9 / 60
第九話
しおりを挟む
「まさか戦うつもりか! いまどういう状況かわかってるだろ!」
おれは剣をかまえて牽制する。
「ああ、お前たちがシナリオを進めてるのはな」
「阻止するために殺人を行うつもりなのか!」
「......しょせんゲームだろ。 まあたまたまお前たちが死んだとしても、責任はおれたちにあるのか? せいぜいこのゲームの運営が責任にとわれるだけだ」
「俺たちは別に楽しめりゃ、それでいいんだよ」
「それはあなたたちが死んでもいいってことよね」
アイがそうすごんだ。
「なに......」
「私たちも全力で抵抗するわよ。 当然そのとき殺してしまっても仕方ないわよね」
アイがそういい杖を向けると、相手はすこしたじろいだ。
「こいつ......」
「ハッタリだ。 こいつらが殺しなんてできるわけねえ」
「ああ、いくぞ」
三人が剣や槍を向けて、後の二人は杖を向けてきた。
「やるしかないよ......」
「ああ、クリア」
おれはクリアを呼び、剣をかまえた。
「いけえ!」
三人が走ってきた。 おれは剣から風を放つ。
「ぐっ! なんだ! 魔法じゃない!?」
「こんな序盤にレアアイテムをもってやがるのか!」
「クリア! 後のやつを狙え」
相手がひるんでいるすきに、クリアに後の奴らを体当たりした。
「な、なんだこいつ!?」
「モンスター!! テイマー、いや召喚術か!」
アイは魔法を放つ。
「ぐあっ! あちぃ!」
「痛い! 早く回復しろ!」
「こっちのモンスターがさきだろ!」
前衛と後衛がもめている。
(よし!)
おれは近づくと足を浅く切っていった。
「ぎゃあああ!」
「いてえぇ!!」
男たちが転げ回っている。 さらに後の男たちも攻撃を加える。
「ぐえっ!!」
「ぐはっ!」
後の男たちも剣の鞘で殴り付けると気絶した。
「どうも痛みが強くなるのをしらなかったみたいだね。 少しきったら一気に動けなくなった」
「こいつらどうする?」
転がってる男たちをみてアイにきく。
「勝手にあわててたから、こちらが怪我もおってないしね。 殺すわけにも......」
「だよね。 とりあえずそこらに転がしておくか」
「でも、その前に」
アイは転がってる男たちのお金とアイテムを取り上げた。
「まあナイフとポーションと転送石は残しておいてあげる」
そうアイはほくほく顔でいった。
(なかなかしたたかだな)
おれたちはそのまま町へと戻る。
「いたい! いたい! わかったごめんって!」
ロニーニ村に戻る途中、クリアに体当たりをうけていた。
「洞窟のとき、風で吹き飛ばしたのを怒ってるんだね」
「仕方なかっただろ。 あのままだとおれたちは死んじゃうかもしれなかったんだから...... いたっ! やめろ! HPかへるだろ!」
「戻せないの?」
「なんか戻せなくて」
おれは心から謝ると、クリアはやっと満足したのか、姿を消した。
「あー、いてて...... HP半分持ってかれた」
「AIだから勝手に行動はするのかも.....」
そうアイは不思議そうにこっちをみている。
「コントロール不能なのはこまるが...... まあ、戦闘でうごいてくれるからいいか。 二人で攻撃をあわせられるのもわかったのも収穫だ」
「ええ、【ファイアバード】ってステータスにのってる。 【連携技】を覚えたみたいね。 攻撃が重なると獲得できるアクティブスキルみたい」
「かなり有効な遠距離攻撃だ。 それにその【蟲飼いの杖】《インセクトスタッフ》が手に入った」
おれがいうと、アイは蝶のようなレリーフが先端についた杖を掲げた。
「うん、マザークロウラーを倒したら手に入った。 私よりレベル下の捕らえた虫を召喚する杖。 試しにクロウラーを捕まえて召喚できたよ」
「それはかなりレアアイテムだね。 レキさんのアイテム表にもなかった」
おれたちは何体かの虫系のモンスターを捕まえながら帰った。
「村だ」
「あっ! サナさん、アイさん!」
ディーナがこちらにかけてくる。
「ありがとうございました! イモムシのモンスターがみるまに減っていますよ! これでこの村は救われます!」
