59 / 66
第五十九話
しおりを挟む
「整列したな! ではミーナさま。 出陣の号令を」
そう馬にのるゼキエル騎士団長がうながす。
「我が神の子らよ。 我らはジャルスタークを倒し、そののちこのベルン大陸、いえ魔族大陸をも滅ぼして唯一の国として統治するのです。 戦乱の続くこの世界に終止符を打つべく、死しても戦いなさい!」
大きな御輿にのったミーナが鼓舞すると、地鳴りのような歓声があがった。
「よし!! 進軍せよ!」
その前に上空にいた俺たちはティンクルで地面に降りる。
「なっ! ドラゴンだと!!」
「とまりなさい!!」
俺はミーナをティンクルから地面に下ろした。
「誰だ!?」
「ドラゴンと人間!!?」
「あれはミーナさま!?」
兵士たちはざわざわと騒ぎ始める。
「なっ!? これはどういうことだ!?」
ゼキエルが馬から降りてこちらにきた。
「ゼキエル! 軍をとめなさい!」
「ミーナさまがふたり......」
「なにをしているのです! 軍を進めなさい!」
もう一人のミーナをのせた御輿がこちらにきた。
「あなたは何者です! 私はミーナ・ライト・アスム・アズリア! アズリア帝国の女帝です! 軍を止めなさい!」
「なにをバカなことを、私がミーナです! お前たちこのものたちを殺しなさい!」
ふたりのミーナがにらみ合い。 兵士たちは戸惑っている。
「ドラゴンにのる怪しげなものを信じるのですか! ゼキエル殺しなさい!」
「わかりました...... 我らはずっとミーナさまのそばにいた。 突然現れた貴様たちは偽物と断ずる! 兵士よ囲んでとらえよ!」
そうゼキエルにいわれ戸惑いながらも、兵士は俺たちを囲んだ。
(なるほど、ゼキエルこいつはグルか......)
「ミーナどうだ?」
ミーナに俺がきくと目を伏せうなづく。
「はい、後ろに二人......」
大きな声でいった。
ーー光よ、瞬き流れ、その輝きを束ねよーー
ーー光よ、瞬き流れ、その輝きを束ねよーー
「シャインダブルストライク」
俺の放った光の弾は御輿のミーナの後方をうちぬく。
「ぎゃあ!!」
「ぎゃわ!!」
御輿のミーナの後ろで二体のリザードマンが倒れ地面に落ちた。
「これは!? リザードマン! なぜ魔族が!」
「ミーナさまのそばにどういうことだ!!?」
兵士たちが驚いている。
「おっさん。 ドラゴンが怪しいなら魔族をつれてるやつのが怪しいんじゃないか?」
「ぬうっ! うるさい! 兵士たちよ! このものをうて!!」
ゼキエルは苛立ちげにそうさけんだ。
「ミーナは魔力を感知する! 知ってるものはいるか!」
大声でそういうと、兵士たちがざわついた。
「確かにそのようなことを聞いたことがあるな」
「ああ、極めてまれな能力だと聞いている」
「ならば、あちらが本物か......」
「ええい! さっさととらえぬか!」
御輿のミーナが身をのりだしそう叫ぶと、空から風のヴェールをまとい隠蔽していたグラディスのナイフがそのミーナに刺さった。
「ぐっ!!」
すると、その姿が大柄なリザードマンへと変わっていく。
「なっ!!」
「わかったでしょう! そのものは偽物です! ゼキエルと共にとらえなさい!」
「は、はっ!!」
ミーナがそう凛とした声で命じると、兵士たちはリザードマンと、ゼキエルを囲んだ。
「カルファお前だったのか、確か変身魔法をもっていたな」
グラディスがそう捕まったリザードマンにそういった。
「あいつか? なんか体はでかいけど」
「わからん...... リザードマンの顔は全部同じに見える」
俺とディンがそう小声ではなす。
「このナイフ...... 魔力の封印か」
「ああ、お主の仲間に刺されて死にかけたわ」
「グラディス...... 裏切ったのか」
そうカルファはグラディスを殺意のこもった目でみた。
「ふざけるな...... ヴェルディクが私を騙し嘘をついたからだ」
「嘘だと......」
「復活には死者の必要などない。 そうライゼプルトが断言していた」
「なんだと...... あの魔王が! どういうことだ!!?」
リザードマンは驚いている。
「必要だ......」
そう空から声がする。
見上げると真上に黒い球体に包まれたヴェルディクが浮いていた。
「ヴェルディクさま! 本当にガルガンチュアさまは蘇るのですか!!」
(こいつも魔王を蘇らせるつもりだったのか)
「ああ、それには死者が必要だった...... がもう時間もない。 不完全だが、お前たちの犠牲で甦らせることとした......」
「なにをいっている!?」
「いった通りだ......」
そういうとペンダントを掲げた。
「あれは盗まれた【反魂の宝玉】《リバースライフジェム》!?」
地面が揺れると盛り上がり、地響きをたてながら、六本の腕をもつ異形の姿が現れた。
そう馬にのるゼキエル騎士団長がうながす。
「我が神の子らよ。 我らはジャルスタークを倒し、そののちこのベルン大陸、いえ魔族大陸をも滅ぼして唯一の国として統治するのです。 戦乱の続くこの世界に終止符を打つべく、死しても戦いなさい!」
大きな御輿にのったミーナが鼓舞すると、地鳴りのような歓声があがった。
「よし!! 進軍せよ!」
その前に上空にいた俺たちはティンクルで地面に降りる。
「なっ! ドラゴンだと!!」
「とまりなさい!!」
俺はミーナをティンクルから地面に下ろした。
「誰だ!?」
「ドラゴンと人間!!?」
「あれはミーナさま!?」
兵士たちはざわざわと騒ぎ始める。
「なっ!? これはどういうことだ!?」
ゼキエルが馬から降りてこちらにきた。
「ゼキエル! 軍をとめなさい!」
「ミーナさまがふたり......」
「なにをしているのです! 軍を進めなさい!」
もう一人のミーナをのせた御輿がこちらにきた。
「あなたは何者です! 私はミーナ・ライト・アスム・アズリア! アズリア帝国の女帝です! 軍を止めなさい!」
「なにをバカなことを、私がミーナです! お前たちこのものたちを殺しなさい!」
ふたりのミーナがにらみ合い。 兵士たちは戸惑っている。
「ドラゴンにのる怪しげなものを信じるのですか! ゼキエル殺しなさい!」
「わかりました...... 我らはずっとミーナさまのそばにいた。 突然現れた貴様たちは偽物と断ずる! 兵士よ囲んでとらえよ!」
そうゼキエルにいわれ戸惑いながらも、兵士は俺たちを囲んだ。
(なるほど、ゼキエルこいつはグルか......)
「ミーナどうだ?」
ミーナに俺がきくと目を伏せうなづく。
「はい、後ろに二人......」
大きな声でいった。
ーー光よ、瞬き流れ、その輝きを束ねよーー
ーー光よ、瞬き流れ、その輝きを束ねよーー
「シャインダブルストライク」
俺の放った光の弾は御輿のミーナの後方をうちぬく。
「ぎゃあ!!」
「ぎゃわ!!」
御輿のミーナの後ろで二体のリザードマンが倒れ地面に落ちた。
「これは!? リザードマン! なぜ魔族が!」
「ミーナさまのそばにどういうことだ!!?」
兵士たちが驚いている。
「おっさん。 ドラゴンが怪しいなら魔族をつれてるやつのが怪しいんじゃないか?」
「ぬうっ! うるさい! 兵士たちよ! このものをうて!!」
ゼキエルは苛立ちげにそうさけんだ。
「ミーナは魔力を感知する! 知ってるものはいるか!」
大声でそういうと、兵士たちがざわついた。
「確かにそのようなことを聞いたことがあるな」
「ああ、極めてまれな能力だと聞いている」
「ならば、あちらが本物か......」
「ええい! さっさととらえぬか!」
御輿のミーナが身をのりだしそう叫ぶと、空から風のヴェールをまとい隠蔽していたグラディスのナイフがそのミーナに刺さった。
「ぐっ!!」
すると、その姿が大柄なリザードマンへと変わっていく。
「なっ!!」
「わかったでしょう! そのものは偽物です! ゼキエルと共にとらえなさい!」
「は、はっ!!」
ミーナがそう凛とした声で命じると、兵士たちはリザードマンと、ゼキエルを囲んだ。
「カルファお前だったのか、確か変身魔法をもっていたな」
グラディスがそう捕まったリザードマンにそういった。
「あいつか? なんか体はでかいけど」
「わからん...... リザードマンの顔は全部同じに見える」
俺とディンがそう小声ではなす。
「このナイフ...... 魔力の封印か」
「ああ、お主の仲間に刺されて死にかけたわ」
「グラディス...... 裏切ったのか」
そうカルファはグラディスを殺意のこもった目でみた。
「ふざけるな...... ヴェルディクが私を騙し嘘をついたからだ」
「嘘だと......」
「復活には死者の必要などない。 そうライゼプルトが断言していた」
「なんだと...... あの魔王が! どういうことだ!!?」
リザードマンは驚いている。
「必要だ......」
そう空から声がする。
見上げると真上に黒い球体に包まれたヴェルディクが浮いていた。
「ヴェルディクさま! 本当にガルガンチュアさまは蘇るのですか!!」
(こいつも魔王を蘇らせるつもりだったのか)
「ああ、それには死者が必要だった...... がもう時間もない。 不完全だが、お前たちの犠牲で甦らせることとした......」
「なにをいっている!?」
「いった通りだ......」
そういうとペンダントを掲げた。
「あれは盗まれた【反魂の宝玉】《リバースライフジェム》!?」
地面が揺れると盛り上がり、地響きをたてながら、六本の腕をもつ異形の姿が現れた。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
【完結】先だった妻と再び巡り逢うために、異世界で第二の人生を幸せに過ごしたいと思います
七地潮
ファンタジー
妻に先立たれた 後藤 丈二(56)は、その年代に有りがちな、家事が全く出来ない中年男性。
独り身になって1年ほど経つ頃、不摂生で自分も亡くなってしまう。
が、気付けば『切り番当選者』などと言われ、半ば押しつけられる様に、別の世界で第二の人生を歩む事に。
再び妻に巡り合う為に、家族や仲間を増やしつつ、異世界で旅をしながら幸せを求める…………話のはず。
独自世界のゆるふわ設定です。
誤字脱字は再掲載時にチェックしていますけど、出てくるかもしれません、すみません。
毎日0時にアップしていきます。
タグに情報入れすぎで、逆に検索に引っかからないパターンなのでは?と思いつつ、ガッツリ書き込んでます。
よろしくお願いします。
※この話は小説家になろうさんでアップした話を掲載しております。
※なろうさんでは最後までアップしていますけど、こちらではハッピーエンド迄しか掲載しない予定です。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜
I.G
ファンタジー
神様と名乗るおじいさんに転生させられること3521回。
レベル、ステータス、その他もろもろ
最強の力を身につけてきた服部隼人いう名の転生者がいた。
彼の役目は異世界の危機を救うこと。
異世界の危機を救っては、また別の異世界へと転生を繰り返す日々を送っていた。
彼はそんな人生で何よりも
人との別れの連続が辛かった。
だから彼は誰とも仲良くならないように、目立たない回復職で、ほそぼそと異世界を救おうと決意する。
しかし、彼は自分の強さを強すぎる
が故に、隠しきることができない。
そしてまた、この異世界でも、
服部隼人の強さが人々にばれていく
のだった。
クラス転移、異世界に召喚された俺の特典が外れスキル『危険察知』だったけどあらゆる危険を回避して成り上がります
まるせい
ファンタジー
クラスごと集団転移させられた主人公の鈴木は、クラスメイトと違い訓練をしてもスキルが発現しなかった。
そんな中、召喚されたサントブルム王国で【召喚者】と【王候補】が協力をし、王選を戦う儀式が始まる。
選定の儀にて王候補を選ぶ鈴木だったがここで初めてスキルが発動し、数合わせの王族を選んでしまうことになる。
あらゆる危険を『危険察知』で切り抜けツンデレ王女やメイドとイチャイチャ生活。
鈴木のハーレム生活が始まる!
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
異世界召喚で適正村人の俺はゴミとしてドラゴンの餌に~だが職業はゴミだが固有スキルは最強だった。スキル永久コンボでずっと俺のターンだ~
榊与一
ファンタジー
滝谷竜也(たきたにりゅうや)16歳。
ボッチ高校生である彼はいつも通り一人で昼休みを過ごしていた。
その時突然地震に襲われ意識をい失うってしまう。
そして気付けばそこは異世界で、しかも彼以外のクラスの人間も転移していた。
「あなた方にはこの世界を救うために来て頂きました。」
女王アイリーンは言う。
だが――
「滝谷様は村人ですのでお帰り下さい」
それを聞いて失笑するクラスメート達。
滝谷竜也は渋々承諾して転移ゲートに向かう。
だがそれは元の世界へのゲートではなく、恐るべき竜の巣へと続くものだった。
「あんたは竜の餌にでもなりなさい!」
女王は竜也を役立たずと罵り、国が契約を交わすドラゴンの巣へと続くゲートへと放り込んだ。
だが女王は知らない。
職業が弱かった反動で、彼がとてつもなく強力なスキルを手に入れている事を。
そのスキル【永久コンボ】は、ドラゴンすらも容易く屠る最強のスキルであり、その力でドラゴンを倒した竜谷竜也は生き延び復讐を誓う。
序でに、精神支配されているであろうクラスメート達の救出も。
この物語はゴミの様な村人と言う職業の男が、最強スキル永久コンボを持って異世界で無双する物語となります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる