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第三十二話 人形師《ドールマスター》
しおりを挟む「え……僕、死んだんですか? 生き返ったんじゃないんですか?」
「誠に残念ですが」
「そんな……」
「光村哉太様、貴方は生き返った訳ではありません。 今はまだ」
「え……それって、どう言う……」
光村哉太は、生き返った訳ではない、だが女神セラの、今はまだと言う言葉に、困惑していた。
「__じゃあ、ここって、どこなんですか? 天国とか地獄には見えないし、一体ここは」
「ここはガーデン、あの世とこの世の中心点に存在する場所です。 そしてガーデンとは、女神が死んだ人間の魂を導く場所でもあります」
「え……えっとぉ」
「とても困惑されていますね。 無理もありません。 ゆっくりと説明をさせて頂きます」
「は、はい……」
「地球の日本時間で、2027年4月7日 午前8時27分35秒……光村哉太様は通り魔であり薬物中毒者である林哲夫によって、包丁でお腹を刺され、貴方の意識は、ここガーデンへと導かれました」
「やっぱりあの時、僕は刺されたんだ」
「はい」
「でも、どうしてここに僕の意識が」
「貴方が強くそれを望まれたからでございます」
「僕が?」
「はい、通り魔に刺され、意識が朦朧としていた時、私は貴方に問いました。 生きたいかと、そして貴方は強く、生きたいと願った」
「!」
「私はその事を承諾し、貴方の魂をここへ導かせて頂きました」
「そうだ……僕はあの時……! あの!」
「はい……なんでございましょうか」
「佳奈は、佳奈は大丈夫なんですか! 生きてますよね!」
「はい、野村佳奈様は、今も生きています。 今は病院で、手術を終え意識が戻らない貴方のすぐ側にいます」
「意識が戻らない?」
「はい」
「それはきっと、僕がここにいるからですよね。 生き返る事ができるなら、僕を現世に戻してもらえませんか! お願いします!」
哉太は、これでもかと言うぐらい、頭を下げ、女神セラに頼んだ。
「そうする事自体は可能ですが、それはできません」
「え……なんでですか」
「今この状態で意識を戻せば、貴方はそのまま死んでしまうからです」
「え、でも今ここに」
「それは貴方の魂のみをガーデンに置いている為です。 貴方の本物の身体は、本来であれば死んでいる傷です。 手術したものの、身体がとても弱っています。 今このまま戻しても、貴方は生き返る事ができません」
「そんな……じゃあ僕は、二度と佳奈に」
「顔を上げてください……光村哉太様、方法がない訳では無いのです」
「え……」
「貴方が生き返る方法が、私が知る限り1つだけございます。 その1つと言うのは、別の次元の世界へと行き、そこで生命力を高めてもらうのです」
「別の世界?」
「分かりやすく言うのなら、異世界と呼ばれる場所でございます」
「い、異世界!? それって、アニメとかでよく聞く、あの異世界ですか?」
「はい、その異世界です」
「でも、どうして異世界に? それに生命力って」
「先程も申し上げた通り、今のあなたの身体は、生命力が0に等しいのです。 生命力を上げるには、どこか別の場所で、身体を動かし、生命力を上げていくのです」
「生命力って、身体を動かすだけで上がるんですか?」
「本来であれば、身体を動かすだけではなんの意味もありません。 ですがそこは、女神の力を使わせて頂きます」
「女神の力……」
「はい。 そして、生命力を上げる手助けとして、貴方に1つ、能力を授けました」
「能力って、一体どんな」
「『オーバー』という能力です。 ある条件を満たした時、貴方は限界を越えた力を得ることができます。 知識、パワー、思考速度、視野の拡大」
「なんか、凄いですね。 それでその、条件と言うのは」
「それは、特定の気持ちが深く高まった時です」
「特定の、気持ち」
「はい、詳しくは、実際使われた方が早いでしょう」
「わ、分かりました」
「それでは、異世界に向かうに辺り、絶対のルールをご説明させて頂きます」
「ルールですか?」
「はい。 異世界に行った際、基本的には、光村哉太様がなにをしても、我々は干渉しませんし、自由です。 ですが度を超えた行為、功績をした場合には、それなりの処罰が下ります。 度合いの大きさは、私女神セラが判断します」
