3 / 38
第三話
しおりを挟む
そこは町外れで、昼なのに大きな木々が周りにあるせいか、ひどくうす暗い。
「ここはなかなかだな......」
「ぴ...... ぴ」
そこは放置された墓地のようで崩れた墓石や木の板が散乱している。 どうやら恐ろしいモンスターがでるようになり放置されたと受付のマクロさんがいっていた。
(そういや、マクロさんあそこは辞めた方がいいっていってたな。 依頼人の不利になるからこれ以上はいえないが、察してくださいとも......)
「とはいえ、全く気にせずきたんだが」
「ぴー......」
鼻唄を歌いながら歩くと、スラリーニョがあきれるようになく。
「クァクァ!」
空を飛んでいたあおまるがある場所で旋回している。
「あそこか!」
その下には朽ちた大きな教会がある。
「ここか」
中に入ると屋根がなくがらんとしている。 床板もところどころが
はげて穴になっていた。
「ぴー! ぴー!」
「なんだスラリーニョ? おっ、あれは」
教会の奥、中央の壇上の机の前に小さく光るものをみつける。 近づくと鎖がついた金のペンダントだった。
「あった、あった! 簡単だったな。 これで10000ゴールドとは楽な仕事だ」
「ぴーー!!」
スラリーニョが騒ぐ。
「教会じゃ騒いじゃいけません...... って、なんじゃこりゃ!」
振りかえると床板の穴から続々と骸骨たちがでてきた。
「ほぎゃぁぁ! 骸骨だぁぁぁ!!」
骸骨たちはワラワラとこちらに迫ってくる。
「帰り道を防がれてる!! くそ! やるしか!」
オレは剣で骸骨たちを切り裂いた。 心が痛む。
「ごめんなさい! ごめんなさい!!」
しかし斬り倒した骸骨は土くれになると、すぐ元に戻り立ち上がってくる。
「これ再生してるのか!?」
上空から突風がふき、何体かの骸骨をふきとばした。
「ナイスあおまる!」
「クァ!」
「いくぞ! 出口にはしれスラリーニョ!」
オレは少なくなった骸骨を突破しようとした。
「ぴーー!」
スラリーニョが、オレにぶつかり一緒に転ぶ。
「ぴーぴー!」
「スラリーニョ、なにして......」
そう言おうとすると黒い玉が高速で横切りそばの机をなぎ倒した。
「なんだ!?」
見ると奥に頭までのローブを被り杖を持った骸骨がいる。 その目は窪《くぼ》んでいるが、赤い光りが目のように灯っている。
「あいつか!! 今のは魔法!?」
「ぐっ! 私の眠りを妨げるのは貴様か......」
そうローブの骸骨は不快そうにしゃべった。
「なっ、しゃべれるのか!」
「......なんだ貴様、モンスターをつれている...... どういうことだ」
「知らん! なんか神様っぽいじいさんからもらった力なんだ!」
「......まあそんなことはいい...... ぐっ、絶え間ない怒りと憎悪から逃れるため眠っていた私を起こしたのだ。 早く失せぬなら、その報いは受けてもらうぞ......」
その骸骨はなにか苦しんでいるように見えた。
「まて! 話し合えるなら」
「問答無用......」
ーー根源よりいでし黒き黒き闇よ。 その力我が前に現せーー
「......ダークスフィア」
杖からさっきより大きな黒い玉がオレたちにむかってくる。 オレはスラリーニョをだき飛びかわした。 黒い玉は骸骨たちと後の壁を吹き飛ばした。
「ぐわっ! だ、大丈夫かスラリーニョ!」
「ぴ、ぴ」
「クァ!!」
あおまるが滑空してローブ骸骨に体当たりする。
「くっ、うっとうしい......」
骸骨はあおまるを捕まえた。
「あおまるになにしてんだあ!!」
「ぴーーぴー!!」
オレとスラリーニョは突撃し、剣で斬りつけスラリーニョは頭突きをする。 がすぐ斬ったり壊れた箇所も再生してしまった。
「そんな攻撃で死霊たる私を倒せると思うか......」
オレたちは腕の一振りで床に弾かれ転がる。
(ぐっ! ダメだ強い! 腕力でも勝てない! 切ってもぶつかっても再生しちまう!)
「この手でくびり殺してやろう!」
骸骨はオレに近づき首に手を掛け締め上げてくる。 その苦しさで剣を落としてしまった。
「ぴー!!!」
「クァ!!!」
あおまるとスラリーニョが、骸骨にぶつかっているようだが弾かれている。
オレは無我夢中で持ってるものを骸骨に振り回した。
パリン!
何かが割れる音がした。
「ぐ、ぐわっ!」
そうローブの骸骨は声をあげ手を離した。
「げほっ、げほっ!」
(ど、どうなった!?)
見るとオレの袋に入っていたポーションの瓶が骸骨にあたりわれ、中見が骸骨にかかっていた。 骸骨は煙を出して苦しんでいる。
(こいつ! ポーションが弱点か!)
オレは鞄からポーションの瓶を出すと骸骨に投げつける。
「ぐわっ!! や、やめろ!!」
骸骨は煙を出しながら苦しんでいる。 その赤い目が消え青く光るのをみた。
(赤い目が消えた。 あおまるの時と同じか、もしかして......)
「おい骸骨やめて欲しいならオレと契約しろ」
「な、なんだと、この私が...... いや、怒りと憎しみが消えている......
そうか! わかった契約しよう!」
なぜかあっさりそういい、手をとると骸骨の額に模様が浮き出る。
「よし! これで人を襲うなよ!」
「ええ、もちろん。 とてもいい気分だ。 こんな清々しい気持ちはこの姿になってはじめてですよ」
「どういうこと?」
「どうやら私はいにしえの魔法でワイトというモンスターにされたようです。 そして憎しみと怒りで我を忘れていたようで......」
そうワイトは頭をかいた。
「赤い目ってそういうことなの?」
「おそらく制御不能な魔力の暴走かと、それがダメージを受けたことで一瞬自我が戻り、契約により解放されたのかと思います」
そう冷静に説明してくれた。
「なるほど、それであおまるも人を攻撃していたのか...... ってことは、モンスターは全部もとに戻せるってこと?」
「どうでしょうか...... 魔力の暴走ではなく、もとより憎悪や怒りをもつものは戻せないかもしれません。 私やそこのスライムたちはそういうものがなかったのかもしれませんね」
(そうなのか...... 全部戻せればよかったんだが)
「ぴ、ぴ?」
スラリーニョを撫でながらオレは考えた。
「まあ、とりあえずお前の名前は、えっと、ワイトだから...... わーちゃんで」
「わ、わーちゃん、わ、わかりましたマスター」
オレはワイトのわーちゃんを仲間に加えた。
オレたちはギルドへと戻る。 町の人々はわーちゃんをみてさすがにざわついている。
(完全に浮いているな)
「何やら人々がざわついておりますな。 何かめずらしいものがあるのでしょうか」
わーちゃんがのほほんといった。
(お前だよ! おまえのせいだよ! とは言いづらいな)
店のガラスにうつるローブをはおった骸骨の姿をみてそう思う。
「うわぁぁあ!」
ギルド受付のマクロさんが予想通りのリアクションをした。
「な、な、なんですか...... アンデッドまで仲間にしたんですか」
小声で耳打ちしてくる。
「う、うん、あの教会にいてさ、まあ契約したし大丈夫」
「ま、まあ、みたいですけど...... ああ依頼の金のペンダントお預かりします......」
オレはカードに入金してもらい、掲示板をのぞく。
「なあ、わーちゃんこの中によさそうな依頼あるかな? できるなら殺さず仲間にできる強いやつ」
「そうですな。 私の魔法なら倒せるモンスターばかりですが、強いやつとなると、ふむ、これなどいかがか?」
一枚の依頼書を指差す。
「ゴーレム?」
「はい、岩でできた人型のモンスターで魔力で再生しますし、かなり強いです」
「報酬は2000かまずまずだな。 よしこれしよう」
オレは依頼を受けるとギルドをでた。
(まずわーちゃんを何とかするか)
この間の武具屋に入った。
「はい、いらっ、うわぁ!」
「もういいよ。 それは」
「お客さんなんなんです!?」
