48 / 53
第四十八回 白天《はくてん》
しおりを挟む
仙島におりると、目に見える全てが水だった。
「なんだ?水以外なにも見えない」
「みゃう」
コマリがないた。
「下に何かあるのか」
僕たちは水の中に入る。そこは水の中なのに森や山があり、
魚たちも泳いでいた。
「海か......なんで海が」
紅《こう》か首をかしげた。
「あっち......あっちから私の炎の気を感じる」
桃理《とうり》がいう。
僕たちはその気を追って水の中を進む。
そして大きな気が二つある場所についた。
そこには二人が対峙していた。
一人は刀を抜いた灰混仙《かいこんせん》と、
もう一人、老人が膝をついて肩口を押さえていた。
「一体なんなのじゃ急に襲ってきて......お主何者じゃ」
「貴様が!!」
灰混仙《かいこんせん》のその目は憎しみに満ちていた。
僕たちはその地に降り立ちとめる。
「まて!!灰混仙《かいこんせん》」
「また、貴様らか......」
「はくてん......白天仙《はくてんせん》ではないですか!?」
碧玉《へきぎょく》が驚いている。
「碧玉《へきぎょく》......なぜお前が」
「白天仙《はくてんせん》?碧玉《へきぎょく》
彼が兄弟子の白天仙《はくてんせん》なのか?」
「は、はい、でもなぜあなたが、こんなことを」
「はくてん......白天《はくてん》......あなた、まさか」
桃理《とうり》が思い出したように、
灰混仙《かいこんせん》を見る。
「その銀髪......あなた兄さまなの......」
「違う......」
そう言われた灰混仙《かいこんせん》は顔を背ける。
「兄さま、どういうことだ、桃理《とうり》」
コウがそう聞いた。
「私には兄さまがいた。成威《せいい》で幼いとき、
さらわれたその時兄さまのことを少し覚えている」
「............」
灰混仙《かいこんせん》は黙り、傷ついた老人をにらんだ。
「そんなことはどうでもいい......
お前が成威《せいい》を滅ぼしたのかと聞いている」
「そんなことはしておらん......
それより、その万象刀......それをなぜお主が持っておる。
それこそ、世鳳《せおう》の至宝であろう」
龍漿仙《りゅうしょうせん》といわれた老人は、
はそういって刀を指差した。
「万象刀《ばんしょうとう》!?」
「これは、私のものだからだ」
「そうか、お主、世鳳《せおう》の王族か......
玄陽仙《げんようせん》に与し、
ワシの封戒玉《ふうかいぎょく》の封印を解くつもりか」
「どういうことですか?香花仙《こうかせん》と、
沙像仙《さぞうせん》彼らと手を結び、
玄陽仙《けんようせん》の復活をさせようと、
していたのではないのですか?」
僕がいうと、蒼花仙《そうかせん》もつづいた。
「私は香花仙《こうかせん》のもとであなたが訪れるのを見ている。
その気は確かにあなただった」
「......知らぬ。ワシは封印を守っていた。
封印を開ければ、世界が混沌となるのに、
玄陽仙《げんようせん》など復活させるわけがなかろうて」
(どうなっている?気なら間違いないはずなのに)
それを聞き、灰混仙《かいこんせん》もなにかを考えている。
「何をしているのです。早く龍漿仙《りゅうしょうせん》を殺し、
その封戒玉《ふうかいぎょく》を手に入れなさい。
それが私との約束でしょう」
そう突然上から声がした。
そこには黒い服を着た黒髪の男がたっている。
「冥影仙《めいえいせん》お主の仕業か!」
龍漿仙《りゅうしょうせん》がそういうと、男は薄く笑う。
「冥影仙《めいえいせん》......これはどういうことだ!
あんたはこの男が封印を開けるために、
世鳳《せおう》を滅ぼしたといっていた!
だが、この男はまともに戦おうともしない」
「あなたを騙そうとしているだけ、あなたはあの日、
街の外にいて、成威《せいい》の空でみたのでしょう。
その龍漿仙《りゅうしょうせん》が王都を滅ぼす所を......」
「確かにあれはこの男だった......香花仙《こうかせん》の所でみた」
「同じ気の者はいないはずでしょう。何をためらっているのです」
そう冥影仙《めいえいせん》はいうと、
諦めたように舌打ちした。
「きゃあ!」
「ぬお!!」
その叫び声で見ると、地面の中に影のなかに
龍漿仙《りゅうしょうせん》と、
桃理《とうり》が沈んでいくところだった。
「なっ!」
「この娘貴様の妹ですね。
返してほしくば冥洞《めいどう》まで来てください。
その刀をもって......」
灰混仙《かいこんせん》が飛び、
空の冥影仙《めいえいせん》を切るが、
笑い声と共に影となって消えた。
「くっ!なんてことだ!騙されていたのか」
灰混仙《かいこんせん》が飛び立とうとするのを止めた。
「まって!一人ではその刀を奪われてしまう。
そうなれば玄陽仙《げんようせん》が封印から解かれる!」
「だが......妹が桃理《とうり》が!」
「お待ちください白天仙《はくてんせん》!
すぐには殺されません!あなたの刀が欲しいのだから!)
碧玉《へきぎょく》がそういう。
「碧玉《へきぎょく》......」
「なにか来る!!」
そう蒼花仙《そうかせん》が叫んだ時、水の中に炎が降ってきた。
驚く僕たちの前に炎の鳥から女性と男性がおりてきた。
「あなたは!!」
「遅かったようですね......」
それは命炎仙《みょうえんせん》と、
冴氷仙《ごひょうせん》だった。
「なんだ?水以外なにも見えない」
「みゃう」
コマリがないた。
「下に何かあるのか」
僕たちは水の中に入る。そこは水の中なのに森や山があり、
魚たちも泳いでいた。
「海か......なんで海が」
紅《こう》か首をかしげた。
「あっち......あっちから私の炎の気を感じる」
桃理《とうり》がいう。
僕たちはその気を追って水の中を進む。
そして大きな気が二つある場所についた。
そこには二人が対峙していた。
一人は刀を抜いた灰混仙《かいこんせん》と、
もう一人、老人が膝をついて肩口を押さえていた。
「一体なんなのじゃ急に襲ってきて......お主何者じゃ」
「貴様が!!」
灰混仙《かいこんせん》のその目は憎しみに満ちていた。
僕たちはその地に降り立ちとめる。
「まて!!灰混仙《かいこんせん》」
「また、貴様らか......」
「はくてん......白天仙《はくてんせん》ではないですか!?」
碧玉《へきぎょく》が驚いている。
「碧玉《へきぎょく》......なぜお前が」
「白天仙《はくてんせん》?碧玉《へきぎょく》
彼が兄弟子の白天仙《はくてんせん》なのか?」
「は、はい、でもなぜあなたが、こんなことを」
「はくてん......白天《はくてん》......あなた、まさか」
桃理《とうり》が思い出したように、
灰混仙《かいこんせん》を見る。
「その銀髪......あなた兄さまなの......」
「違う......」
そう言われた灰混仙《かいこんせん》は顔を背ける。
「兄さま、どういうことだ、桃理《とうり》」
コウがそう聞いた。
「私には兄さまがいた。成威《せいい》で幼いとき、
さらわれたその時兄さまのことを少し覚えている」
「............」
灰混仙《かいこんせん》は黙り、傷ついた老人をにらんだ。
「そんなことはどうでもいい......
お前が成威《せいい》を滅ぼしたのかと聞いている」
「そんなことはしておらん......
それより、その万象刀......それをなぜお主が持っておる。
それこそ、世鳳《せおう》の至宝であろう」
龍漿仙《りゅうしょうせん》といわれた老人は、
はそういって刀を指差した。
「万象刀《ばんしょうとう》!?」
「これは、私のものだからだ」
「そうか、お主、世鳳《せおう》の王族か......
玄陽仙《げんようせん》に与し、
ワシの封戒玉《ふうかいぎょく》の封印を解くつもりか」
「どういうことですか?香花仙《こうかせん》と、
沙像仙《さぞうせん》彼らと手を結び、
玄陽仙《けんようせん》の復活をさせようと、
していたのではないのですか?」
僕がいうと、蒼花仙《そうかせん》もつづいた。
「私は香花仙《こうかせん》のもとであなたが訪れるのを見ている。
その気は確かにあなただった」
「......知らぬ。ワシは封印を守っていた。
封印を開ければ、世界が混沌となるのに、
玄陽仙《げんようせん》など復活させるわけがなかろうて」
(どうなっている?気なら間違いないはずなのに)
それを聞き、灰混仙《かいこんせん》もなにかを考えている。
「何をしているのです。早く龍漿仙《りゅうしょうせん》を殺し、
その封戒玉《ふうかいぎょく》を手に入れなさい。
それが私との約束でしょう」
そう突然上から声がした。
そこには黒い服を着た黒髪の男がたっている。
「冥影仙《めいえいせん》お主の仕業か!」
龍漿仙《りゅうしょうせん》がそういうと、男は薄く笑う。
「冥影仙《めいえいせん》......これはどういうことだ!
あんたはこの男が封印を開けるために、
世鳳《せおう》を滅ぼしたといっていた!
だが、この男はまともに戦おうともしない」
「あなたを騙そうとしているだけ、あなたはあの日、
街の外にいて、成威《せいい》の空でみたのでしょう。
その龍漿仙《りゅうしょうせん》が王都を滅ぼす所を......」
「確かにあれはこの男だった......香花仙《こうかせん》の所でみた」
「同じ気の者はいないはずでしょう。何をためらっているのです」
そう冥影仙《めいえいせん》はいうと、
諦めたように舌打ちした。
「きゃあ!」
「ぬお!!」
その叫び声で見ると、地面の中に影のなかに
龍漿仙《りゅうしょうせん》と、
桃理《とうり》が沈んでいくところだった。
「なっ!」
「この娘貴様の妹ですね。
返してほしくば冥洞《めいどう》まで来てください。
その刀をもって......」
灰混仙《かいこんせん》が飛び、
空の冥影仙《めいえいせん》を切るが、
笑い声と共に影となって消えた。
「くっ!なんてことだ!騙されていたのか」
灰混仙《かいこんせん》が飛び立とうとするのを止めた。
「まって!一人ではその刀を奪われてしまう。
そうなれば玄陽仙《げんようせん》が封印から解かれる!」
「だが......妹が桃理《とうり》が!」
「お待ちください白天仙《はくてんせん》!
すぐには殺されません!あなたの刀が欲しいのだから!)
碧玉《へきぎょく》がそういう。
「碧玉《へきぎょく》......」
「なにか来る!!」
そう蒼花仙《そうかせん》が叫んだ時、水の中に炎が降ってきた。
驚く僕たちの前に炎の鳥から女性と男性がおりてきた。
「あなたは!!」
「遅かったようですね......」
それは命炎仙《みょうえんせん》と、
冴氷仙《ごひょうせん》だった。
0
お気に入りに追加
52
あなたにおすすめの小説


異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。
2回目の人生は異世界で
黒ハット
ファンタジー
増田信也は初めてのデートの待ち合わせ場所に行く途中ペットの子犬を抱いて横断歩道を信号が青で渡っていた時に大型トラックが暴走して来てトラックに跳ね飛ばされて内臓が破裂して即死したはずだが、気が付くとそこは見知らぬ異世界の遺跡の中で、何故かペットの柴犬と異世界に生き返った。2日目の人生は異世界で生きる事になった

のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

サバイバル能力に全振りした男の半端仙人道
コアラ太
ファンタジー
年齢(3000歳)特技(逃げ足)趣味(採取)。半仙人やってます。
主人公は都会の生活に疲れて脱サラし、山暮らしを始めた。
こじんまりとした生活の中で、自然に触れていくと、瞑想にハマり始める。
そんなある日、森の中で見知らぬ老人から声をかけられたことがきっかけとなり、その老人に弟子入りすることになった。
修行する中で、仙人の道へ足を踏み入れるが、師匠から仙人にはなれないと言われてしまった。それでも良いやと気楽に修行を続け、正式な仙人にはなれずとも。足掛け程度は認められることになる。
それから何年も何年も何年も過ぎ、いつものように没頭していた瞑想を終えて目開けると、視界に映るのは密林。仕方なく周辺を探索していると、二足歩行の獣に捕まってしまう。言葉の通じないモフモフ達の言語から覚えなければ……。
不死になれなかった半端な仙人が起こす珍道中。
記憶力の無い男が、日記を探して旅をする。
メサメサメサ
メサ メサ
メサ メサ
メサ メサ
メサメサメサメサメサ
メ サ メ サ サ
メ サ メ サ サ サ
メ サ メ サ ササ
他サイトにも掲載しています。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる