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第三十八話
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机を調べると鍵がかかっている引き出しがあった。
(【遠隔念動力】《テレキネシス》)
鍵を開けると、中には日記帳らしきものがあった。 【残留思念感応】《サイコメトリー》で読む。
『魔族進攻の兆候がある。 このままではここゼヌエラは滅ぼされる......』
『騎士団本部に報告を出しているが、モンスターの防衛でこちらに兵を出せば、いくつかの町が滅ぶだろう...... やはり勇者の力が必要だ』
『なんとか勇者と認められ剣を授かる。 抜けばその力を得られるというが、本当だろうか。 いままでの勇者はみなその姿を消したという...... 恐ろしくて抜いてはいない』
『魔族の進攻が始まった。 もはや一刻の猶予もない。 覚悟を決め明日出陣する......』
そこで日記は終わっている。
(ここまではまともだ。 勇者になって、いや剣をぬいてなにが起こった?)
「......セリナ、ザルギードは魔族との戦いの後どうした?」
「とてもつかれはて暗い顔をしていた。 私たちは話しかけたが反応はなかった。 ほどなくしてこの国は独立を宣言したんだ」
そうセリナは目を伏せた。
(やはりザルギードの心を読むしかない。 近くいき、【共感】《エンパス》を使えばより深く読めるはず)
私たちはザルギードがいる王座のあった部屋へと向かった。
大きな部屋には、玉座にもたれ掛かり微動だにしない、ザルギードがいる。
(眠っているのか...... しかし、心の声は眠っていても聞こえるはず、なのになにも聞こえない。 だがとても苦痛を感じているようだ。 もう少し近づくか......)
(魔族......)
(心の声、なんだこの感じ!?)
心の声が聞こえると同時に、アエルの目の前に黒い剣をもつザルギードがいた。
「なっ!!」
ギイン!
金属がぶつかる音がした。 すんでのところでセリナが両手の剣で防いでくれたようだ。
「ぐっ! 何て力! 押される......」
「【念力】《サイコキネシス》!」
ザルギードを弾き飛ばすとぶつかり、玉座が砕ける。
(速すぎる...... セリナが防いでくれなかったらアエルが死んでた。 だが見えてないはずなのに...... 魔族、アエルが近づいたからか)
ザルギードが砕けた玉座から立ち上がる。
(魔族を殺せ!)
「アエル金属!」
「わ、わかった!」
ーー地に関するもの、汝のその身を固め、その輝きを現せーー
「ビルド、メタルウォール」
【地念力】《アースキネシス》!」
金属の壁が前にできるが、それをザルギードは両断した。 私は金属を操りザルギードの足へと纏わせる。 ザルギードの動きが遅くなった。
(どうする...... 殺すとゼヌエラと戦争になるか...... ザルギードがいなければ、いや)
キィン!
一瞬でセリナが剣をふるう。 ザルギードの兜がとんだ。
「これは!?」
ザルギードのその姿は骨と皮だけのように痩せ細り、まともではないと一目でわかった。
「アエル、セリナ、こっち!」
二人を呼び集中すると【瞬間移動】《テレポート》で町へと帰った。
「ふう、なんとか逃げられたか......」
周囲をみて町に帰れたのを確認し安心する。
「......しかし、なんなんだあの姿、もはや骸骨だった......」
「ああ、明らかにおかしい。 あんな衰弱した体であんな力をだせるわけがない......」
アエルもセリナもそうつぶやく。
「そうだね。 ただ今倒すのはまずいね」
「だが、ザルギードさえいなければこの国に勝てるのではないか、そうすればここの住民も解放される」
セリナは焦ったようにそういう。
「ゼヌエラには勝てるが、今は魔族が動く可能性が高いんだ」
「隙をつかれるか、確かにな......」
セリナが落胆したようにいう。
(今、ゼヌエラと戦うと魔族がその隙をつくかもしれない。 それにフォグがなにをしようとしているかもわからない)
「とりあえず、町に家を作ったから、母親と住むといいよ」
「ああ、助かった。 何かあったらいってくれ。 つっ......」
セリナが腕をかばった。 腕を見せてもらうと、骨がおれているようだった。
(ザルギードの剣をうけたあとときか、あの斬撃なら腕がおれるのもわかる。 セリナの剣の腕だから受け流してこの程度なんだろう。 他のものなら腕ごと体を両断されているはず)
【回復】《ヒーリング》を使い治した。
「セリナごめん。 【回復】《ヒーリング》治したけど、安静にしてて」
「ああ、わかった」
セリナは笑顔で手を振ってさっていく。
「あれが勇者の力か......」
「セリナがかなり腕がたつから防いでくれたが、下手したら両断されていた......」
そうアエルは震えている。
「ああ、魔族であるアエルを狙ったんだろうね。 姿を消しているのに感知して攻撃してきた。 それにあの体、わからないことだらけだ」
「これからどうする?」
「そうだね。 フォグが宝玉の解析を進めるまでかなりあるはず、聖教会に向かおうか、勇者を調べたい」
「聖剣のある場所か...... 詳しいものがいれば」
私たちはケイレスに話を聞く。
「聖教会か...... 私も信徒じゃないからね。 そうだ。 ディラルが聖教会にいくといっていたけど」
「ディラルが?」
「召集がきてて勇者になりたいんだってさ、騎士団にいるわよ」
(そういえば、勇者になりたいといっていた)
私たちはディラルに会いに城までいった。
(【遠隔念動力】《テレキネシス》)
鍵を開けると、中には日記帳らしきものがあった。 【残留思念感応】《サイコメトリー》で読む。
『魔族進攻の兆候がある。 このままではここゼヌエラは滅ぼされる......』
『騎士団本部に報告を出しているが、モンスターの防衛でこちらに兵を出せば、いくつかの町が滅ぶだろう...... やはり勇者の力が必要だ』
『なんとか勇者と認められ剣を授かる。 抜けばその力を得られるというが、本当だろうか。 いままでの勇者はみなその姿を消したという...... 恐ろしくて抜いてはいない』
『魔族の進攻が始まった。 もはや一刻の猶予もない。 覚悟を決め明日出陣する......』
そこで日記は終わっている。
(ここまではまともだ。 勇者になって、いや剣をぬいてなにが起こった?)