「ワイトのわーちゃんだよ」
「わーちゃん......」
店の親父が怯えながらわーちゃんをみる。
「とりあえず、顔を隠せそうなものない?」
そう店主に耳打ちする。
「え、ええ、さすがにこのままだと外の冒険者に敵だと思われますからね。 じゃあこの仮面とフード付きのローブなんてどうでしょう」
そう仮面を指差した。
「ふむ、確かにこれなら人を驚かせることもないか」
「えっ? 私が人を驚かせてましたか?」
そうわーちゃんは意外そうにいったがスルーする。
「そうか、ならあとオレの剣と鎧、スライムとこのウィンドバードに身に付けられるものはないかな。 5000ゴールド以内で」
「そうですな。 えっとお客さんにはこの鉄の剣と胸当て、スライムさんには鉄の兜、ウィンドバードさんにはこの疾風の指輪などいかがでしょう」
「あおまるに疾風の指輪?」
「ええ、速く動ける魔法の指輪です。 ほら足につけられるでしょう」
確かにあおまるの足にぴったりだった。
「わかった。 じゃあそれで」
「毎度どうも!」
それを身にまとい店をでる。
「うん、少し重いが何とかいけるな。 大丈夫かみんな」
「ぴーぴー!」
「クァ!」
「ええ、少しみえづらいですが、大丈夫です」
みんなそれぞれ気に入ったようだ。
「じゃああとはポーションと...... ってポーション使えないわーちゃんはどうやって回復するの?」
「私は一応時間があれば魔力で再生しますよ」
「すげー無敵じゃん!」
「いえいえ、強い魔法や魔力のこもった武器、ターンアンデッドなどの神聖魔法やヒーリング系の回復魔法、ポーションなどの回復薬で死にます」
「そうなんだ。 そういやポーションでダメージ受けるんだもんな。 なら気を付けないと...... じゃあゴーレム討伐かつ仲間にするためいくか!」
オレたちはポーションを買い、意気揚々とゴーレムのいるというスカンラ山に向かった。
スカンラ山の中腹までにモンスターと出会うが、難なくわーちゃんの魔法で蹴散らした。 ファイアスコーピオンのスピとロックリザードのロザドを契約して仲間にする。 それ以外は退治せざるおえなかった。
「かわいそうに......」
「ぴー......」
「クァ......」
「ギギ......」
「グ......」
「......仕方ないですね。 ただの動物なら放っておいてもよいのですが、この憎悪と怒りの衝動は人に向かいますから...... それに本人たちも激しく苦しみますからその苦痛より解放したと思いましょう」
わーちゃんがそういう。
(わーちゃんも苦しくて眠りについたらしいからな。 よほど苦しいんだろうな)
「そうだな......」
オレたちは倒したモンスターを土に埋め供養する。
「それにしても、そもそもなんなんだモンスターって?」
わーちゃんにオレは聞いた。
「そうですね。 端的に言えば魔力を浴びて変質した生物や物質でしょうか」
「ふーん、前から気になってたけど魔力ってなに?」
「魔力とはこの世界に満ちる源たる力です。 感情などからも生まれます。 そして、より濃い場所に強いモンスターが生まれ、さらに魔法へと変換できる力でもありますね」
「源の力か...... オレも魔法使えるの?」
「ええ、魔力を練り、特定の言葉や音、記号を使えば誰にでも使えます。 お教えしましょうか」
「頼むよわーちゃん。 みんなにも教えてやってくれ」
「了解しましたマスター」
オレたちは道中わーちゃんに魔力の使い方と魔法を教えてもらうことにした。
「ここはなかなかだな......」
「ぴ...... ぴ」
そこは放置された墓地のようで崩れた墓石や木の板が散乱している。 どうやら恐ろしいモンスターがでるようになり放置されたと受付のマクロさんがいっていた。
(そういや、マクロさんあそこは辞めた方がいいっていってたな。 依頼人の不利になるからこれ以上はいえないが、察してくださいとも......)
「とはいえ、全く気にせずきたんだが」
「ぴー......」
鼻唄を歌いながら歩くと、スラリーニョがあきれるようになく。
「クァクァ!」
空を飛んでいたあおまるがある場所で旋回している。
「あそこか!」
その下には朽ちた大きな教会がある。
「ここか」
中に入ると屋根がなくがらんとしている。 床板もところどころが
はげて穴になっていた。
「ぴー! ぴー!」
「なんだスラリーニョ? おっ、あれは」
教会の奥、中央の壇上の机の前に小さく光るものをみつける。 近づくと鎖がついた金のペンダントだった。
「あった、あった! 簡単だったな。 これで10000ゴールドとは楽な仕事だ」
「ぴーー!!」
スラリーニョが騒ぐ。
「教会じゃ騒いじゃいけません...... って、なんじゃこりゃ!」
振りかえると床板の穴から続々と骸骨たちがでてきた。
「ほぎゃぁぁ! 骸骨だぁぁぁ!!」
骸骨たちはワラワラとこちらに迫ってくる。
「帰り道を防がれてる!! くそ! やるしか!」
オレは剣で骸骨たちを切り裂いた。 心が痛む。
「ごめんなさい! ごめんなさい!!」
しかし斬り倒した骸骨は土くれになると、すぐ元に戻り立ち上がってくる。
「これ再生してるのか!?」
上空から突風がふき、何体かの骸骨をふきとばした。
「ナイスあおまる!」
「クァ!」
「いくぞ! 出口にはしれスラリーニョ!」
オレは少なくなった骸骨を突破しようとした。
「ぴーー!」
スラリーニョが、オレにぶつかり一緒に転ぶ。
「ぴーぴー!」
「スラリーニョ、なにして......」
そう言おうとすると黒い玉が高速で横切りそばの机をなぎ倒した。
「なんだ!?」
見ると奥に頭までのローブを被り杖を持った骸骨がいる。 その目は窪《くぼ》んでいるが、赤い光りが目のように灯っている。
「あいつか!! 今のは魔法!?」
「ぐっ! 私の眠りを妨げるのは貴様か......」
そうローブの骸骨は不快そうにしゃべった。
「なっ、しゃべれるのか!」
「......なんだ貴様、モンスターをつれている...... どういうことだ」
「知らん! なんか神様っぽいじいさんからもらった力なんだ!」
「......まあそんなことはいい...... ぐっ、絶え間ない怒りと憎悪から逃れるため眠っていた私を起こしたのだ。 早く失せぬなら、その報いは受けてもらうぞ......」
その骸骨はなにか苦しんでいるように見えた。
「まて! 話し合えるなら」
「問答無用......」
ーー根源よりいでし黒き黒き闇よ。 その力我が前に現せーー
「......ダークスフィア」
杖からさっきより大きな黒い玉がオレたちにむかってくる。 オレはスラリーニョをだき飛びかわした。 黒い玉は骸骨たちと後の壁を吹き飛ばした。
「ぐわっ! だ、大丈夫かスラリーニョ!」
「ぴ、ぴ」
「クァ!!」
あおまるが滑空してローブ骸骨に体当たりする。
「くっ、うっとうしい......」
骸骨はあおまるを捕まえた。
「あおまるになにしてんだあ!!」
「ぴーーぴー!!」
オレとスラリーニョは突撃し、剣で斬りつけスラリーニョは頭突きをする。 がすぐ斬ったり壊れた箇所も再生してしまった。
「そんな攻撃で死霊たる私を倒せると思うか......」
オレたちは腕の一振りで床に弾かれ転がる。
(ぐっ! ダメだ強い! 腕力でも勝てない! 切ってもぶつかっても再生しちまう!)
「この手でくびり殺してやろう!」
骸骨はオレに近づき首に手を掛け締め上げてくる。 その苦しさで剣を落としてしまった。
「ぴー!!!」
「クァ!!!」
あおまるとスラリーニョが、骸骨にぶつかっているようだが弾かれている。
オレは無我夢中で持ってるものを骸骨に振り回した。
パリン!
何かが割れる音がした。
「ぐ、ぐわっ!」
そうローブの骸骨は声をあげ手を離した。
「げほっ、げほっ!」
(ど、どうなった!?)
見るとオレの袋に入っていたポーションの瓶が骸骨にあたりわれ、中見が骸骨にかかっていた。 骸骨は煙を出して苦しんでいる。
(こいつ! ポーションが弱点か!)
オレは鞄からポーションの瓶を出すと骸骨に投げつける。
「ぐわっ!! や、やめろ!!」
骸骨は煙を出しながら苦しんでいる。 その赤い目が消え青く光るのをみた。
(赤い目が消えた。 あおまるの時と同じか、もしかして......)
「おい骸骨やめて欲しいならオレと契約しろ」
「な、なんだと、この私が...... いや、怒りと憎しみが消えている......
そうか! わかった契約しよう!」
なぜかあっさりそういい、手をとると骸骨の額に模様が浮き出る。
「よし! これで人を襲うなよ!」
「ええ、もちろん。 とてもいい気分だ。 こんな清々しい気持ちはこの姿になってはじめてですよ」
「どういうこと?」
「どうやら私はいにしえの魔法でワイトというモンスターにされたようです。 そして憎しみと怒りで我を忘れていたようで......」
そうワイトは頭をかいた。
「赤い目ってそういうことなの?」
「おそらく制御不能な魔力の暴走かと、それがダメージを受けたことで一瞬自我が戻り、契約により解放されたのかと思います」
そう冷静に説明してくれた。
「なるほど、それであおまるも人を攻撃していたのか...... ってことは、モンスターは全部もとに戻せるってこと?」
「どうでしょうか...... 魔力の暴走ではなく、もとより憎悪や怒りをもつものは戻せないかもしれません。 私やそこのスライムたちはそういうものがなかったのかもしれませんね」
(そうなのか...... 全部戻せればよかったんだが)
「ぴ、ぴ?」
スラリーニョを撫でながらオレは考えた。
「まあ、とりあえずお前の名前は、えっと、ワイトだから...... わーちゃんで」
「わ、わーちゃん、わ、わかりましたマスター」
オレはワイトのわーちゃんを仲間に加えた。
オレたちはギルドへと戻る。 町の人々はわーちゃんをみてさすがにざわついている。
(完全に浮いているな)
「何やら人々がざわついておりますな。 何かめずらしいものがあるのでしょうか」
わーちゃんがのほほんといった。
(お前だよ! おまえのせいだよ! とは言いづらいな)
店のガラスにうつるローブをはおった骸骨の姿をみてそう思う。
「うわぁぁあ!」
ギルド受付のマクロさんが予想通りのリアクションをした。
「な、な、なんですか...... アンデッドまで仲間にしたんですか」
小声で耳打ちしてくる。
「う、うん、あの教会にいてさ、まあ契約したし大丈夫」
「ま、まあ、みたいですけど...... ああ依頼の金のペンダントお預かりします......」
オレはカードに入金してもらい、掲示板をのぞく。
「なあ、わーちゃんこの中によさそうな依頼あるかな? できるなら殺さず仲間にできる強いやつ」
「そうですな。 私の魔法なら倒せるモンスターばかりですが、強いやつとなると、ふむ、これなどいかがか?」
一枚の依頼書を指差す。
「ゴーレム?」
「はい、岩でできた人型のモンスターで魔力で再生しますし、かなり強いです」
「報酬は2000かまずまずだな。 よしこれしよう」
オレは依頼を受けるとギルドをでた。
(まずわーちゃんを何とかするか)
この間の武具屋に入った。
「はい、いらっ、うわぁ!」
「もういいよ。 それは」
「お客さんなんなんです!?」
「ワイトのわーちゃんだよ」
「わーちゃん......」
店の親父が怯えながらわーちゃんをみる。
「とりあえず、顔を隠せそうなものない?」
そう店主に耳打ちする。
「え、ええ、さすがにこのままだと外の冒険者に敵だと思われますからね。 じゃあこの仮面とフード付きのローブなんてどうでしょう」
そう仮面を指差した。
「ふむ、確かにこれなら人を驚かせることもないか」
「えっ? 私が人を驚かせてましたか?」
そうわーちゃんは意外そうにいったがスルーする。
「そうか、ならあとオレの剣と鎧、スライムとこのウィンドバードに身に付けられるものはないかな。 5000ゴールド以内で」
「そうですな。 えっとお客さんにはこの鉄の剣と胸当て、スライムさんには鉄の兜、ウィンドバードさんにはこの疾風の指輪などいかがでしょう」
「あおまるに疾風の指輪?」
「ええ、速く動ける魔法の指輪です。 ほら足につけられるでしょう」
確かにあおまるの足にぴったりだった。
「わかった。 じゃあそれで」
「毎度どうも!」
それを身にまとい店をでる。
「うん、少し重いが何とかいけるな。 大丈夫かみんな」
「ぴーぴー!」
「クァ!」
「ええ、少しみえづらいですが、大丈夫です」
みんなそれぞれ気に入ったようだ。
「じゃああとはポーションと...... ってポーション使えないわーちゃんはどうやって回復するの?」
「私は一応時間があれば魔力で再生しますよ」
「すげー無敵じゃん!」
「いえいえ、強い魔法や魔力のこもった武器、ターンアンデッドなどの神聖魔法やヒーリング系の回復魔法、ポーションなどの回復薬で死にます」
「そうなんだ。 そういやポーションでダメージ受けるんだもんな。 なら気を付けないと...... じゃあゴーレム討伐かつ仲間にするためいくか!」
オレたちはポーションを買い、意気揚々とゴーレムのいるというスカンラ山に向かった。
スカンラ山の中腹までにモンスターと出会うが、難なくわーちゃんの魔法で蹴散らした。 ファイアスコーピオンのスピとロックリザードのロザドを契約して仲間にする。 それ以外は退治せざるおえなかった。
「かわいそうに......」
「ぴー......」
「クァ......」
「ギギ......」
「グ......」
「......仕方ないですね。 ただの動物なら放っておいてもよいのですが、この憎悪と怒りの衝動は人に向かいますから...... それに本人たちも激しく苦しみますからその苦痛より解放したと思いましょう」
わーちゃんがそういう。
(わーちゃんも苦しくて眠りについたらしいからな。 よほど苦しいんだろうな)
「そうだな......」
オレたちは倒したモンスターを土に埋め供養する。
「それにしても、そもそもなんなんだモンスターって?」
わーちゃんにオレは聞いた。
「そうですね。 端的に言えば魔力を浴びて変質した生物や物質でしょうか」
「ふーん、前から気になってたけど魔力ってなに?」
「魔力とはこの世界に満ちる源たる力です。 感情などからも生まれます。 そして、より濃い場所に強いモンスターが生まれ、さらに魔法へと変換できる力でもありますね」
「源の力か...... オレも魔法使えるの?」
「ええ、魔力を練り、特定の言葉や音、記号を使えば誰にでも使えます。 お教えしましょうか」
「頼むよわーちゃん。 みんなにも教えてやってくれ」
「了解しましたマスター」
オレたちは道中わーちゃんに魔力の使い方と魔法を教えてもらうことにした。
0
お気に入りに追加
144
あなたにおすすめの小説


異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
2回目の人生は異世界で
黒ハット
ファンタジー
増田信也は初めてのデートの待ち合わせ場所に行く途中ペットの子犬を抱いて横断歩道を信号が青で渡っていた時に大型トラックが暴走して来てトラックに跳ね飛ばされて内臓が破裂して即死したはずだが、気が付くとそこは見知らぬ異世界の遺跡の中で、何故かペットの柴犬と異世界に生き返った。2日目の人生は異世界で生きる事になった
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる