24 / 71
第二十四話
しおりを挟む
「ここ...... 宿屋じゃないの」
おれたちはサクトが指定した場所にいくと、三階建ての大きな家があった。
「へー、まあまあな家ね」
「すごいですね」
「ここです。 預かった鍵でドアがあきました」
コゴルがそういってドアをあけた。
「なにここ、土地買って作ったってサクトがいってたけど、こんな豪華な家買えるほどうちの店儲かってんの?」
おれたちの集落で採取したり、作ったものを売る店舗をサクトは運営していた。 その利益は各種族で割っている。
「ええ、薬草や果実、木材、そして今は鉱物、鉄、紙、モンスターの素材全て売り物になるらしいです」
コゴルはそう笑う。
(サクト、いや皆もか、どんだけ優秀なの)
「人間たちを雇って、店員にしてるとは聞いてたけど......」
「人間たちに情報収集や、職人を雇って加工品をつくろうとしているようですね」
ネオンがそういって買ってきた各種の食材を棚におく。
「ては僕は各部屋に荷物をもっていきます」
コゴルが部屋へいった。
「じゃあ、お料理始めますね」
「ああ、おれも手伝う。 でもネオンって料理できるの?」
「ええ、今集落では人間の料理が流行っていますよ。 アプラどのが広めたんです」
「へぇ、でもコボルトって肉食じゃないの? ゴブリンは雑食だったけど」
「お肉以外にも柑橘系、すっはいものや強い香りのもの以外ならたべますよ」
「そうなのか」
(やっぱ犬みたいだな)
「私やることない」
そうデュセが買ってきた果物を暇そうにかじりながらいう。
「こっち手伝ってくれ、そういやデュセは料理食べるの」
「たべるわよ。 もちろん根から栄養や魔力を吸うこともできるけど、普通に食べ物からでも得られるからね」
「へえ、アルラウネのことあまり知らなかったな」
「盟主がそんなんじゃ、先が思いやられるわ」
そうデュセがあきれながら野菜の皮をむいている。 ほとんどなくなった。
(確かにもっと各種族のことをしる必要はあるな)
『それはそうと、あなたは神なのです。 神の力をあげることもお忘れなく』
(完全に忘れてた...... でもこれ以上信頼あげようがないんじゃないの)
『確かに三種族のあなたへの信頼は高い。 生活の質も魔力もあがりましたからね。 しかし、まだ神ほどの信頼はない。 もっとその力をつけて信頼をあげてください』
(これ以上か...... 仲間でも増やさないと難しいな)
その日は夕食をとって眠った。
「今日は魔法の実技を行う」
担任のバルチュア先生が生徒を人のいない郊外につれだした。
「ロックウォール」
先生が両手をだし、なにかを唱えると地面から集めの岩の壁が盛り上がる。
(ふむ、さすが教師、でも厚さはそれほどでもないな。 あれは詠唱ってやつ?)
『どうやら最初に言葉や文字をイメージして、すぐ発動できるようにしてあるみたいですね。 故に速い。 ですが決めた魔力分しか使えませんのでそれほどの出力はありません。 人間は出力が少ないのでその方法をとったみたいですね』
(それが、人間のつかう魔法か...... モンスターは感覚で使うから、出力は大きいけどムラがある。 アルデアみたいな体内で魔力操作するのは苦手そうだな)
「では、壁に向かって魔法を使ってみるように、前より上達したか確認するよ」
先生がいう。
「みんなわかってるよね」
「はい」
「わかってます」
「当たり前じゃない、わかってるわよ」
おれは三人に小声で確認をとった。
(既におれたちは目立ってるここでさらに目立つと、いつモンスター
とばれるかわからないからな)
「ではデュセくん。 前にでて魔法を使ってみたまえ」
先生にいわれ、デュセは前へとでる。
「いくわよ!!」
デュセは魔力をためると、地面から巨大な植物の根がのびた。
(なーんにもわかってなかったーー)
ねじられた根は簡単に石壁を粉々に砕いた。
一瞬の静寂が訪れる。
「な、なんだ。 植物の魔法...... 何て威力だ」
先生が口を開いた。
「なにいまの!?」
「あんな威力の魔法なんてみたことない!!」
「すごいデュセさん......」
生徒がざわざわしている。
「ふふん!」
デュセはどうだといわんばかり胸を張っている。
「あ、ああ...... ありがとうデュセさん。 壁直すからまってね。 じゃあ次ネオンくん」
先生は驚きながらも、ネオンを指名した。
「......はい」
緊張の面持ちでネオンが壁のまえにたった。
(ね、ネオンはわかってるよね! でもなんか気合いはいってない?)
ネオンは魔力をためると、周囲に光がみちる。
(これもわかってなーいーー!)
「ライトニングスフィア」
集まった光の球が石壁を吹き飛ばした。
「なあ!!!」
先生と生徒たちが口をあけている。 しばらくして先生が気がついた。
「す、すごいですね...... な、直します。 次はコゴルくん」
「は、はい」
ガチガチに固い表情でコゴルはまえへ進む。
(た、たのむ! コゴルだけでも普通にしてくれーー!!)
