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第三話
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「無理だ...... 運営へメールもフィードバッグもできないな。 チャットでもみんな混乱しているみたいだ」
あれから色々やってみたがなんの反応はない。 完全にログアウトできず、ゲームからでれられなくなっていた。
「うん、どうなってるのかな......」
アイも困惑している。
「やはり、【MT】《マインドトランスファー》技術が関係してるのか?」
「......だよね。 実際のバイザーが触れないってことは、脳の命令が体に伝わってないってことだとおもうんだ」
「それって意識だけあるってこと?」
「多分...... 夢を見ているのように意識だけゲームにあるのかな。 そんな可能性は利用規約にはかかれてなかったと思うけど......」
「......それ、いっつも飛ばすから」
「......そうなんだ」
沈黙が包んだ。
「まあ、とりあえず町までいってみよう。 このゲーム参加者は一万人ぐらいいたはずだから、チャット以外の情報もえられるはず」
「そうだね。 他のプレイヤーにあえばなんとかなるかも」
最初の町アゲスタに戻る。
町のなかが騒然としていて、ある一角に人が集まっていた。
「なんか人が集まってる」
「あそこはプレイヤーの集会所だよ」
その建物に近づいていく。
「なんだ。 どうした?」
「どうも、プレイヤーたちがもめているみたいだ」
「もめてる? なんで?」
「帰れないとか、どうとかって...... 意味不明なこといってるってさ」
NPC《ノンプレイヤーキャラクター》がそう口々にはなしている。
(AIでこんな町の人たち全員、ここまで人格をもたせているのか......)
「入ってみよう!」
そういうアイの後ろをついて大きな建物へとはいった。
「だからどうすんだよ! このままゲームの中にいるしかないってのか!」
「仕方ないだろう。 運営に連絡もできないからな。 俺に当たってもどうしようもないだろう」
「帰れないなんてどうしたら......」
「......もしかしたら、俺たち死んでるとかないよな」
そう色んなプレイヤーが言い合っている。
「じゃあ、俺たちは勝手にさせてもらうぜ」
「まて! 話し合ってからだ! むやみに動くと命の危険がある!」
「いやだね。 俺は別にゲームに閉じ込められても問題はないんだ。 逆にありがたいぐらいだ。 時間を考えずに楽しめそうだからな。 命の危険もかもしれない程度だろ」
「そうね。 もし、帰れたら企業から賠償金でも踏んだくれるかもしんないしね。 せっかくのこの状況楽しまないと」
そういって一団はでていった。
それを皮切りに、各々グループごとに外へとでていく。
「君たち」
そう騎士風の青年が人を引き連れ話しかけてきた。
(この人、さっきみんなを止めようとしてた人か)
「私はレキ。【聖騎士団】《ホーリーナイツ》というギルドをしきっているギルドマスターなんだが、私たちに協力してくれないかな」
「協力ですか?」
「ああ、この状況を打破するにはこのゲームを進めるのがが一番だとおもうんだ。 シナリオを進めていけば運営も気づくはずだ。 最悪でもクリアーすれば必ずアクセスしてくるはず、一応最後までのシナリオはあるみたいだし」
「確かに...... でもこのゲームのクリアーってなんなんですか」
「【仮世の王】を倒すことだ。 もちろん君たちはまだレベルも低い。 一緒にこいとはいわないが、情報を共有しないか」
アイをみると、うなづいている。
「ええ、確かにシナリオを進めるのがよさそうですね」
「ありがとう! ではフレンド登録をしよう」
おれたちはレキさんとフレンド登録を行う。
「君たちが入手した情報もあげてくれ。 このゲームは世界が広すぎて、まだ攻略らしい攻略もシナリオの数も全く不明だ。 情報は少しでも欲しいんだ」
(そういえば、チャットにも元々ネットにも攻略の情報はそんなになかったな)
「......あと、さっきでていったものたちには気を付けてくれ......」
そうレキさんはでていった方をみて小声でいう。
「気を付ける?」
「ああ、特に体に双頭の蛇のタトゥーを入れたものたちは【双頭の蛇】《アンフィスバエナ》というギルドで、PK《プレイヤーキル》を好んで行うものたち。 鬼のタトゥーは【廃鬼人】《ディスコードオーガ》と呼ばれる他のゲームの廃人プレイヤーたちで何をするかわからないんだ」
(鬼のタトゥー、あの最初にでてった人たちか......)
「邪魔をされるとかですか......」
「ああ、あの様子だとクリアーの邪魔をするかもしれん。 それに死ぬのがまずい」
「デスペナですか?」
「ちがうよ......」
アイが真剣な顔をしている。
「......ああ、このゲームでのデスペナルティは所持金半減と、ランダムアイテムロストだ。 かなり重いがたいしたことはない。 だが問題は死んだときクラウドセーブがあるということだ」
「クラウドセーブ?」
「うん。 ローカルセーブは端末《デバイス》にセーブされるけど、クラウドセーブはネットでクラウドにデータを送る。 でも今は......」
そうアイは言葉を止めた。
「ネットに正常に繋がってるかもわからない......」
「そうだ...... 脳内のデータをネットに移すとき不具合が生じたなら、最悪脳内データがそのまま消滅するかもしれん...... そのときどうなるか」
そうレキさんは考え込むようにこちらをみすえる。
(何が起こるかわからないか...... 死ぬかも...... ない話じゃないのか)
「わかりました。 気を付けます......」
そしておれたちはレキさんたちと別れて外に出た。
あれから色々やってみたがなんの反応はない。 完全にログアウトできず、ゲームからでれられなくなっていた。
「うん、どうなってるのかな......」
アイも困惑している。
「やはり、【MT】《マインドトランスファー》技術が関係してるのか?」
「......だよね。 実際のバイザーが触れないってことは、脳の命令が体に伝わってないってことだとおもうんだ」
「それって意識だけあるってこと?」
「多分...... 夢を見ているのように意識だけゲームにあるのかな。 そんな可能性は利用規約にはかかれてなかったと思うけど......」
「......それ、いっつも飛ばすから」
「......そうなんだ」
沈黙が包んだ。
「まあ、とりあえず町までいってみよう。 このゲーム参加者は一万人ぐらいいたはずだから、チャット以外の情報もえられるはず」
「そうだね。 他のプレイヤーにあえばなんとかなるかも」
最初の町アゲスタに戻る。
町のなかが騒然としていて、ある一角に人が集まっていた。
「なんか人が集まってる」
「あそこはプレイヤーの集会所だよ」
その建物に近づいていく。
「なんだ。 どうした?」
「どうも、プレイヤーたちがもめているみたいだ」
「もめてる? なんで?」
「帰れないとか、どうとかって...... 意味不明なこといってるってさ」
NPC《ノンプレイヤーキャラクター》がそう口々にはなしている。
(AIでこんな町の人たち全員、ここまで人格をもたせているのか......)
「入ってみよう!」
そういうアイの後ろをついて大きな建物へとはいった。
「だからどうすんだよ! このままゲームの中にいるしかないってのか!」
「仕方ないだろう。 運営に連絡もできないからな。 俺に当たってもどうしようもないだろう」
「帰れないなんてどうしたら......」
「......もしかしたら、俺たち死んでるとかないよな」
そう色んなプレイヤーが言い合っている。
「じゃあ、俺たちは勝手にさせてもらうぜ」
「まて! 話し合ってからだ! むやみに動くと命の危険がある!」
「いやだね。 俺は別にゲームに閉じ込められても問題はないんだ。 逆にありがたいぐらいだ。 時間を考えずに楽しめそうだからな。 命の危険もかもしれない程度だろ」
「そうね。 もし、帰れたら企業から賠償金でも踏んだくれるかもしんないしね。 せっかくのこの状況楽しまないと」
そういって一団はでていった。
それを皮切りに、各々グループごとに外へとでていく。
「君たち」
そう騎士風の青年が人を引き連れ話しかけてきた。
(この人、さっきみんなを止めようとしてた人か)
「私はレキ。【聖騎士団】《ホーリーナイツ》というギルドをしきっているギルドマスターなんだが、私たちに協力してくれないかな」
「協力ですか?」
「ああ、この状況を打破するにはこのゲームを進めるのがが一番だとおもうんだ。 シナリオを進めていけば運営も気づくはずだ。 最悪でもクリアーすれば必ずアクセスしてくるはず、一応最後までのシナリオはあるみたいだし」
「確かに...... でもこのゲームのクリアーってなんなんですか」
「【仮世の王】を倒すことだ。 もちろん君たちはまだレベルも低い。 一緒にこいとはいわないが、情報を共有しないか」
アイをみると、うなづいている。
「ええ、確かにシナリオを進めるのがよさそうですね」
「ありがとう! ではフレンド登録をしよう」
おれたちはレキさんとフレンド登録を行う。
「君たちが入手した情報もあげてくれ。 このゲームは世界が広すぎて、まだ攻略らしい攻略もシナリオの数も全く不明だ。 情報は少しでも欲しいんだ」
(そういえば、チャットにも元々ネットにも攻略の情報はそんなになかったな)
「......あと、さっきでていったものたちには気を付けてくれ......」
そうレキさんはでていった方をみて小声でいう。
「気を付ける?」
「ああ、特に体に双頭の蛇のタトゥーを入れたものたちは【双頭の蛇】《アンフィスバエナ》というギルドで、PK《プレイヤーキル》を好んで行うものたち。 鬼のタトゥーは【廃鬼人】《ディスコードオーガ》と呼ばれる他のゲームの廃人プレイヤーたちで何をするかわからないんだ」
(鬼のタトゥー、あの最初にでてった人たちか......)
「邪魔をされるとかですか......」
「ああ、あの様子だとクリアーの邪魔をするかもしれん。 それに死ぬのがまずい」
「デスペナですか?」
「ちがうよ......」
アイが真剣な顔をしている。
「......ああ、このゲームでのデスペナルティは所持金半減と、ランダムアイテムロストだ。 かなり重いがたいしたことはない。 だが問題は死んだときクラウドセーブがあるということだ」
「クラウドセーブ?」
「うん。 ローカルセーブは端末《デバイス》にセーブされるけど、クラウドセーブはネットでクラウドにデータを送る。 でも今は......」
そうアイは言葉を止めた。
「ネットに正常に繋がってるかもわからない......」
「そうだ...... 脳内のデータをネットに移すとき不具合が生じたなら、最悪脳内データがそのまま消滅するかもしれん...... そのときどうなるか」
そうレキさんは考え込むようにこちらをみすえる。
(何が起こるかわからないか...... 死ぬかも...... ない話じゃないのか)
「わかりました。 気を付けます......」
そしておれたちはレキさんたちと別れて外に出た。
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