遺跡の中にはいっていた。 古い遺跡ではあるが、壁や床が正確に正方形の石がつまれ整然とした印象を受ける。
(地上にあったものは城の残骸みたいだったな)
「早くいくわよ。 奥にアンデッドたちがいるんたから」
マゼルダは人のポケットに入って腕を付き出した。
「なあ、それはいいが、マゼルダどんだけ倒せばいいんだよ」
「全部よ」
「ええ、全部!!? どのぐらいいるかも、外にいるかもしれないだろ!」
「まだ昼だから、全部ここにいるの。 夜になったら外にでてくるけどね」
「なんで夜しか来ないんだわーちゃん」
「おそらく何者かに操られているのかと」
「操られている?」
「はい、私のように操られていないアンデッドは自由に動けますが、操られているものは、使役者の魔力が届く範囲でしか動けません。 ゆえに使役者は夜に魔力をます闇属性のモンスターではないかと推察します」
「そうなのか、闇のモンスターか、だったらきっと光に弱いな。 ミリエルかクエリアのどちらかに来てもらうんだったな」
「ご心配めさるな。 このわーちゃんも、魔王島でのほほんとしていたわけではございません。 ちゃんと鍛練はしておりましたゆえ」
「そうだよ。 私もゴレサンとスピードと特訓してたんだ」
ルキナは鼻をつまみながらいう。
「そうか、まああてにしとくよ」
「頼んどいて何なんだけど、本当に大丈夫なの」
「大丈夫だよ。 ここで仲間にしたモンスターも二十はいるし、ポイルもいる」
「ポイル?」
「この子」
そういってルキナは懐からポイルをだした。
「ゲコ?」
「ふ、ふぎゃあ!! カエル!! だめ! 私カエルは! 前に食べられかけたことがあるの!」
マゼルダはオレの後ろに隠れた。
「ゲコ......」
ポイルは落ち込んで、ルキナの懐に潜る。
「ほら落ち込んだじゃないか、これはエクスポーショントードだぞ」
「エクスポーショントード!? そんな、上位モンスターもいるの!」
「ええ、これもマスターの人望のなせる業」
「......ふーん、なかなかやるわね。 ただの見た目どおりの頼りなさそうな子供とは違うのね」
そうマゼルダは意外そうにいった。
「なんか来る!」
ルキナは耳をたてている。
ガシャガシャと音がする。 奥から、剣を持ち鎧をまとった五体の骸骨があるいてくる。
「マスター、スケルトンです」
「こんなの私が!」
「ちょ、ちょっとルキナいきなりは危ない......」
そうマゼルダがいうまもなく、五体のスケルトンはルキナの爪で一瞬で両断された。
「ふぇ!!? 何なのあの子!? ただの獣人じゃない!?」
「ああ、ルキナはワーピューマだ」
「ワーピューマ!! そんな上位モンスターなの!?」
スケルトンを見ていたルキナはオレを呼んだ。
「なんだ? ルキナ」
「なんか苦しんでる」
ルキナに斬られたスケルトンたちは何か言葉を発している。
「ク、クル...... シイ......」
「タ...... スケ...... テ、クレ......」
「ほら契約印があります」
スケルトンの頭に紋様がある。
「契約すれば助けられるかな」
「おそらく契約は上書きされるでしょう」
「お前たち、契約をすればその苦痛から解放されるぞ」
「ケ......イ、ヤク...... ワカッタ......」
オレはスケルトンたちと契約をした。
「......助かりました」
オレの魔力でからだが戻ったスケルトンはそう頭を下げた。
「めちゃめちゃ流暢にしゃべるな」
「元々人間ですからね」
わーちゃんがうなづいていう。
「それで、悪いがオレの仲間にターンアンデッドをかけてもらうまで骸骨のままになるよ」
「それは構いません...... ですが助けていただいて恐縮ですが、ひとつお願いを聞いてはもらえませんか」
「お願い?」
「我らの王を解放してもらいたいのです」
「王?」
「はい、元々ここはゼーサライ王国でした」
「ゼーサライって古代の王国ね」
マゼルダがそういうと、スケルトンがうなづく。
「ええ、ですが魔王により蹂躙《じゅうりん》され滅ぼされました...... しかし滅ぼされる前にアスファ王は魔法使いの奸計《かんけい》にのってしまい禁忌の魔法に手を出したのてす」
「魔法使いにだまさたってこと?」
「ええ、それでわれらはアンデッドとなったのです」
「しかしそんな禁忌......」
わーちゃんはそういって言葉を飲み込んだ。
「そう、生者を犠牲にしてアンデッドとする邪悪なる魔法。 残りの国民を犠牲にして、我らを強制的にアンデッドとして支配したのです」
「モグモグ、ひどい王様! モグモグ」
ルキナは持ってきていたお菓子を口に含んで怒っている。
「ルキナ、食べるかしゃべるかのとっちかにしなさい」
「......そうですね。 ですが、王の憎悪はわかります。 元より民への慈愛にあふれた賢君でしたが、魔王の軍は人々をおもちゃのように殺して回りました。 おんな子供、老人、見境なく殺すその残虐さは言葉にできないほどだった...... それゆえ王は」
スケルトンたちは皆うつむいている。
「ですので倒していただきたい...... 王も我らと同じ様に苦しんでいるのです...... 解放してあげたいのです」
「まあ、そのつもりだしね。 あと他のアンデッドも解放するか」
「ですな。 同じアンデッドとして助けにはなりたいですしな」
「王様やっつければいいんだね」
「おお、ありがとうございます......」
スケルトンたちはみな深々と頭を下げた。
オレたちはでてくるアンデッドたちを次々倒し、ゴーストたちとも契約していく。
「おお! このギュレルからもらった剣めちゃくちゃ斬れるな!」
「どうやら魔力をのせられるようですな。 私の杖も魔法の威力があがっています。 ですがこの数契約して、魔力は大丈夫ですか?」
「ああ、このぐらいなら平気」
「......そうですか。 これ程のモンスターを契約して魔力を供給するとは、さすがというほかありませんな」
「うん、暴走状態を最低で制御すれば魔力切れはなさそうだね」
「そんな...... あれを制御、そんなことまでできるようになったのですか!」
「ああ、でも感情が高まりすぎれば制御できる自信はないよ。 ほんの少し漏れでる力を使ってるだけ」
「ふむ、あの制御は私も可能なのだろうか......」
「やめて! わーちゃんが暴走したら、止めるの大変だから!」
「そうですか、まあ契約していますゆえ、暴走はできませんよ」
「ふー、脅かさないでよ」
「何かいるよ!!」
ルキナが耳をたてさせて、フーフーいっている。 先に暗い部屋ごがみえる。
「いくか!」
「はい!!」
オレたちは大きな部屋へ足を踏み入れた。 大きな円柱が何本もある。 祭壇のようだ。
「グ、グ、クルシイ...... コロセ...... モンスターを! コロセ......クルシイ...... モンスターを殺すのだ!!」
その声の主は、部屋の奥でうずくまりそう叫んでいた。
「......モンスター、モンスター!! 我が国を滅ぼした憎き奴ら!!!」
そういってこちらに気づいたのか立ち上がる。 その大きさはこの部屋の天井につきそうなぐらいだった。
「な、なんだ!? こいつ巨人か!」
「いえ、ほらご覧ください!」
多くのスケルトンが体にはりついて大きな体になっている。
「他のスケルトンを取り込んでいるのか!」
巨大なスケルトンは石の柱をへし折ると、体を揺らしながらこちらへと地響きをたてながら走ってくる。
「みんなふとももを狙え!! スケルトンたちは足を止めろ」
スケルトンが足を押さえている間、オレたちは魔法で太ももを狙う。 しかし太ももが削れてもすぐに再生していく。
「だめです! 再生していきます! これだけの数のスケルトンを取り込んでいるので並みの攻撃では!」
「そうか、なら最悪暴走して......」
「お待ちください! しばし時間をいただければ、策はあります!」
「わかった。 マゼルダはわーちゃんといろ! オレが前で押さえる。 ルキナ! いくぞ!」
「わかった!」
オレたちは前にでる。
「失せろ!!」
スケルトンたちが払いのけられる。
「ドワーフの剣を食らえ!!」
左足を削りぐらつかせる。
「アクセルスラッシュ!!」
ルキナは加速して風のように右足を切り裂いた。
巨大スケルトンはバランスを崩し、土煙をあげてその巨体が倒れる。
(ルキナ、魔法で加速した! あんな魔法覚えてたのか!)
「グウ...... モンスターは全て殺す......」
そういって巨大なスケルトンは地面に手をつき立ち上がろうとしている。 オレたちはその手首を切り裂くが、斬っても魔法を放っても、すぐ傷が塞がってしまう。
「くそ! 再生が早い!」
「みなさん!! 離れてください!!」
そのときわーちゃんが叫ぶ。
「よし! みんな離れろ!」
オレの声でみんな巨大スケルトンから離れた。
ーー万物の終着たる闇、汝を静寂へといざない、漆黒の棺となりたもうーー
「ダークネスコフィン」
そうわーちゃんが唱えると、部屋の天井から真っ黒な液体のようなものが垂れてきて、巨大なスケルトンにまとわりつく。 スケルトンは暴れるが、その暗いものに触れた他のスケルトンはバラバラと剥がれ落ちていく。
「これって闇魔法!? しかもかなり高位だわ!」
マゼルダが驚いている。
「なんなんだこれ? スケルトンたちが剥がれていく」
「このダークネスコフィンは、触れたものの魔力を固定化させる魔法です。 スケルトンたちは王の魔力で強制されているので、魔力を固定してしまえば」
立ち上がろうとする巨大スケルトンは、パラパラとスケルトンたちを地面に落としている。 そして剥がれた体の中央に王冠らしきものを被った骸骨が一体いた。
「あれです!! マスター! あれが王です!」
「わかった!! ダークスフィア! ダークネスフォール! ダークネスゲイザー!!」
オレはありったけの魔法を巨大スケルトンに撃ち込んだ。
「グゥ!! 止めろ! クル、シイ...... 止めろ! クルシイ...... 我は魔王をモンスターを倒すのだ! タスケ...... テ」
崩れ行く巨体の中、王が苦痛の声を漏らした。
「......いま楽にしてやる」
(わーちゃんに習った新魔法......)
ーー深き影よ、その黒き残影を、このうつしよに現せーー
「シャドウブレード」
オレは崩れゆくスケルトンの体をかけ上ると、左手に影の剣を作り出し、両手の剣で王の首をはねた。
「ァァァァァア!!」
首を跳ねると、その巨体が崩れ落ちていく。 その時落ちていく王の口が動いた。
「ミ、ナ......ス、マナ......カッ、タ......」
そう安らかな声で王の頭が落ちていき、地面に落ちた王冠の音が静寂の中響いた。
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