「......セリナ、ザルギードは魔族との戦いの後どうした?」
「とてもつかれはて暗い顔をしていた。 私たちは話しかけたが反応はなかった。 ほどなくしてこの国は独立を宣言したんだ」
そうセリナは目を伏せた。
(やはりザルギードの心を読むしかない。 近くいき、【共感】《エンパス》を使えばより深く読めるはず)
私たちはザルギードがいる王座のあった部屋へと向かった。
大きな部屋には、玉座にもたれ掛かり微動だにしない、ザルギードがいる。
(眠っているのか...... しかし、心の声は眠っていても聞こえるはず、なのになにも聞こえない。 だがとても苦痛を感じているようだ。 もう少し近づくか......)
(魔族......)
(心の声、なんだこの感じ!?)
心の声が聞こえると同時に、アエルの目の前に黒い剣をもつザルギードがいた。
「なっ!!」
ギイン!
金属がぶつかる音がした。 すんでのところでセリナが両手の剣で防いでくれたようだ。
「ぐっ! 何て力! 押される......」
「【念力】《サイコキネシス》!」
ザルギードを弾き飛ばすとぶつかり、玉座が砕ける。
(速すぎる...... セリナが防いでくれなかったらアエルが死んでた。 だが見えてないはずなのに...... 魔族、アエルが近づいたからか)
ザルギードが砕けた玉座から立ち上がる。
(魔族を殺せ!)
「アエル金属!」
「わ、わかった!」
ーー地に関するもの、汝のその身を固め、その輝きを現せーー
「ビルド、メタルウォール」
【地念力】《アースキネシス》!」
金属の壁が前にできるが、それをザルギードは両断した。 私は金属を操りザルギードの足へと纏わせる。 ザルギードの動きが遅くなった。
(どうする...... 殺すとゼヌエラと戦争になるか...... ザルギードがいなければ、いや)
キィン!
一瞬でセリナが剣をふるう。 ザルギードの兜がとんだ。
「これは!?」
ザルギードのその姿は骨と皮だけのように痩せ細り、まともではないと一目でわかった。
「アエル、セリナ、こっち!」
二人を呼び集中すると【瞬間移動】《テレポート》で町へと帰った。
「ふう、なんとか逃げられたか......」
周囲をみて町に帰れたのを確認し安心する。
「......しかし、なんなんだあの姿、もはや骸骨だった......」
「ああ、明らかにおかしい。 あんな衰弱した体であんな力をだせるわけがない......」
アエルもセリナもそうつぶやく。
「そうだね。 ただ今倒すのはまずいね」
「だが、ザルギードさえいなければこの国に勝てるのではないか、そうすればここの住民も解放される」
セリナは焦ったようにそういう。
「ゼヌエラには勝てるが、今は魔族が動く可能性が高いんだ」
「隙をつかれるか、確かにな......」
セリナが落胆したようにいう。
(今、ゼヌエラと戦うと魔族がその隙をつくかもしれない。 それにフォグがなにをしようとしているかもわからない)
「とりあえず、町に家を作ったから、母親と住むといいよ」
「ああ、助かった。 何かあったらいってくれ。 つっ......」
セリナが腕をかばった。 腕を見せてもらうと、骨がおれているようだった。
(ザルギードの剣をうけたあとときか、あの斬撃なら腕がおれるのもわかる。 セリナの剣の腕だから受け流してこの程度なんだろう。 他のものなら腕ごと体を両断されているはず)
【回復】《ヒーリング》を使い治した。
「セリナごめん。 【回復】《ヒーリング》治したけど、安静にしてて」
「ああ、わかった」
セリナは笑顔で手を振ってさっていく。
「あれが勇者の力か......」
「セリナがかなり腕がたつから防いでくれたが、下手したら両断されていた......」
そうアエルは震えている。
「ああ、魔族であるアエルを狙ったんだろうね。 姿を消しているのに感知して攻撃してきた。 それにあの体、わからないことだらけだ」
「これからどうする?」
「そうだね。 フォグが宝玉の解析を進めるまでかなりあるはず、聖教会に向かおうか、勇者を調べたい」
「聖剣のある場所か...... 詳しいものがいれば」
私たちはケイレスに話を聞く。
「聖教会か...... 私も信徒じゃないからね。 そうだ。 ディラルが聖教会にいくといっていたけど」
「ディラルが?」
「召集がきてて勇者になりたいんだってさ、騎士団にいるわよ」
(そういえば、勇者になりたいといっていた)
私たちはディラルに会いに城までいった。
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