「分かりました」
「世界を救い英雄になったり、困っている人々を助ける、そういった行ないは全然良いのですが、逆に世界を破壊、支配等の行為は処罰の対象になります」
「はい」
「それと、異世界の時間軸と日本の時間軸は全く違い、お互いに関与してません。 ですので異世界でどれだけの時間を過ごそうとも、戻る時には、あの瞬間の時間に戻すことが可能ですので、ご心配なさらなくて大丈夫でございます」
「そうなんですね! それは良かったです」
「他に何かご質問はありますでしょうか」
「異世界で死んでしまった場合って、どうなっちゃうんですか?」
「その時は、特定の回数内では生き返ることが可能です。 異世界では日本と違い魂の他に魔力という力が身体に流れています。 その魔力が尽きていなければ、可能です」
「そうなんですね」
「はい。 ちなみにその特定の回数は、私の力では、6回が限度です」
「6、分かりました。 頑張って生きます」
「はい。 それでは、光村哉太様、貴方を異世界へと転送します。 どうが貴方に、女神の奇跡があらんことを」
女神セラは右手を前に出し、光村哉太に転送魔法をかけ、身体が少しずつ透けていった。 消えた時には異世界に辿り着くと言うものだ。
「___」
光村哉太は、ゆっくりと目を開けた。
「ここが異世界、凄いな。 アニメやゲームで見たのと同じだ」
人生で初めて異世界に行き、ワクワクしていた。
「こういう時は、まずギルド、街の方だよな。 行くか」
光村哉太は、まず戦う職業、冒険者になる為に、ギルドがある街の方へと歩いていった。
~それと同じ頃、ある城にて~
「おい、いたか?」
「いやいない、早く見つけるぞ」
「あぁ、大罪人を処刑しないとなぁ」
「騎士アウラ、必ず見つけ出して、殺す」
「__はぁ……はぁはぁ(私はまだ死ぬ訳にはいかない)」
右腕を斬られ、頭からも血を流していた騎士長アウラという少女は、一般兵を殺した容疑者の汚名をきせられ、国から追われていた。
「(マイ、ごめん)」
ある約束の為、死ぬ訳にはいかない彼女はフードを被り、木を隠すなら森の中ということで、街の方へと逃げた。
「誠に残念ですが」
「そんな……」
「光村哉太様、貴方は生き返った訳ではありません。 今はまだ」
「え……それって、どう言う……」
光村哉太は、生き返った訳ではない、だが女神セラの、今はまだと言う言葉に、困惑していた。
「__じゃあ、ここって、どこなんですか? 天国とか地獄には見えないし、一体ここは」
「ここはガーデン、あの世とこの世の中心点に存在する場所です。 そしてガーデンとは、女神が死んだ人間の魂を導く場所でもあります」
「え……えっとぉ」
「とても困惑されていますね。 無理もありません。 ゆっくりと説明をさせて頂きます」
「は、はい……」
「地球の日本時間で、2027年4月7日 午前8時27分35秒……光村哉太様は通り魔であり薬物中毒者である林哲夫によって、包丁でお腹を刺され、貴方の意識は、ここガーデンへと導かれました」
「やっぱりあの時、僕は刺されたんだ」
「はい」
「でも、どうしてここに僕の意識が」
「貴方が強くそれを望まれたからでございます」
「僕が?」
「はい、通り魔に刺され、意識が朦朧としていた時、私は貴方に問いました。 生きたいかと、そして貴方は強く、生きたいと願った」
「!」
「私はその事を承諾し、貴方の魂をここへ導かせて頂きました」
「そうだ……僕はあの時……! あの!」
「はい……なんでございましょうか」
「佳奈は、佳奈は大丈夫なんですか! 生きてますよね!」
「はい、野村佳奈様は、今も生きています。 今は病院で、手術を終え意識が戻らない貴方のすぐ側にいます」
「意識が戻らない?」
「はい」
「それはきっと、僕がここにいるからですよね。 生き返る事ができるなら、僕を現世に戻してもらえませんか! お願いします!」
哉太は、これでもかと言うぐらい、頭を下げ、女神セラに頼んだ。
「そうする事自体は可能ですが、それはできません」
「え……なんでですか」
「今この状態で意識を戻せば、貴方はそのまま死んでしまうからです」
「え、でも今ここに」
「それは貴方の魂のみをガーデンに置いている為です。 貴方の本物の身体は、本来であれば死んでいる傷です。 手術したものの、身体がとても弱っています。 今このまま戻しても、貴方は生き返る事ができません」
「そんな……じゃあ僕は、二度と佳奈に」
「顔を上げてください……光村哉太様、方法がない訳では無いのです」
「え……」
「貴方が生き返る方法が、私が知る限り1つだけございます。 その1つと言うのは、別の次元の世界へと行き、そこで生命力を高めてもらうのです」
「別の世界?」
「分かりやすく言うのなら、異世界と呼ばれる場所でございます」
「い、異世界!? それって、アニメとかでよく聞く、あの異世界ですか?」
「はい、その異世界です」
「でも、どうして異世界に? それに生命力って」
「先程も申し上げた通り、今のあなたの身体は、生命力が0に等しいのです。 生命力を上げるには、どこか別の場所で、身体を動かし、生命力を上げていくのです」
「生命力って、身体を動かすだけで上がるんですか?」
「本来であれば、身体を動かすだけではなんの意味もありません。 ですがそこは、女神の力を使わせて頂きます」
「女神の力……」
「はい。 そして、生命力を上げる手助けとして、貴方に1つ、能力を授けました」
「能力って、一体どんな」
「『オーバー』という能力です。 ある条件を満たした時、貴方は限界を越えた力を得ることができます。 知識、パワー、思考速度、視野の拡大」
「なんか、凄いですね。 それでその、条件と言うのは」
「それは、特定の気持ちが深く高まった時です」
「特定の、気持ち」
「はい、詳しくは、実際使われた方が早いでしょう」
「わ、分かりました」
「それでは、異世界に向かうに辺り、絶対のルールをご説明させて頂きます」
「ルールですか?」
「はい。 異世界に行った際、基本的には、光村哉太様がなにをしても、我々は干渉しませんし、自由です。 ですが度を超えた行為、功績をした場合には、それなりの処罰が下ります。 度合いの大きさは、私女神セラが判断します」
「分かりました」
「世界を救い英雄になったり、困っている人々を助ける、そういった行ないは全然良いのですが、逆に世界を破壊、支配等の行為は処罰の対象になります」
「はい」
「それと、異世界の時間軸と日本の時間軸は全く違い、お互いに関与してません。 ですので異世界でどれだけの時間を過ごそうとも、戻る時には、あの瞬間の時間に戻すことが可能ですので、ご心配なさらなくて大丈夫でございます」
「そうなんですね! それは良かったです」
「他に何かご質問はありますでしょうか」
「異世界で死んでしまった場合って、どうなっちゃうんですか?」
「その時は、特定の回数内では生き返ることが可能です。 異世界では日本と違い魂の他に魔力という力が身体に流れています。 その魔力が尽きていなければ、可能です」
「そうなんですね」
「はい。 ちなみにその特定の回数は、私の力では、6回が限度です」
「6、分かりました。 頑張って生きます」
「はい。 それでは、光村哉太様、貴方を異世界へと転送します。 どうが貴方に、女神の奇跡があらんことを」
女神セラは右手を前に出し、光村哉太に転送魔法をかけ、身体が少しずつ透けていった。 消えた時には異世界に辿り着くと言うものだ。
「___」
光村哉太は、ゆっくりと目を開けた。
「ここが異世界、凄いな。 アニメやゲームで見たのと同じだ」
人生で初めて異世界に行き、ワクワクしていた。
「こういう時は、まずギルド、街の方だよな。 行くか」
光村哉太は、まず戦う職業、冒険者になる為に、ギルドがある街の方へと歩いていった。
~それと同じ頃、ある城にて~
「おい、いたか?」
「いやいない、早く見つけるぞ」
「あぁ、大罪人を処刑しないとなぁ」
「騎士アウラ、必ず見つけ出して、殺す」
「__はぁ……はぁはぁ(私はまだ死ぬ訳にはいかない)」
右腕を斬られ、頭からも血を流していた騎士長アウラという少女は、一般兵を殺した容疑者の汚名をきせられ、国から追われていた。
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ある約束の為、死ぬ訳にはいかない彼女はフードを被り、木を隠すなら森の中ということで、街の方へと逃げた。
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