異世界アパートを取り戻す! ~魔王と俺の大冒険~

曇天

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第四十話

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 アズレイ不動産につくと、ネメイオはいなかった。 代わりに小太りのおっさんがでてきた。

「おっさん、ネメイオは?」

「誰がおっさんだバカもの! 私はアズレイ不動産の社長アズレイだぞ!」 

「お主が依頼人か」

「依頼人...... ああ、お前たちが冒険者ギルドのやつらか」

(態度悪いな)

「その上、あんたんとこにアパートの管理費を払ってるお得意様だよ」

「あの建物の...... まあ格安にしておいたんだ。 恩は感じなくていいぞ」
 
 そういって懐から扇子のようなものを取り出しあおいだ。

(このおやじ!! ぶっとばしてやろうか)

「それでアズレイとやら、護衛とはどういうことだ」

 ディンが聞いた。

「ああ、最近わしの家が何者かに侵入されてな。 何とか警備のおかげでなんを逃れたが、その時これを張り付けていってな」

 そういって紙を一枚机から取り出した。

『貴殿の持つ【ドレインリング】をもらいうける、明後日の夜、 ロイヤルシーフ』

 その紙にはそうかかれていた。

「ドレインリングってなんだ?」

「これだ。 この指輪だ」

 そう指にはめた指輪をみせた。

「周囲から魔力をえる指輪だ」

 ディンがそういうと、アドレイはうなづく。

「大枚はたいて買った指輪だ。 それを盗もうとは許せん!」

「盗人か...... そういやまえにギルドでそんな話を聞いたな」

「ロイヤルシーフとは怪盗です」

 ドアがあいて、ネメイオがはいってきた。

「ネメイオ、詳しくはなせ。 宵月ならしっはおるが、ロイヤルシーフなど、わしはよくは知らん」

「はい、社長」

 ネメイオが手にもった袋をアズレイに渡した。 じゃらじゃらと音がする。 どうやらお金がはいっているようだ。

「むほほ、ではお前たちにわしの護衛を命ず」
  
 にやついて袋を大切にもっている。

「まあ、まて、ここじゃ危険なんだろ。 うちのアパートにきてもらう。 そこには仲間もいるしな」

「ふーむ、しかし......」

 アズレイは難色を示した。

「お前の金、全部とられてもいいのか」

「うっ...... だが! 護衛費以外びた一文はらわんからな! ほれ、これに署名しろ」

 そう机の上においていた契約書を見せてくる。

「なになに、期日内、護衛以外の金銭は受けない。 財産も保護する。 かすり傷ひとつでもつけられた場合、一切の護衛料金は受け取らない。 なおかつ護衛料金の返金と慰謝料を払うものとする......」 

(強欲な野郎だ)

 俺はため息をついて署名する。

「これでいいか」

「ふむふむ、よかろう! さあ案内しろ」

「それで、明後日の夜までってことか」

「この怪盗とやらは予告状をだして、それ通りに遂行するらしいのです」 

 ネメイオはそういった。
 
(なんでわざわざ予告状なんだ?)

「でネメイオはどうすんだ?」

「わたしも同行します」

「ネメイオ、その部屋代は払わんぞ」

 そうアズレイがいう。

(このおやじ!!!)

「かまいません。 仕事のうちですので」 

 おっさんを連れてアパートに戻った。


「まあ、まあだな。 ボロいがまあ我慢できる。 タダだからな。 わしの私兵も配置した。 まあ怪盗など恐れるに足りん」

「そうか。 それよりサキミだいじょうぶか?」

 俺はアズレイの財産、金のはいった袋を私兵たちと山ほど背負っていた。

「ふぎぃ、はぁはぁ、はぁ」

「そこにおけ、全部わしのもんだ」

 そういってひとつずつおしいれへとおいている。

「ふぅ、現金かよ」 

「当たり前だ。 誰も信じられんからな。 こうやって手元に置くのが一番だ。 いいか! この中の一枚でも奪われたら、護衛料は払わんからな」
 
「わかってるよ...... つまりしあさっての朝までだな」

「そうだ! それまで一切のものを近づけるなよ! がははははっ」

 そう横柄な物言いでアズレイはわらう。


「とりあえずあいつは埋めるか......」

「気持ちはわかるが、仕事は仕事だ、がまんせい。 それに怪盗を捕まえたとなれば、ここの安全性は担保されよう」

 ディンがそういう。

「まあな...... 気がすすまんが、しかたない」

「すみません...... わが社長が」

 そうネメイオが頭を下げる。

「お前よくあんなの下で働けるな」

「まあ、お仕事なので......」

「それにしても、怪盗ロイヤルシーフとはなんなのだ?」

「ここ最近現れた盗賊ですね。 予告状をだし希少なアイテムや財宝、金品を盗み出しています」

「ふーん、でも予告なんてなんでだすんだ? 警戒されるだけだろ」

「さあ、一応の礼儀らしいですね」

 ネメイオも首をかしげる。

「礼儀をわきまえてるなら、そもそも盗むなよ」

「まったくだな。 それでネメイオそいつはどんな者なのだ?」

「よくは...... ここ数年、富豪、王族、犯罪組織などから盗んでいるという者としか......」

「まあ、あのおっさんはそれに狙われているということか......」

 俺たちは不本意だが、任務を続けた
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