33 / 60
第三十三話
しおりを挟む
「クソッ! なめやがって!」
「お前ら、そいつチートだろうが!」
「卑怯もの!」
捕らえたプレイヤーたちは罵詈雑言をはく。
「本当にPKやるやつってのは品性がないな」
ヤマトがそうあきれている。
「こっちはゲーム内の仕様でやってんだよ! 何が悪い!」
「状況よ。 今は帰れない状態なんだから、協力するべきでしょ」
アイがそうさとす。
「......うっさいわね。 いいこぶってるつもり。 NPC《エヌピーシー》かばったりしてさ、 きもっ」
吐き捨てるように女はアイにそういう。
「......じゃあ、ゲームの仕様どおり、殺そうか」
そうアイは怖い顔をして女の顔に杖を近づける、
「ひっ......」
女は怯えた顔をした。
「アイがいうようにお前たちも殺されても仕方ない。 それにこのNPC《ノンプレイヤーキャラクター》はあきらかにただのAIとはちがう。 わかるだろ」
ヤマトがいうと、男たちは沈黙した。
(そうだ。 ここまで高度なAIはみたことない。 単なる機械とは思えない反応をする......)
おれたちはプレイヤーから装備、アイテムなどを没収して転送石で帰らせた。
「逃してよかったのか......」
テラリスは不安そうな顔をでいう。
「殺して、仲間が徒党をくんで報復にきても困るだろ」
「まあな......」
(さすがに殺すのはな。 だけど......)
「でももし、私たちが危なくなったら......」
そうアイがこちらをみつめてつぶやいた。
(そのときは...... 覚悟を決めるしかないな)
「おお! 奴らやっぱいいもんもってたぞ!」
ヤマトが声をあげた。
【双頭の蛇】《アンフィスバエナ》の連中から奪ったアイテムをみている。
「雷鳴の轟槍《ライトニングランス》か...... かなり強いが、おれたちは扱えないな」
「それは私にくれないか」
「テラリスは槍を扱えるのか?」
「ああ、武器は一通り扱える」
「盗賊の小手《シーフガントレット》はおれが使うぜ。 アイテムを盗めるらしい」
「私はMP消費がへる黎闇の衣《ダークネスローブ》、リンキュルはMP最大値が増える。 この玄棲の衣《ブラックローブ》だね」
「私にも......」
「仲間でしょ」
「うん...... ありがと」
「それは軽いのに物理耐性が高いし、リンキュルにはあってるな。 あとはこの二つの指輪だな。 魔法の威力を増加させる【魔源の指輪】《ソースリング》をアイとリンキュルにもっておいてもらおう」
「私は魔力が多い。 お前が使えばいい」
「いや、回復が使える二人がもっておいてくれ。 おれはこの斬撃の飛ばせる【ストライクブレイド】を使う。 ヤマトはおれの持ってるストームグラディウスをつかってくれ」
「わかった。 確かに両手剣のそれはおれ向きだな。 ならこの、アサシンエッジはお前が使えよ」
互いに剣を交換する。
「あとはレアだけど、おれたちには使い道がないな」
「あとで売るか、クエイグさんに加工してもらいましょ。 それより、遺跡を探さないと......」
「あいつらの話じゃ、【廃鬼人】《ディスコードオーガ》もいるかもしれないしな」
ヤマトがいう。
おれたちはすぐに遺跡を探した。
「あったわ...... 周囲に誰もいない」
五日ほど探索するとアイがついに見つけた。 近づくと砂に少しだけでている六角形の石柱がある。
「アイスゴーレム!」
リンキュルがゴーレムに砂を凍らせ凍った砂をほると、地下へと螺旋状に続く階段が現れる。
「真ん中に大きな円柱か...... よし、進もう」
アイが罠の確認しつつ先へと進む。
「罠なんかはないけど、この円柱、中が空洞ね」
「空洞? 筒ってこと?」
「そう」
どんどん地下へとおりていく。
「おい。 まだかよ、もう一時間はおりてるぞ」
「ああ、それにこの床や壁、みたことない材質だ」
ヤマトとテラリスがそういった。
(金属のような音がするが、金属でもないな)
「古代文明ってなんで滅びたんだリンキュル」
「......わからない。 ただ滅びたとしか、文献にものってないんだ」
(まあ、普通戦争とかだろうけど...... このゲームは人類の最初から経過させて作ったといってたからな)
かなり地下へともぐると底についた。 そこからは横に向かって通路が延びる。
「今度は横かよ。 ちょっと休憩しないか」
「しっかりしろヤマト。 といいたいが、プレイヤーたちに帰りに会うかもしれん。 万全にしておいたほうがいいな」
テラリスがそういうので、休憩をする。
「アイ、外はどんな感じだ」
「私もあまり遠くまで見通せないけど。 通路の上は砂ね。 奥がよくわからないの」
「ここに何があるんだ?」
「わからないが、強力な魔導器《マギカレガリア》があるかもしれん。 他の場所にもこんな風に遺跡があるはず...... 見てないから確証はないが」
リンキュルはつぶやく。
「盗掘者がいるんだろ?」
「ああ、でも盗掘者というよりは、発見者だな。 ほとんどは砂に落ちているものだ。 こんな風に遺跡に入ったものはいない。 広い砂漠でまずみつけられないし、モンスターも強いからな。 プレイヤーぐらいしかここには近づけんし、ちかづかん」
ヤマトにテラリスが話す。
(なるほど、プレイヤーが現れたのはここ最近、誰も入ってないとみていいか)
おれたちは休憩すると、先へと進んだ。
「これ......」
しばらく歩くと、突然アイがその場でとまる。
「どうした? アイ」
「......行きましょう。 見た方が早いわ」
奥にあった大きな扉を開けると、そこは天井があった。
「これは!?」
おれたちは驚く。
そこには巨大な町の姿が目にはいってきた。
「お前ら、そいつチートだろうが!」
「卑怯もの!」
捕らえたプレイヤーたちは罵詈雑言をはく。
「本当にPKやるやつってのは品性がないな」
ヤマトがそうあきれている。
「こっちはゲーム内の仕様でやってんだよ! 何が悪い!」
「状況よ。 今は帰れない状態なんだから、協力するべきでしょ」
アイがそうさとす。
「......うっさいわね。 いいこぶってるつもり。 NPC《エヌピーシー》かばったりしてさ、 きもっ」
吐き捨てるように女はアイにそういう。
「......じゃあ、ゲームの仕様どおり、殺そうか」
そうアイは怖い顔をして女の顔に杖を近づける、
「ひっ......」
女は怯えた顔をした。
「アイがいうようにお前たちも殺されても仕方ない。 それにこのNPC《ノンプレイヤーキャラクター》はあきらかにただのAIとはちがう。 わかるだろ」
ヤマトがいうと、男たちは沈黙した。
(そうだ。 ここまで高度なAIはみたことない。 単なる機械とは思えない反応をする......)
おれたちはプレイヤーから装備、アイテムなどを没収して転送石で帰らせた。
「逃してよかったのか......」
テラリスは不安そうな顔をでいう。
「殺して、仲間が徒党をくんで報復にきても困るだろ」
「まあな......」
(さすがに殺すのはな。 だけど......)
「でももし、私たちが危なくなったら......」
そうアイがこちらをみつめてつぶやいた。
(そのときは...... 覚悟を決めるしかないな)
「おお! 奴らやっぱいいもんもってたぞ!」
ヤマトが声をあげた。
【双頭の蛇】《アンフィスバエナ》の連中から奪ったアイテムをみている。
「雷鳴の轟槍《ライトニングランス》か...... かなり強いが、おれたちは扱えないな」
「それは私にくれないか」
「テラリスは槍を扱えるのか?」
「ああ、武器は一通り扱える」
「盗賊の小手《シーフガントレット》はおれが使うぜ。 アイテムを盗めるらしい」
「私はMP消費がへる黎闇の衣《ダークネスローブ》、リンキュルはMP最大値が増える。 この玄棲の衣《ブラックローブ》だね」
「私にも......」
「仲間でしょ」
「うん...... ありがと」
「それは軽いのに物理耐性が高いし、リンキュルにはあってるな。 あとはこの二つの指輪だな。 魔法の威力を増加させる【魔源の指輪】《ソースリング》をアイとリンキュルにもっておいてもらおう」
「私は魔力が多い。 お前が使えばいい」
「いや、回復が使える二人がもっておいてくれ。 おれはこの斬撃の飛ばせる【ストライクブレイド】を使う。 ヤマトはおれの持ってるストームグラディウスをつかってくれ」
「わかった。 確かに両手剣のそれはおれ向きだな。 ならこの、アサシンエッジはお前が使えよ」
互いに剣を交換する。
「あとはレアだけど、おれたちには使い道がないな」
「あとで売るか、クエイグさんに加工してもらいましょ。 それより、遺跡を探さないと......」
「あいつらの話じゃ、【廃鬼人】《ディスコードオーガ》もいるかもしれないしな」
ヤマトがいう。
おれたちはすぐに遺跡を探した。
「あったわ...... 周囲に誰もいない」
五日ほど探索するとアイがついに見つけた。 近づくと砂に少しだけでている六角形の石柱がある。
「アイスゴーレム!」
リンキュルがゴーレムに砂を凍らせ凍った砂をほると、地下へと螺旋状に続く階段が現れる。
「真ん中に大きな円柱か...... よし、進もう」
アイが罠の確認しつつ先へと進む。
「罠なんかはないけど、この円柱、中が空洞ね」
「空洞? 筒ってこと?」
「そう」
どんどん地下へとおりていく。
「おい。 まだかよ、もう一時間はおりてるぞ」
「ああ、それにこの床や壁、みたことない材質だ」
ヤマトとテラリスがそういった。
(金属のような音がするが、金属でもないな)
「古代文明ってなんで滅びたんだリンキュル」
「......わからない。 ただ滅びたとしか、文献にものってないんだ」
(まあ、普通戦争とかだろうけど...... このゲームは人類の最初から経過させて作ったといってたからな)
かなり地下へともぐると底についた。 そこからは横に向かって通路が延びる。
「今度は横かよ。 ちょっと休憩しないか」
「しっかりしろヤマト。 といいたいが、プレイヤーたちに帰りに会うかもしれん。 万全にしておいたほうがいいな」
テラリスがそういうので、休憩をする。
「アイ、外はどんな感じだ」
「私もあまり遠くまで見通せないけど。 通路の上は砂ね。 奥がよくわからないの」
「ここに何があるんだ?」
「わからないが、強力な魔導器《マギカレガリア》があるかもしれん。 他の場所にもこんな風に遺跡があるはず...... 見てないから確証はないが」
リンキュルはつぶやく。
「盗掘者がいるんだろ?」
「ああ、でも盗掘者というよりは、発見者だな。 ほとんどは砂に落ちているものだ。 こんな風に遺跡に入ったものはいない。 広い砂漠でまずみつけられないし、モンスターも強いからな。 プレイヤーぐらいしかここには近づけんし、ちかづかん」
ヤマトにテラリスが話す。
(なるほど、プレイヤーが現れたのはここ最近、誰も入ってないとみていいか)
おれたちは休憩すると、先へと進んだ。
「これ......」
しばらく歩くと、突然アイがその場でとまる。
「どうした? アイ」
「......行きましょう。 見た方が早いわ」
奥にあった大きな扉を開けると、そこは天井があった。
「これは!?」
おれたちは驚く。
そこには巨大な町の姿が目にはいってきた。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。


ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

神々に見捨てられし者、自力で最強へ
九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。
「天職なし。最高じゃないか」
しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。
天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる