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第六十六話

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「死ねモンスター!!」

 チュイイインッ!!

 デューラとうち合わせた剣から激しい火花が起こる。

「なんだ!!? フォラール!!」

 突風でデューラを離した。

 剣をみると大きな傷がある。 

「【振斬剣】ライドデュートに斬れないものはない」

(あの神剣の魔力か...... 固い神剣を斬れるのか、ならおれの金属化も斬られるってことだ。 なら)

「フォラール!」

 風の刃が魔石へと向かい削るが、風はすぐ消えた。

(魔力を吸いとられる。 やはり直接強い力で割るしかないな)

「デューラ、そいつは巨魔石を狙っています!」

 セファイラがエルティッタさんと戦いながら叫んだ。

「やめろ!!」

 射線上にはいり、デューラがこちらに向かって剣をふるう。

「このままだとグランティ族は全滅するぞ! なんのために戦う!」

「このままなにもせずともグランティ族は滅ぶ! あんな過酷な土地に追いやられ、徐々に人口が減っているのだ!」

「だから、セファイラを信じるのか!」

「奴は同胞! 外のやつらとはちがう! 俺たちはグランティ族をまもる!」

「あいつはグランティ族じゃないだろ!」

「あいつは俺の幼馴染みだ! 幼い頃に外のやつらに誘拐されたな!」

(そんな! 本当にグランティ族なのか!)

「異民族、いやモンスターが邪魔をするな!」

 ギャギャギャギン!

「ぐぅ!!」

 おれは弾かれた。 金属化した腕がきられている。

(やはり金属化しても斬られた。 これは振動か......)

「あいつが同族だったとしても、兵士となったグランティ族はもうみんな死ぬぞ。 あんなに衰弱してたからな」

「どちらにしろ滅ぶのだから、その命を未来に繋げられれば俺たちが死んでもかまわん」

 デューラは死ぬこともいとわないようにみえた。

「それに、この巨魔石にもう少し魔力をためれば、この国の奴らも兵士にできる」

 そういうデューラの目は狂気にみちている。

(あの魔石でこの国全員に夢を見せ兵士にするつもりか...... 絶対に阻止しないと! でもあの剣は打ち合えもしない。 どんな固いものも切りさかれる。 いや、どんなものも......)

「よし!」

 デューラにつっこんだ。

「死ににきたか!」

 唸る剣が振り下ろされおれは腕でうけた。

 キュルキュルキュ......

 音がとまった。

「なにきれない!?」

「フォラール!」

 風でデューラを吹き飛ばすと、おれは収縮、解放して魔石へとつっこんだ。

「あぶない!!」

 そのエルティッタさんの声でかわすとその横を紫の剣がかすめる。

「壊されると困るんですよ」

 セファイラがそういっておれを蹴りあげた。

「ぐっ!」

「よし! セファイラ魔石をたのむ」

「デューラさんにいわれずともまもりますよ。 どうやらもう町を落とすことはできなさそうだから、もっていきますね」

「なに!? どういうことだ! それにそのユーハライゼををどうする!!」

「もらっていくにきまっているでしょう」

「お前はグランティ族を裏切るのか!」

「ふっふっふっ、もうグランティ族である必要ありませんしね」

 そう微笑むとセファイラは影のなかへ魔石ごときえた。

「騙されていたのか......」

「奴はおれの町でなにかを見つけるつもりだったんだろう。 もしかしたら魔石に魔力をためるのが目的だったのかも......」

「くそっ! 俺たちはなんのために!」

 デューラは膝から崩れ落ち地面を叩く。

「今はそんなことをいってる暇はないよ! 早く剣の操作から逃れた人たちを集めて、おれが回復する!」

「し、しかし、広範囲に離れ過ぎて一ヶ所には集められん」

「くっ! 広範囲か、仕方ないやってみるか......」

 おれは大量の糸をつくりだす。

「この糸を動ける者たちを使って、弱っている人たちにくっつけて、はやく!」

「わ、わかった!」

 おれは糸を国中に広げた。
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