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第五十話
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「おいおい、地下ってことは、ネメイオあいつ捕まってんじゃないだろうな」
「おいサキミ!」
「おおディン!」
向こうからディンが近づいてくる。
「兵士たちが地下へと向かっている! どうした!」
「わからんがネメイオがヤバイ! 俺がいくから、お前はここで逃げられる策を練っておいてくれ!」
「わかった!」
ディンを置いて、地下へと向かう、
大きな部屋に兵士たちがつめよせていた。 部屋の中央には金色の王冠がおかれそれがマーザルスに渡された。 兵士たちはうろうろするなか、ネメイオが兵士をかわしている。
(まだ捕まってなかったのか...... ただこの中兵士を避けてあるくのは無理か、ぶつかっても大丈夫だが、倒れた兵士をみたものが気づきかねないな)
「それで賊はどこだ?」
マーザルスがそういう。
「それが、わからないのです......」
兵士が困惑してそういう。
「わからないとは?」
「一時的に王冠の調整を行おうとしたところ。 何者かが王冠にふれたようなのですが...... その姿を視認できません」
困惑したように杖をもつ魔法使いのようなものがいった。
(なるほど、兵士たちが使うと思ってふれてしまったのか。 どうやら王冠の方に何かがおこったら知らせる仕掛けをしていたようだな)
「グラディスどの、これは......」
「ええ、隠蔽の魔法...... でしょうね」
「ですが、この魔法が使えない城でそのようなことなど不可能では?」
マーザルスは怪訝そうな顔でグラディスに聞いた。
「......かつて十三魔王の一人がそのような魔法を使ったそうです。 ですから方法がないというわけではないでしょう。 一度、城の排除魔法を止めてください」
「わかった! 魔法を止めよ!」
「そして兵士たちに隙間なく輪の壁を二重、三重につくらせ、それを少しずつ狭めていく。 そして、兵士にほころびができたところを槍でついてください」
グラディスがそう指示した。
「よし! お前たち輪になってゆっくり中央へ進め!」
(やばい、どうする! 魔法を使ったら姿がばれる...... 帰ってディンに二つ目の願い...... ダメだ間に合わん!)
ネメイオがこちらに気づいた。
「サキミ! この輪が中央にきたとき、私が魔法を使って気を引くから、あの王冠を奪って逃げなさい!」
「そんなことできるか! まってろ! なんか考える!」
(えーと...... 何かないか)
近くを見回す。 兵士たちが多くいて中央をつぶさに見ていると、その腰には護身用とみられる短刀を身に付けている。
(よし! あれだ!)
兵士たちの腰につけた短刀を数人からこっそり抜いた。
「いいか、俺が合図したら、崩れた隊列の間を抜けろ!」
そういって低い姿勢になると、ネメイオの後ろにいる兵士の足めがけて二本、短刀を投げる。
「なっ!」
一本が刺さり、後ろの兵士が体を曲げた。 その瞬間、その前に槍が突き立てられる。
「なにもいません!」
「なんだと!! いない?」
「槍が引かれたらそこを抜けろ!」
移動して、ネメイオと逆の二番目の輪の兵士の足に短刀を投げた。
「ぐわっ!」
ネメイオは槍が引かれたときに、その隙間壁を抜けた。
「二番の壁が!!? それにこれはわが兵士の短刀!!」
マーザルスが驚いている。
ーー瞬きより早く、その光輝く汝は貫くーー
「ライトニングサークル」
ヤバイという間もなく、グラディスの雷魔法が輪の兵士ごと貫いた。
「ぐわあああああ!!」
「きゃああああ!!」
兵士たちとネメイオが倒れる。
「なにをされます!! グラディスどの!!」
「賊をとらえるためです。 もしかしたらもう一人いるかもしれません...... 部屋の入り口を」
ーー光よ、瞬き流れ、その輝きを束ねよーー
(更に)
ーー光よ、瞬き流れ、その輝きを束ねよーー
「シャインストライクサイクロン」
双魔の腕輪を使って二つの魔法を同時に放つと、マーザルスとグラディスたちを吹き飛ばす。 落ちた王冠を拾うと倒れたネメイオに駆け寄る。
「な、急に現れた! それにこの魔法なんて威力だ! 貴様は何者!」
マーザルスが俺にそういった。
「お前はディンプルディといた...... やはりまだ生きて......」
隠蔽の魔法がとけグラディスと目があった。
「おいネメイオ! こいつの使い方教えてくれ!」
「か、かして......」
雷を浴びてふらふらのネメイオが王冠を両手にもつ。
「く! 逃がしません!!」
ーーその...... 偉大なる力を...... もって、我らの...... 身を...... 彼方へと...... 誘え......ーー
グラディスが放った巨大な氷塊が俺たちをつつんだ。
「おいサキミ!」
「おおディン!」
向こうからディンが近づいてくる。
「兵士たちが地下へと向かっている! どうした!」
「わからんがネメイオがヤバイ! 俺がいくから、お前はここで逃げられる策を練っておいてくれ!」
「わかった!」
ディンを置いて、地下へと向かう、
大きな部屋に兵士たちがつめよせていた。 部屋の中央には金色の王冠がおかれそれがマーザルスに渡された。 兵士たちはうろうろするなか、ネメイオが兵士をかわしている。
(まだ捕まってなかったのか...... ただこの中兵士を避けてあるくのは無理か、ぶつかっても大丈夫だが、倒れた兵士をみたものが気づきかねないな)
「それで賊はどこだ?」
マーザルスがそういう。
「それが、わからないのです......」
兵士が困惑してそういう。
「わからないとは?」
「一時的に王冠の調整を行おうとしたところ。 何者かが王冠にふれたようなのですが...... その姿を視認できません」
困惑したように杖をもつ魔法使いのようなものがいった。
(なるほど、兵士たちが使うと思ってふれてしまったのか。 どうやら王冠の方に何かがおこったら知らせる仕掛けをしていたようだな)
「グラディスどの、これは......」
「ええ、隠蔽の魔法...... でしょうね」
「ですが、この魔法が使えない城でそのようなことなど不可能では?」
マーザルスは怪訝そうな顔でグラディスに聞いた。
「......かつて十三魔王の一人がそのような魔法を使ったそうです。 ですから方法がないというわけではないでしょう。 一度、城の排除魔法を止めてください」
「わかった! 魔法を止めよ!」
「そして兵士たちに隙間なく輪の壁を二重、三重につくらせ、それを少しずつ狭めていく。 そして、兵士にほころびができたところを槍でついてください」
グラディスがそう指示した。
「よし! お前たち輪になってゆっくり中央へ進め!」
(やばい、どうする! 魔法を使ったら姿がばれる...... 帰ってディンに二つ目の願い...... ダメだ間に合わん!)
ネメイオがこちらに気づいた。
「サキミ! この輪が中央にきたとき、私が魔法を使って気を引くから、あの王冠を奪って逃げなさい!」
「そんなことできるか! まってろ! なんか考える!」
(えーと...... 何かないか)
近くを見回す。 兵士たちが多くいて中央をつぶさに見ていると、その腰には護身用とみられる短刀を身に付けている。
(よし! あれだ!)
兵士たちの腰につけた短刀を数人からこっそり抜いた。
「いいか、俺が合図したら、崩れた隊列の間を抜けろ!」
そういって低い姿勢になると、ネメイオの後ろにいる兵士の足めがけて二本、短刀を投げる。
「なっ!」
一本が刺さり、後ろの兵士が体を曲げた。 その瞬間、その前に槍が突き立てられる。
「なにもいません!」
「なんだと!! いない?」
「槍が引かれたらそこを抜けろ!」
移動して、ネメイオと逆の二番目の輪の兵士の足に短刀を投げた。
「ぐわっ!」
ネメイオは槍が引かれたときに、その隙間壁を抜けた。
「二番の壁が!!? それにこれはわが兵士の短刀!!」
マーザルスが驚いている。
ーー瞬きより早く、その光輝く汝は貫くーー
「ライトニングサークル」
ヤバイという間もなく、グラディスの雷魔法が輪の兵士ごと貫いた。
「ぐわあああああ!!」
「きゃああああ!!」
兵士たちとネメイオが倒れる。
「なにをされます!! グラディスどの!!」
「賊をとらえるためです。 もしかしたらもう一人いるかもしれません...... 部屋の入り口を」
ーー光よ、瞬き流れ、その輝きを束ねよーー
(更に)
ーー光よ、瞬き流れ、その輝きを束ねよーー
「シャインストライクサイクロン」
双魔の腕輪を使って二つの魔法を同時に放つと、マーザルスとグラディスたちを吹き飛ばす。 落ちた王冠を拾うと倒れたネメイオに駆け寄る。
「な、急に現れた! それにこの魔法なんて威力だ! 貴様は何者!」
マーザルスが俺にそういった。
「お前はディンプルディといた...... やはりまだ生きて......」
隠蔽の魔法がとけグラディスと目があった。
「おいネメイオ! こいつの使い方教えてくれ!」
「か、かして......」
雷を浴びてふらふらのネメイオが王冠を両手にもつ。
「く! 逃がしません!!」
ーーその...... 偉大なる力を...... もって、我らの...... 身を...... 彼方へと...... 誘え......ーー
グラディスが放った巨大な氷塊が俺たちをつつんだ。
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