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第二十五話 工業国アレグリア
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「我を噛むでない。
シンジ、メルアよ」
「オレのぶたまんだー!! がるるるるぅ!!」
「わたしのよー! がるるるるぅ!!」
「お二人ともしっかり!
ベルさんは食べ物ではありませんよ!」
リーゼルの声でオレたちはハッと我に返った。
「そうかすまんベル。
つい」
「ごめん」
「まあ、仕方あるまい。
この一週間ろくなものを食べておらん。
我は大丈夫じゃが、お主たちは我の魔力で作った食べ物だけだからな」
オレたちが国を出て二週間、金が尽き果て、馬車も借りられないから、アレグリアまで歩いてきたのだった。
「くっ......
モンスターでも狩って金にしようにも、いないんじゃどーしようもない」
「ここいらは衛兵が配置されてるからモンスターなんていないわよ」
「アレグリアはアイテムの貿易で成り立っている国なので、物流にかなり力をいれているんです」
その時前に商人と思わしき一団がさきに見えた。
「もう限界だ......
こうなってはやるしかないか......」
「ええ、残念だけど、背に腹は変えられないわ......」
「お主たちまさか、止めよ。
前に犯罪は許されんといっておったではないか」
「ベルよわかってくれ。
生きるということは時として残酷なものなんだ。
涙をこらえて他人を踏みつけにすることはやむを得ないときもある」
「そうよ。
動物を食べるように生き物である以上自らを優先するのは仕方ないわ。
悲しいけどこれが自然の摂理なのよ」
「ま、待ってくださいシンジさん! メルアさん!」
「ヒャッハーーー!! その荷物よこせーー!!」
「わたしの気分しだいでその命は決まると知りなさーい!!」
「ノリノリではないか。
まずいとめねば」
オレたちが商人に追い付くと、商人たちは盗賊らしきものたちに襲われていた。
「これは!? メルア!」
「了解!!」
オレたちは攻撃対象を盗賊に切り替え、瞬く間に盗賊を追い払った。
「本当にありがとうございました」
オレたちは助けた商人たちからもてなしをうけた。
「いいえ、困った人がいたなら助けるのがあたりまえですから、ましてや人のものをとろうなどという愚か者共には正義の鉄槌が必要でしょう。
なあメルア」
「そうシンジのいうとおり、恐怖もあったけどやはり聖なる魂が私たちを突き動かしたといえるわ」
「お前たちの精神構造はどうなっているのだ」
そういうベルの口をオレはふさいだ。
「さすが、高いこころざしをお持ちのようだ。
私はワーカード、ワーカード商会のものです」
「ワーカード商会といえばアレグリアの商会ですね」
リーゼルがそういう。
「ええ、最近荷物が奪われていて困っているのですよ。
今回も魔力感知に引っ掛からなかったようで」
そういって傷ついた護衛の者を見た。
「うむ、やはり、魔力感知を防ぐマントか」
「はい、あのマントが盗賊の手にわたったことで荷物への襲撃が激増していましてな」
「でもあんなものをつくれるのはアレグリアの職人だけでは?
アレグリアの商会の方がそれを知らないなんて」
リーゼルはそうきく。
「確かに我々も職人が関わってると思い調べたのですが。
何も出てこなくて......」
「だったらわたしたちが調べてあげるわ」
自信満々で、メルアがそういう。
「本当ですか! ぜひお願いしたい!」
「でもぉ、先立つものがないとぉ」
「わかりました。
まず前払いで半分、解決した場合にもう半分ということでどうでしょう」
「それでいいわ!」
「いいのかよ。 そんな依頼うけて」
こそこそとオレが聞く。
「いいのよ。
どうせレスパーの依頼と同じなんだから両方もらう方がお得でしょ」
「なるほど!
さっすがメルアのアネゴムダにこずるい!」
「あっはっは、もーっとほめなさーい!」
「それほめとるのか?」
そうベルはあきれていった。
シンジ、メルアよ」
「オレのぶたまんだー!! がるるるるぅ!!」
「わたしのよー! がるるるるぅ!!」
「お二人ともしっかり!
ベルさんは食べ物ではありませんよ!」
リーゼルの声でオレたちはハッと我に返った。
「そうかすまんベル。
つい」
「ごめん」
「まあ、仕方あるまい。
この一週間ろくなものを食べておらん。
我は大丈夫じゃが、お主たちは我の魔力で作った食べ物だけだからな」
オレたちが国を出て二週間、金が尽き果て、馬車も借りられないから、アレグリアまで歩いてきたのだった。
「くっ......
モンスターでも狩って金にしようにも、いないんじゃどーしようもない」
「ここいらは衛兵が配置されてるからモンスターなんていないわよ」
「アレグリアはアイテムの貿易で成り立っている国なので、物流にかなり力をいれているんです」
その時前に商人と思わしき一団がさきに見えた。
「もう限界だ......
こうなってはやるしかないか......」
「ええ、残念だけど、背に腹は変えられないわ......」
「お主たちまさか、止めよ。
前に犯罪は許されんといっておったではないか」
「ベルよわかってくれ。
生きるということは時として残酷なものなんだ。
涙をこらえて他人を踏みつけにすることはやむを得ないときもある」
「そうよ。
動物を食べるように生き物である以上自らを優先するのは仕方ないわ。
悲しいけどこれが自然の摂理なのよ」
「ま、待ってくださいシンジさん! メルアさん!」
「ヒャッハーーー!! その荷物よこせーー!!」
「わたしの気分しだいでその命は決まると知りなさーい!!」
「ノリノリではないか。
まずいとめねば」
オレたちが商人に追い付くと、商人たちは盗賊らしきものたちに襲われていた。
「これは!? メルア!」
「了解!!」
オレたちは攻撃対象を盗賊に切り替え、瞬く間に盗賊を追い払った。
「本当にありがとうございました」
オレたちは助けた商人たちからもてなしをうけた。
「いいえ、困った人がいたなら助けるのがあたりまえですから、ましてや人のものをとろうなどという愚か者共には正義の鉄槌が必要でしょう。
なあメルア」
「そうシンジのいうとおり、恐怖もあったけどやはり聖なる魂が私たちを突き動かしたといえるわ」
「お前たちの精神構造はどうなっているのだ」
そういうベルの口をオレはふさいだ。
「さすが、高いこころざしをお持ちのようだ。
私はワーカード、ワーカード商会のものです」
「ワーカード商会といえばアレグリアの商会ですね」
リーゼルがそういう。
「ええ、最近荷物が奪われていて困っているのですよ。
今回も魔力感知に引っ掛からなかったようで」
そういって傷ついた護衛の者を見た。
「うむ、やはり、魔力感知を防ぐマントか」
「はい、あのマントが盗賊の手にわたったことで荷物への襲撃が激増していましてな」
「でもあんなものをつくれるのはアレグリアの職人だけでは?
アレグリアの商会の方がそれを知らないなんて」
リーゼルはそうきく。
「確かに我々も職人が関わってると思い調べたのですが。
何も出てこなくて......」
「だったらわたしたちが調べてあげるわ」
自信満々で、メルアがそういう。
「本当ですか! ぜひお願いしたい!」
「でもぉ、先立つものがないとぉ」
「わかりました。
まず前払いで半分、解決した場合にもう半分ということでどうでしょう」
「それでいいわ!」
「いいのかよ。 そんな依頼うけて」
こそこそとオレが聞く。
「いいのよ。
どうせレスパーの依頼と同じなんだから両方もらう方がお得でしょ」
「なるほど!
さっすがメルアのアネゴムダにこずるい!」
「あっはっは、もーっとほめなさーい!」
「それほめとるのか?」
そうベルはあきれていった。
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