そうおれの願いもむなしく、二人の行動にテンパったコゴルは石壁全体を吹き飛ばした。
おれたちはサクトが指定した場所にいくと、三階建ての大きな家があった。
「へー、まあまあな家ね」
「すごいですね」
「ここです。 預かった鍵でドアがあきました」
コゴルがそういってドアをあけた。
「なにここ、土地買って作ったってサクトがいってたけど、こんな豪華な家買えるほどうちの店儲かってんの?」
おれたちの集落で採取したり、作ったものを売る店舗をサクトは運営していた。 その利益は各種族で割っている。
「ええ、薬草や果実、木材、そして今は鉱物、鉄、紙、モンスターの素材全て売り物になるらしいです」
コゴルはそう笑う。
(サクト、いや皆もか、どんだけ優秀なの)
「人間たちを雇って、店員にしてるとは聞いてたけど......」
「人間たちに情報収集や、職人を雇って加工品をつくろうとしているようですね」
ネオンがそういって買ってきた各種の食材を棚におく。
「ては僕は各部屋に荷物をもっていきます」
コゴルが部屋へいった。
「じゃあ、お料理始めますね」
「ああ、おれも手伝う。 でもネオンって料理できるの?」
「ええ、今集落では人間の料理が流行っていますよ。 アプラどのが広めたんです」
「へぇ、でもコボルトって肉食じゃないの? ゴブリンは雑食だったけど」
「お肉以外にも柑橘系、すっはいものや強い香りのもの以外ならたべますよ」
「そうなのか」
(やっぱ犬みたいだな)
「私やることない」
そうデュセが買ってきた果物を暇そうにかじりながらいう。
「こっち手伝ってくれ、そういやデュセは料理食べるの」
「たべるわよ。 もちろん根から栄養や魔力を吸うこともできるけど、普通に食べ物からでも得られるからね」
「へえ、アルラウネのことあまり知らなかったな」
「盟主がそんなんじゃ、先が思いやられるわ」
そうデュセがあきれながら野菜の皮をむいている。 ほとんどなくなった。
(確かにもっと各種族のことをしる必要はあるな)
『それはそうと、あなたは神なのです。 神の力をあげることもお忘れなく』
(完全に忘れてた...... でもこれ以上信頼あげようがないんじゃないの)
『確かに三種族のあなたへの信頼は高い。 生活の質も魔力もあがりましたからね。 しかし、まだ神ほどの信頼はない。 もっとその力をつけて信頼をあげてください』
(これ以上か...... 仲間でも増やさないと難しいな)
その日は夕食をとって眠った。
「今日は魔法の実技を行う」
担任のバルチュア先生が生徒を人のいない郊外につれだした。
「ロックウォール」
先生が両手をだし、なにかを唱えると地面から集めの岩の壁が盛り上がる。
(ふむ、さすが教師、でも厚さはそれほどでもないな。 あれは詠唱ってやつ?)
『どうやら最初に言葉や文字をイメージして、すぐ発動できるようにしてあるみたいですね。 故に速い。 ですが決めた魔力分しか使えませんのでそれほどの出力はありません。 人間は出力が少ないのでその方法をとったみたいですね』
(それが、人間のつかう魔法か...... モンスターは感覚で使うから、出力は大きいけどムラがある。 アルデアみたいな体内で魔力操作するのは苦手そうだな)
「では、壁に向かって魔法を使ってみるように、前より上達したか確認するよ」
先生がいう。
「みんなわかってるよね」
「はい」
「わかってます」
「当たり前じゃない、わかってるわよ」
おれは三人に小声で確認をとった。
(既におれたちは目立ってるここでさらに目立つと、いつモンスター
とばれるかわからないからな)
「ではデュセくん。 前にでて魔法を使ってみたまえ」
先生にいわれ、デュセは前へとでる。
「いくわよ!!」
デュセは魔力をためると、地面から巨大な植物の根がのびた。
(なーんにもわかってなかったーー)
ねじられた根は簡単に石壁を粉々に砕いた。
一瞬の静寂が訪れる。
「な、なんだ。 植物の魔法...... 何て威力だ」
先生が口を開いた。
「なにいまの!?」
「あんな威力の魔法なんてみたことない!!」
「すごいデュセさん......」
生徒がざわざわしている。
「ふふん!」
デュセはどうだといわんばかり胸を張っている。
「あ、ああ...... ありがとうデュセさん。 壁直すからまってね。 じゃあ次ネオンくん」
先生は驚きながらも、ネオンを指名した。
「......はい」
緊張の面持ちでネオンが壁のまえにたった。
(ね、ネオンはわかってるよね! でもなんか気合いはいってない?)
ネオンは魔力をためると、周囲に光がみちる。
(これもわかってなーいーー!)
「ライトニングスフィア」
集まった光の球が石壁を吹き飛ばした。
「なあ!!!」
先生と生徒たちが口をあけている。 しばらくして先生が気がついた。
「す、すごいですね...... な、直します。 次はコゴルくん」
「は、はい」
ガチガチに固い表情でコゴルはまえへ進む。
(た、たのむ! コゴルだけでも普通にしてくれーー!!)
そうおれの願いもむなしく、二人の行動にテンパったコゴルは石壁全体を吹き飛ばした。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ズボラ通販生活
ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる