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第六十九話

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「話ってなんだ......」

 森の奥に進んで広いところにでて話しかける。

「僕はエイゼルマン」

 そういうとフードを取った。 それはおれより年上の整った顔の少年だった。

「エイゼルマン...... 八極剣の持ち主!」

「そうだ...... この封楔剣アルフトゥーベのな」

 そういうやいなや少年は振り返り距離をつめ剣をふるう。

 ガキィィン!

「フォラール!」

 フォラールで防ぎつつ、風を放つ。

「アルフトゥーベ!」

 放っていた風が急にやむ。

「なんだ!? 風が!」

「このアルフトゥーベは魔力を封印する......」

「なんなんだ!? なんでおれを狙う!」

「それはこっちの台詞だ! 君はなんなんだ!」

 そういうと剣を打ち合う。

「なんなんだってどういうことだ!」

「人間ではないことはわかっている!」

「なっ!?」

 ギギギギィ

 剣を押してくる。 

(おれがタコなのを知ってるのか......)

「た、確かにおれは人間じゃない! でもおれは人に危害を加えたりはしない!」

「それを信じるのは不可能だ」

 キィン!

 防いでいた剣が弾かれる。

「鋼躯《スティルボディー》!」

 ガキィ!

「ぬっ、斬れない! アルフトゥーベ!」

 おれの体が赤くなり元に戻った。

(くそっ! 【鉱魔力】が使えない!)

「話を聞いてくれ!」

「君は斬らねばならない。 それが僕の役目だ」

 そういうと激しく連続で剣をふるう。

 攻撃をかわしながら糸を飛ばし、エイゼルマンを拘束しようとはなった。

「これは糸か、アルフトゥーベ」

 複数の糸を剣で斬られ放てなくなる。

(また使えない。 安易に魔力を使うと封印されてしまう! だがなんとか、話を聞いてもらわないと!)

 エイゼルマンが左手をこちらに向けた。。

「ぐぎっ! なんだ! 体が...... 魔力か!」

 体が重くなる。 その時エイゼルマンの剣を受ける。
 
 ドゥ!

 おれは地面をはねながらとんだ。

(くっ! とっさに柔らかくして耐えられたが二撃目は回避できない!)

 エイゼルマンが剣を振り上げる。


「ここは...... 魔力の世界か」

「そうだ......」

 そこには白髪の長い髭の老人がいた。

(本当に老人か...... 何か凄みがある。 何者だ)

「私はムーブ......」

「ムーブ、いやいまは話してる余裕はないよ!」

「あの少年に苦戦しているようだな......」

 静かにこちらを見据えるように話した。

(なんだ、この人...... 物腰は柔らかいのに凄さは伝わる......)

「ああ、正直勝てる気がしない...... 剣の腕も向こうが上、鉱魔力も糸魔力も封じられた。 形魔力もばれた。 あとは偽魔力と治魔力、霊魔力、素魔力とそして......」

「私の魔力だな」

「そうもしムーブの魔力か、効かないと斬られる......」

「それは困るな。 では教えようか......」

 そういって老人はたちあがる。


「終わりだ!」

 剣が振り下ろされた。 

 キィィン!

 その場に金属音が響く。 おれはフォラールでエイゼルマンの剣を防いでいた。

「なっ! なぜだ! さっきその剣は弾いたはず!」

「そうだな......」

 おれは手にもった剣を投げつける。 

「あまい!」

 エイゼルマンはそれをかわし剣をふるおうとする。

「なに!?」

 ガキィィン

 おれの投げた剣が後ろからとび、それをエイゼルマンは剣で受ける。

「素魔力、形魔力、【水剣】《アクアブレード》」

 おれは水の剣でエイゼルマンに切りかかる。

「くっ!!」
 
 エイゼルマンはそれを剣でうける。

「素魔力【氷】《アイス》」

 剣がエイゼルマンの剣に当たった瞬間、剣ごと腕が凍りついた。

「がっ! だがまだ!」

 エイゼルマンは左手を向ける。 おれは手にもっていたフォラールの刃を、エイゼルマンのその首すじにあてた。

「重力は使うな......」

「くっ!」

「これで話を聞いてくれるよね」


「......願いを聞いてもらいたい」

 封印をとかせ糸でエイゼルマンを拘束していた。

「勝手に殺そうとしといてむしがよくないか」

「わかっている...... 殺されるのは受け入れよう」

「じゃあなんだ」

「破壊をやめて欲しい...... 僕の願いを聞いてもらえるなら、殺されてもいい」

「はかい? 破壊ってなにを?」

「君は黒き太陽なんだろう。 町や国、人々を滅ぼし破壊する存在」

「おれが黒き太陽...... どういうことだ」

「うちの家に代々伝わっている初代百剣王ヴェラルーサの遺言だ。 『この世が乱れる時、再び黒き太陽がよみがえり、その力によっていずれ世界は滅びに瀕するだろう』、だから僕は黒き太陽を封印すべく旅に出た」
 
「おれがそうだというのか?」

 おれはその事実を受け入れられず呆然とした。

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