村の人たちからとても感謝された。
「でもみたところ産業もないみたいだし、大丈夫?」
「そうですね。 ですが、モンスターもいなくなったことですし、畑や林業を再開できますので、豊かまではいかなくとも、生きてはいけるとおもいます」
村長さんは少し悲しそうな笑顔でそう話した。
「それで、サナさんにはこれを」
村長さんから剣の鞘を渡された。
「鞘?」
「これはうちの村に代々伝わる【湛剛の鞘】《チャージスキャバード》と申しまして、剣を納めていると、その間威力が上がり続るそうです」
(つまり使わないほど威力が上がるのか、これがシナリオの報酬か)
「ありがとう。 遠慮せずに頂戴します」
おれたちは村人と別れて村を去る。
「さて、鉱山に向かおうか」
「そうね」
そしておれたちは鉱山に向かい、モンスターと戦うと宝石を掘った。
「もう少しほろうか?」
「いや、かなり遠回りしてるし、シナリオでは、そんなにレベルも上がらなかったから、先に進みましょう」
今はおれがレベル16、アイはレベル18か、ただ名声だけは400になっていた。
「ほら、次の街ワストエルよ」
目の前に壮麗な街が見えてきた。
「ここからルーテシア王国の領土か」
「そう。 この国は比較的豊かで安定してる」
おれたちは街へとはいった。 ワストエルは大きな建物が並び、人々も多く身なりもいい。 かなり裕福な街のようにみえる。
「確かにさっきのバストランド王国よりは豊かみたいだね。 何も問題はなさそうだ」
「表向きはね」
「表向き...... ああレキさんのメールにあった話?」
「そうそう。 この国は今王位継承をめぐって息子の二人が争ってるって話」
「でもメインシナリオには関係ないんでしょ」
「うん。 直接はね。 実際にいま内乱が起こる訳でもない。 でも今までの経験から、何かあるとおもわない?」
そうアイは口に笑みを浮かべた。
(なんか怖いな)
「なるほど、これにもレアシナリオがあるんじゃないかってことか...... でも王国の問題なんて関わりようがないよ」
「うん。 でもレキさんのメールに宝石の話しがあったでしょ」
「ああ前の鉱山、宝石を手に入れるって話し、それと何が関係するの?」
「あれはここのシナリオ【鍛冶屋クエイグ】に必要なんだって」
「ああクエイグが王宮から無理な宝石の注文をうけて困っていて、それをプレイヤーが解決するって話か」
「そう。 それに私たちの名声なら、何か王宮に関わることが起きるかもしれない」
二人で町外れのクエイグの工房へとむかった。
おれは剣をかまえて牽制する。
「ああ、お前たちがシナリオを進めてるのはな」
「阻止するために殺人を行うつもりなのか!」
「......しょせんゲームだろ。 まあたまたまお前たちが死んだとしても、責任はおれたちにあるのか? せいぜいこのゲームの運営が責任にとわれるだけだ」
「俺たちは別に楽しめりゃ、それでいいんだよ」
「それはあなたたちが死んでもいいってことよね」
アイがそうすごんだ。
「なに......」
「私たちも全力で抵抗するわよ。 当然そのとき殺してしまっても仕方ないわよね」
アイがそういい杖を向けると、相手はすこしたじろいだ。
「こいつ......」
「ハッタリだ。 こいつらが殺しなんてできるわけねえ」
「ああ、いくぞ」
三人が剣や槍を向けて、後の二人は杖を向けてきた。
「やるしかないよ......」
「ああ、クリア」
おれはクリアを呼び、剣をかまえた。
「いけえ!」
三人が走ってきた。 おれは剣から風を放つ。
「ぐっ! なんだ! 魔法じゃない!?」
「こんな序盤にレアアイテムをもってやがるのか!」
「クリア! 後のやつを狙え」
相手がひるんでいるすきに、クリアに後の奴らを体当たりした。
「な、なんだこいつ!?」
「モンスター!! テイマー、いや召喚術か!」
アイは魔法を放つ。
「ぐあっ! あちぃ!」
「痛い! 早く回復しろ!」
「こっちのモンスターがさきだろ!」
前衛と後衛がもめている。
(よし!)
おれは近づくと足を浅く切っていった。
「ぎゃあああ!」
「いてえぇ!!」
男たちが転げ回っている。 さらに後の男たちも攻撃を加える。
「ぐえっ!!」
「ぐはっ!」
後の男たちも剣の鞘で殴り付けると気絶した。
「どうも痛みが強くなるのをしらなかったみたいだね。 少しきったら一気に動けなくなった」
「こいつらどうする?」
転がってる男たちをみてアイにきく。
「勝手にあわててたから、こちらが怪我もおってないしね。 殺すわけにも......」
「だよね。 とりあえずそこらに転がしておくか」
「でも、その前に」
アイは転がってる男たちのお金とアイテムを取り上げた。
「まあナイフとポーションと転送石は残しておいてあげる」
そうアイはほくほく顔でいった。
(なかなかしたたかだな)
おれたちはそのまま町へと戻る。
「いたい! いたい! わかったごめんって!」
ロニーニ村に戻る途中、クリアに体当たりをうけていた。
「洞窟のとき、風で吹き飛ばしたのを怒ってるんだね」
「仕方なかっただろ。 あのままだとおれたちは死んじゃうかもしれなかったんだから...... いたっ! やめろ! HPかへるだろ!」
「戻せないの?」
「なんか戻せなくて」
おれは心から謝ると、クリアはやっと満足したのか、姿を消した。
「あー、いてて...... HP半分持ってかれた」
「AIだから勝手に行動はするのかも.....」
そうアイは不思議そうにこっちをみている。
「コントロール不能なのはこまるが...... まあ、戦闘でうごいてくれるからいいか。 二人で攻撃をあわせられるのもわかったのも収穫だ」
「ええ、【ファイアバード】ってステータスにのってる。 【連携技】を覚えたみたいね。 攻撃が重なると獲得できるアクティブスキルみたい」
「かなり有効な遠距離攻撃だ。 それにその【蟲飼いの杖】《インセクトスタッフ》が手に入った」
おれがいうと、アイは蝶のようなレリーフが先端についた杖を掲げた。
「うん、マザークロウラーを倒したら手に入った。 私よりレベル下の捕らえた虫を召喚する杖。 試しにクロウラーを捕まえて召喚できたよ」
「それはかなりレアアイテムだね。 レキさんのアイテム表にもなかった」
おれたちは何体かの虫系のモンスターを捕まえながら帰った。
「村だ」
「あっ! サナさん、アイさん!」
ディーナがこちらにかけてくる。
「ありがとうございました! イモムシのモンスターがみるまに減っていますよ! これでこの村は救われます!」
村の人たちからとても感謝された。
「でもみたところ産業もないみたいだし、大丈夫?」
「そうですね。 ですが、モンスターもいなくなったことですし、畑や林業を再開できますので、豊かまではいかなくとも、生きてはいけるとおもいます」
村長さんは少し悲しそうな笑顔でそう話した。
「それで、サナさんにはこれを」
村長さんから剣の鞘を渡された。
「鞘?」
「これはうちの村に代々伝わる【湛剛の鞘】《チャージスキャバード》と申しまして、剣を納めていると、その間威力が上がり続るそうです」
(つまり使わないほど威力が上がるのか、これがシナリオの報酬か)
「ありがとう。 遠慮せずに頂戴します」
おれたちは村人と別れて村を去る。
「さて、鉱山に向かおうか」
「そうね」
そしておれたちは鉱山に向かい、モンスターと戦うと宝石を掘った。
「もう少しほろうか?」
「いや、かなり遠回りしてるし、シナリオでは、そんなにレベルも上がらなかったから、先に進みましょう」
今はおれがレベル16、アイはレベル18か、ただ名声だけは400になっていた。
「ほら、次の街ワストエルよ」
目の前に壮麗な街が見えてきた。
「ここからルーテシア王国の領土か」
「そう。 この国は比較的豊かで安定してる」
おれたちは街へとはいった。 ワストエルは大きな建物が並び、人々も多く身なりもいい。 かなり裕福な街のようにみえる。
「確かにさっきのバストランド王国よりは豊かみたいだね。 何も問題はなさそうだ」
「表向きはね」
「表向き...... ああレキさんのメールにあった話?」
「そうそう。 この国は今王位継承をめぐって息子の二人が争ってるって話」
「でもメインシナリオには関係ないんでしょ」
「うん。 直接はね。 実際にいま内乱が起こる訳でもない。 でも今までの経験から、何かあるとおもわない?」
そうアイは口に笑みを浮かべた。
(なんか怖いな)
「なるほど、これにもレアシナリオがあるんじゃないかってことか...... でも王国の問題なんて関わりようがないよ」
「うん。 でもレキさんのメールに宝石の話しがあったでしょ」
「ああ前の鉱山、宝石を手に入れるって話し、それと何が関係するの?」
「あれはここのシナリオ【鍛冶屋クエイグ】に必要なんだって」
「ああクエイグが王宮から無理な宝石の注文をうけて困っていて、それをプレイヤーが解決するって話か」
「そう。 それに私たちの名声なら、何か王宮に関わることが起きるかもしれない」
二人で町外れのクエイグの工房へとむかった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。


ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

神々に見捨てられし者、自力で最強へ
九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。
「天職なし。最高じゃないか」
しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。
天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる