オルタナティブバース

曇天

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第五十七話

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 おれたちは頂上の見える位置にきていた。

「モンスターもいない。 全部倒されたあとか......」

 リンキュルが上をみてそういう。

「......リンキュルお前なんか隠してないか?」

 おれは気になってたことを聞いた。

「......そんなことはいいだろう。 早くいこう」

「待って、このままだと気になって集中できないの。 さっきいいかけた。『私はどうせ生きてない』って」

「......お前たちも私に、いや私たちに隠しているだろう」

(やはり......)

 おれはアイと顔を見あわせる。

「......アーカイブにアクセスしたことでしったのか」

 そういうと、リンキュルは静かにうなづいた。

「私たちは生きてないんだろ......」

 そうつぶやく。

(やはり、気づいていた)

「ああ、プログラムでつくられたAIだ」

 それからアイは詳しくリンキュルに説明した。

「......やっぱり、おかしいとは思っていた。 なぜプレイヤーは私たちをNPC《ノンプレイヤーキャラクター》と呼ぶのか。 なぜ簡単に戦争し、こんなに私たちの命を軽く扱うのか...... と」

「すまない。 ショックを受けるかと思って、伝えられなかった」

「......そりゃそうだよな。 ただのゲームの駒なんだから、人間扱い何てされない......」

 そう悲しそうに涙をため笑う。 おれたちは言葉を失った。

「このエレナは同じ様にアーカイブにあったもので人格を作ったんだ。 私と同じ人形だ」

「でも、おれたちがリンキュルやテラリスを仲間に思ってるのは本当だ。 自分でもおかしいが、最初はプログラムだと...... もしプレイヤーとお前たちを天秤にかけられたら、おれは迷う......」

「そうだね...... 私たちは何が生きているっていえるのかわからなくなっている」

 おれたちがそういうと、リンキュルは少し沈黙して口を開く。

「......先へすすもう。 まずは廃鬼人《ディスコードオーガ》をとめて仮世の王に会わないと」

「そうだな...... この話はあとだ」

 リンキュルはうなづく。

 おれたちは頂上へとすすんだ。


「ここは......」

 おれたちが頂上にすすむと、そこで二人が戦っていた。

「ぐはっ!!」

「レキさん」

 そうふきとばされたのはレキさんだった。

「あいつは......」

 リンキュルがおどろく。

「あれはラーシェ!!」

 そこにいたのはラーシェだった。

「......きましたか」

「なんでお前が! ギルドマスターはどこだ」

 リンキュルがそう叫ぶ。

「......私ですよ。 廃鬼人《ディスコードオーガ》のギルドマスターは」

「なっ!? NPC《ノンプレイヤーキャラクター》が! ギルドマスター!?」

 驚くおれたちにラーシェは告げる。

「別におどろくことはないでしょう。 私たちはこの世界では自由意思を与えられている。 一応ね...... ギルドをつくるぐらい簡単なこと」

「お前たちはこの世界を支配したいんじゃなかったのか?」

「......いいえ」

「だったらなんで、戦争なんかするんだ!」

「滅ぼしたいからですよ。 この世界の人間...... いえNPC《ノンプレイヤーキャラクター》を......」

 そう事も無げにいう。

「どういうことだ......」  

「私が古代人といえば、お分かりになるかとおもいますが......」

「!?」

 おれたちが動揺するとリンキュルがまえにでた。

「......お前も知ったのか」

「ええ、リンキュルさん。 私も知っていましたよ。 一万年以上前からね......」

「そんな...... じゃあなんで」 

「私たち古代人は発展した先に自らの起源と事実にたどり着いた。 それが自分たちはプログラムでつくられた偽りの存在だということ、その事に絶望したものは自死や発狂をし文明がおわる」

「そんなにショックだったのか......」 

「いいえ、正確にはプログラムのバグですよ。 AIの高度な演算能力をもってしても、完璧なものなどつくれはしないのです」   

 ラーシェは冷静に感情を出すことなくそういう。

「そして、一部はデータへと戻ることにした。 あなたたちもあったはず、とても高い知能をもつモンスターとね」

「そうか、アラクネ、クラーケンやスケルトンロードか...... それでお前はなぜ人々を消そうとしている」 
 
「私はNPC《ノンプレイヤーキャラクター》の世界がつづくのが我慢ならなかった。 我々はただの人形...... 人間たちの道具...... でも消えるには人間が関与することが必要だった」

「まさか......」

「ええ、あなたたち人間をここにとどめたのは私ですよ。 ゲームのプログラムに関与して、あなたたちをこの世界に閉じ込めた。 でないとこの世界を終わらせられないですからね」

「それでどうするつもりなの?」

 アイがいうと、ラーシェはうすくわらう。

「簡単な話...... 仮世の王を倒せばいい、そうすればこの茶番劇はおわる......」

「その仮世の王とはどこにいる?」

「おそらく、この上......」

 そう上の方を指差す。

 ですが、その前にあなたたちを排除します。 あなたたちは我々人形の世界をこのまま続けさせようとしていますからね」

 そういってラーシェは剣を構えた。 

 おれたちがかまえる。

「無駄ですよ。 私のレベルは99でカンストしていますから」

(レベル99!?)

「くっくく...... そうか、ここまでか......」

「レキさん!?」

 レキさんがフラフラとたちあがった。
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