46 / 51
第四十六話
しおりを挟む
「やはり城の部分は誰いないし、形だけだな」
(透視した通りだ。 しかしかなり地下に大きな部屋がある...... そこは暗かったが、何かがいた)
「ここに下に降りる階段があるな」
アエルが緊張気味にいう。
「ゆっくり降りよう」
螺旋のような石階段を慎重に降りる。
「地獄に向かっているようだ......」
「やめてよセリナ」
ケイレスたちがそういっている。
しばらくして地下深くへおりた。 前に巨大に鉄の扉がある。
(【遠隔透視]《リモートビューイング》でみると、ここが大きな部屋か暗いが何かがいる。 心を読んでいるが明瞭じゃないな。 もう少し近づかないと......)
私は近づくと足を止めた。
「どうしたのですか?」
そういうレイエルたちを私は制止する。
「だめだ。 ここから先はいってはいけない......」
「もうすぐ魔王なのに! 魔王石がないと魔族と戦うことになります!」
フォグが焦る。
「後で説明するから。 フォグ、魔王石はどんなもの。 ここで教えて私が取ってくる」
困惑するフォグは形状や色を教えてくれた。
「わかった。 みんなはこの上で待っていて」
「どういうこと?」
ケイレスをアエルが止める。
「......わかった。 ついていってはだめなのだな」
「......ええ」
みな渋々だが納得して階段を上にのぼっていく。
(ごめん、この先は......)
扉の前から扉の奥へとリスク覚悟で【瞬間移動】《テレポート》する。
そこは真っ暗で広く奥が見えない。
「ぐ......」
「ぎぃ......」
そう左右から声のようなものが聞こえる。
(これは......)
奥まで進むと、誰かが巨大な椅子のようなものに座っている。 それは片腕のない黒髪の男だった。
「なにものだ...... 魔族はここには入れない。 人間か......」
「ええそう。 あなたには角がない。 人間なの」
「頭に直接 ......ここになにをしに来た」
「それより、こちらの質問に答えて。 これはなに?」
その場を【光念力】《フォトンキネシス》を使い照らした。
左右には黒い剣を持ち全身鎧をきたものたちが、並び苦しそうにうめいている。
「魔法...... ここでは魔法は使えないはず......」
「彼らは勇者じゃないの」
「......そうだ。 かつての勇者たちだ」
「かつての勇者たち...... いったいあなたは...... 魔王なの」
(心がこんなに寂しげなのは初めて。 考えていないんじゃない。 とてつもない苦しみを感じる。 なにこの人は...... さっきから胸騒ぎが収まらない)
「私はゼフォレイド、この世界を断罪するもの......」
「断罪......」
「お前が何者かはもういい...... もうすぐ救いを与えてやれる。 お前はこのまま帰るのだ」
「そうはいかない......」
(どこだ...... 魔王石、赤い丸い宝石......)
【遠隔透視】《リモートビューイング》で周囲をくまなく探す。
(あった。 後の石の椅子のようなものの真ん中か......)
「帰らぬのなら......」
一瞬寒気がし、距離をとると目の前を光るものが通過した。
それはゼフォレイドのふるう剣先だった。
「【念力】《サイコキネシス》!!」
ゼフォレイドの動きを止める。
(なんだ!? 心を読んでいたのに、速すぎる。 やはり)
「勇者なの!」
「......元だがな」
ゼフォレイドからぶちぶち音が聞こえ、私の【念力】《サイコキネシス》に逆らい、体を動かしている。
「やめて! 体が持たない!」
大量の血が流れている。 だが、煙がたつとその血はチリのようにきえた。
「回復した......」
そして目の前に剣が迫る。
(心を読んでも速すぎて回避がやっとだ!)
「【念力】《サイコキネシス》」
ゼフォレイドを一瞬距離をはなす。
「【影念力】《シャドウキネシス》、【音念力】《フォノンキネシス》そして......」
明かりを消し、影にひそむ。
(なんの魔法だ...... 音もしない。 いやそもそもここで魔法など使えんはずだ......)
ゼフォレイドの心を読みつつ、ゆっくりと石の椅子へと近づく。
(あの少女は、なんのためにここにきた...... 私を殺すため、いや違う)
ゼフォレイドは見えないはずのこちらをみると、一瞬でそばにきて剣を振るった。
「【離転移】《アスポート》」
そして私は切られた。
(透視した通りだ。 しかしかなり地下に大きな部屋がある...... そこは暗かったが、何かがいた)
「ここに下に降りる階段があるな」
アエルが緊張気味にいう。
「ゆっくり降りよう」
螺旋のような石階段を慎重に降りる。
「地獄に向かっているようだ......」
「やめてよセリナ」
ケイレスたちがそういっている。
しばらくして地下深くへおりた。 前に巨大に鉄の扉がある。
(【遠隔透視]《リモートビューイング》でみると、ここが大きな部屋か暗いが何かがいる。 心を読んでいるが明瞭じゃないな。 もう少し近づかないと......)
私は近づくと足を止めた。
「どうしたのですか?」
そういうレイエルたちを私は制止する。
「だめだ。 ここから先はいってはいけない......」
「もうすぐ魔王なのに! 魔王石がないと魔族と戦うことになります!」
フォグが焦る。
「後で説明するから。 フォグ、魔王石はどんなもの。 ここで教えて私が取ってくる」
困惑するフォグは形状や色を教えてくれた。
「わかった。 みんなはこの上で待っていて」
「どういうこと?」
ケイレスをアエルが止める。
「......わかった。 ついていってはだめなのだな」
「......ええ」
みな渋々だが納得して階段を上にのぼっていく。
(ごめん、この先は......)
扉の前から扉の奥へとリスク覚悟で【瞬間移動】《テレポート》する。
そこは真っ暗で広く奥が見えない。
「ぐ......」
「ぎぃ......」
そう左右から声のようなものが聞こえる。
(これは......)
奥まで進むと、誰かが巨大な椅子のようなものに座っている。 それは片腕のない黒髪の男だった。
「なにものだ...... 魔族はここには入れない。 人間か......」
「ええそう。 あなたには角がない。 人間なの」
「頭に直接 ......ここになにをしに来た」
「それより、こちらの質問に答えて。 これはなに?」
その場を【光念力】《フォトンキネシス》を使い照らした。
左右には黒い剣を持ち全身鎧をきたものたちが、並び苦しそうにうめいている。
「魔法...... ここでは魔法は使えないはず......」
「彼らは勇者じゃないの」
「......そうだ。 かつての勇者たちだ」
「かつての勇者たち...... いったいあなたは...... 魔王なの」
(心がこんなに寂しげなのは初めて。 考えていないんじゃない。 とてつもない苦しみを感じる。 なにこの人は...... さっきから胸騒ぎが収まらない)
「私はゼフォレイド、この世界を断罪するもの......」
「断罪......」
「お前が何者かはもういい...... もうすぐ救いを与えてやれる。 お前はこのまま帰るのだ」
「そうはいかない......」
(どこだ...... 魔王石、赤い丸い宝石......)
【遠隔透視】《リモートビューイング》で周囲をくまなく探す。
(あった。 後の石の椅子のようなものの真ん中か......)
「帰らぬのなら......」
一瞬寒気がし、距離をとると目の前を光るものが通過した。
それはゼフォレイドのふるう剣先だった。
「【念力】《サイコキネシス》!!」
ゼフォレイドの動きを止める。
(なんだ!? 心を読んでいたのに、速すぎる。 やはり)
「勇者なの!」
「......元だがな」
ゼフォレイドからぶちぶち音が聞こえ、私の【念力】《サイコキネシス》に逆らい、体を動かしている。
「やめて! 体が持たない!」
大量の血が流れている。 だが、煙がたつとその血はチリのようにきえた。
「回復した......」
そして目の前に剣が迫る。
(心を読んでも速すぎて回避がやっとだ!)
「【念力】《サイコキネシス》」
ゼフォレイドを一瞬距離をはなす。
「【影念力】《シャドウキネシス》、【音念力】《フォノンキネシス》そして......」
明かりを消し、影にひそむ。
(なんの魔法だ...... 音もしない。 いやそもそもここで魔法など使えんはずだ......)
ゼフォレイドの心を読みつつ、ゆっくりと石の椅子へと近づく。
(あの少女は、なんのためにここにきた...... 私を殺すため、いや違う)
ゼフォレイドは見えないはずのこちらをみると、一瞬でそばにきて剣を振るった。
「【離転移】《アスポート》」
そして私は切られた。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる