2 / 51
第二話
しおりを挟む
「これ...... ホーンウルフですか! 信じられない...... これを一人で......」
トレアとその母親は、倒れたホーンウルフを驚いたように見ている。
「確か毛皮と角は高額で売れるといっていたから、持ってきて構わなかった?」
「あ、ありがとうございます!」
そうトレアたちふたりは頭を下げた。
「いや、食事と色々教えてくれたお礼だよ」
「それで、これからどうなさるおつもりですか?」
「トレアが言っていた。 冒険者ギルドにでも入ろうかと思って」
「リンさんなら必ず入れます! どうぞご無事で!」
そういって手を振ってるトレアたちに礼をいうと歩きだした。
「すぐにはもとの世界に戻るのは難しそうだ。 今はここで生きていく方法を見つけよう。 こういう世界なら力が物を言うはず。 ちょうど魔法という存在があるから迷わず【超能力】《サイキック》を使えるけど......」
(使いたくない。 とはいえいきるためには必要だ。【瞬間移動】《テレポート》、【浮遊】《レビテーション》は見られたら魔法だと納得してくれるかわからない。 歩くか......)
「おいしい」
トレアが渡してくれたバケットにはいったサンドイッチを食べながら歩く。 すぐに町らしきものが見えた。
町のなかはさまざまな人種が歩いている。
「やはり肌の色も顔つきも様々だ。トレアが私のことを気にしないはずだ。 とりあえず冒険者ギルドとやらに入らないと......」
トレアの話だと、冒険者はモンスターの討伐なんかを請け負う何でも屋のようだ。
(私は超能力で大抵なんでもやれるから大丈夫だけど...... 使いたくはないけど仕方ない)
目の前に大きな建物がある。 大勢の武具を身に付けたものたちが
出入りしていたからすぐわかった。
「今日はどのようなご用件でしょう? ご依頼ですか?」
建物にはいるとカウンターの若い女性がそう聞いてきた。
「いえ、ここに来れば仕事をもらえると聞いてきたんですが」
「えっ? なんで頭に......」
受付嬢は驚いている。
「すみません。 魔法なんです。 修行中に喉を怪我しまして、言葉がでなくて......」
「そ、そうなんですね。 冒険者になられるおつもりですか?」
「はい、資格などは必要ないとのことでしたが」
「......そうですね。 ですがとても危険な仕事で、大勢、人がなくなっているんです。 正直武器を扱えるようには見えませんが...... この魔法だけですか」
制服の私をみて女性は心配そうにいった。
(まあ、当然だな。 私のような子供がいきなり命をかける仕事になりたいといわれても困惑するだろうし......)
「ええ、大丈夫です。 さまざまな魔法を使えます」
そういってみたが、受付嬢は怪訝な顔をしている。
「確かに魔法はお使いになれるようですが、例えばどのようなものでしょう......」
(どうやら、私を冒険者にしたくないようだ。 危険だからだろうな)
その口ぶりからそう思う。
「......わかりました。 戦える力をお見せします」
とりあえず【炎念力】《パイロキネシス》で手のひらの上に炎をだして見せた。 周囲がざわつく。
「あいつ魔法使いか......」
「こんな田舎に......」
「始めてみたよ」
「まれに子供でも強い魔素を操れるものがいるとは聞いていたけどね」
そう口々にはなしている。
「すごい魔法......」
(これなら戦えるわ)
そう【念話】《テレパス》をつかうと、受付嬢は心のなかで思っていた。
「失礼しました。 では登録の方にうつらせていただきます」
受付嬢はすぐに用紙と鳥の羽のようなペンをおいてくれた。
(文字がわからないから......)
【残留思念感応】《サイコメトリー》で読み取る。
(モンスター討伐、輸送、護衛、鉱物や植物のモンスター素体、生物の入手といったところか)
「ではそのモンスターの依頼をおねがいします」
「これですか...... よろしいのですか、かなり危険ですが」
「ええ、ですが試しにやってみたいのです。 もし危なかったら逃げますので」
「わかりました...... でも複雑な構造の洞窟です。 危険なら必ず逃げてください」
表情が気になったので悪いとは思いながら【念話】《テレパス》をつかう。
(あれは一人では危険すぎる...... まあ洞窟が複雑でモンスターまではたどり着けないはずだから帰ってくるでしょう。 奥までいかなければ平気ね......)
そう受付嬢は思っていた。
(気にしてくれているのか...... だが生活のためだ)
受付嬢に冒険者カードをもらい、場所を聞いて依頼に向かった。
トレアとその母親は、倒れたホーンウルフを驚いたように見ている。
「確か毛皮と角は高額で売れるといっていたから、持ってきて構わなかった?」
「あ、ありがとうございます!」
そうトレアたちふたりは頭を下げた。
「いや、食事と色々教えてくれたお礼だよ」
「それで、これからどうなさるおつもりですか?」
「トレアが言っていた。 冒険者ギルドにでも入ろうかと思って」
「リンさんなら必ず入れます! どうぞご無事で!」
そういって手を振ってるトレアたちに礼をいうと歩きだした。
「すぐにはもとの世界に戻るのは難しそうだ。 今はここで生きていく方法を見つけよう。 こういう世界なら力が物を言うはず。 ちょうど魔法という存在があるから迷わず【超能力】《サイキック》を使えるけど......」
(使いたくない。 とはいえいきるためには必要だ。【瞬間移動】《テレポート》、【浮遊】《レビテーション》は見られたら魔法だと納得してくれるかわからない。 歩くか......)
「おいしい」
トレアが渡してくれたバケットにはいったサンドイッチを食べながら歩く。 すぐに町らしきものが見えた。
町のなかはさまざまな人種が歩いている。
「やはり肌の色も顔つきも様々だ。トレアが私のことを気にしないはずだ。 とりあえず冒険者ギルドとやらに入らないと......」
トレアの話だと、冒険者はモンスターの討伐なんかを請け負う何でも屋のようだ。
(私は超能力で大抵なんでもやれるから大丈夫だけど...... 使いたくはないけど仕方ない)
目の前に大きな建物がある。 大勢の武具を身に付けたものたちが
出入りしていたからすぐわかった。
「今日はどのようなご用件でしょう? ご依頼ですか?」
建物にはいるとカウンターの若い女性がそう聞いてきた。
「いえ、ここに来れば仕事をもらえると聞いてきたんですが」
「えっ? なんで頭に......」
受付嬢は驚いている。
「すみません。 魔法なんです。 修行中に喉を怪我しまして、言葉がでなくて......」
「そ、そうなんですね。 冒険者になられるおつもりですか?」
「はい、資格などは必要ないとのことでしたが」
「......そうですね。 ですがとても危険な仕事で、大勢、人がなくなっているんです。 正直武器を扱えるようには見えませんが...... この魔法だけですか」
制服の私をみて女性は心配そうにいった。
(まあ、当然だな。 私のような子供がいきなり命をかける仕事になりたいといわれても困惑するだろうし......)
「ええ、大丈夫です。 さまざまな魔法を使えます」
そういってみたが、受付嬢は怪訝な顔をしている。
「確かに魔法はお使いになれるようですが、例えばどのようなものでしょう......」
(どうやら、私を冒険者にしたくないようだ。 危険だからだろうな)
その口ぶりからそう思う。
「......わかりました。 戦える力をお見せします」
とりあえず【炎念力】《パイロキネシス》で手のひらの上に炎をだして見せた。 周囲がざわつく。
「あいつ魔法使いか......」
「こんな田舎に......」
「始めてみたよ」
「まれに子供でも強い魔素を操れるものがいるとは聞いていたけどね」
そう口々にはなしている。
「すごい魔法......」
(これなら戦えるわ)
そう【念話】《テレパス》をつかうと、受付嬢は心のなかで思っていた。
「失礼しました。 では登録の方にうつらせていただきます」
受付嬢はすぐに用紙と鳥の羽のようなペンをおいてくれた。
(文字がわからないから......)
【残留思念感応】《サイコメトリー》で読み取る。
(モンスター討伐、輸送、護衛、鉱物や植物のモンスター素体、生物の入手といったところか)
「ではそのモンスターの依頼をおねがいします」
「これですか...... よろしいのですか、かなり危険ですが」
「ええ、ですが試しにやってみたいのです。 もし危なかったら逃げますので」
「わかりました...... でも複雑な構造の洞窟です。 危険なら必ず逃げてください」
表情が気になったので悪いとは思いながら【念話】《テレパス》をつかう。
(あれは一人では危険すぎる...... まあ洞窟が複雑でモンスターまではたどり着けないはずだから帰ってくるでしょう。 奥までいかなければ平気ね......)
そう受付嬢は思っていた。
(気にしてくれているのか...... だが生活のためだ)
受付嬢に冒険者カードをもらい、場所を聞いて依頼に向かった。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる