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最終話
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そこは巨大な空間で天井も見えない。 巨大な円柱が立ち並び神殿のようでもあった。
(ナドキエの神殿みたい)
「ヒカリ......」
ペイスがそう小声でいう。
目の前に目をつぶった見上げるほどの巨大な人がいる。 その姿は上半身は女性で下半身は蛇がとぐろを巻く姿だった。
私たちが近づくと、巨大な女性は目を開けず口を開いた。
「そこにいるのは何者です......」
その声は静かで穏やかだった。 しかしどこか哀しげでもあった。
「あなたがティフォン。 話があるの」
「なぜ私の名を...... そうナドキエね。 それでなにようです」
「スタンピードをやめてほしいの」
「......それはできません。 ナドキエに話を聞いたのならわかるでしょう」
「ええ、幾度もの滅びを繰り返している......」
「......そうです。私たちは人間がいつか滅ばぬようになることを信じ永きにわたりそれを見てきましたが、結果はいつも同じ......」
「でも同じ様に滅ぼすなら、ほうっておけばいいんじゃないのか」
カンヴァルがそういうと、ティフォンはまゆをひそめる。
「問題は魔力によって魂の変容をきたすということです...... 魂が変容すればもう生まれ変わることも昇天することもできません。 いずれこの世界は何も生まれない世界へとなるでしょう。 私の与える滅びならば新しい生命が生まれるのです」
「それでも私たちは生きたいんです!」
「信じて!」
ムーサとヘカテーは叫んだ。
「......残念ですが、魔法技術の進歩はここから飛躍的に高まるでしょう。 遺跡をいくつ壊しても、また同じように作られてしまう。 人の飽くなき探求心や欲望を止めることはできませんから」
諦めたようにティフォンはつぶやいた。
「仮に滅ぶとしても、それは私たちの意志ではないかしら、それをあなたが選ぶ権利などないわ」
シアリーズがそういう。
「......そうですね。 私の傲慢...... ですが何も生まれない世界に永遠に生きるのは苦痛以外なにもないのです。 わたしとてこのような姿になっても元は人、欲望もあります」
「自らのためにですか、ならばあたしたちもそうさせてもらう!」
「ええ、あなたが自らの傲慢を通すなら、私たちも通させてもらいます!」
アルテとヘスティアが強い言葉でそういった。
「無駄なこと...... あなたたちがどう足掻こうと、私を倒すことなどできません。 今ならば滅びまでの間、つかの間の平穏が訪れるでしょう。 お帰りなさい......」
「ことわる! つかの間の平穏なんかいらない! 私たちは永遠を手に入れるためにここにきたの!」
「ならばここで滅びを受け入れてもらうことになります......」
「やってみなさいよ!」
そう私がたんかをきると、ティフォンはその巨体を起こした。
「いくよ! みんな!」
みんなが散開して魔法やスキルで攻撃を加える。
「むだなこと......」
ティフォンの肩から無数の蛇の首がのびこちらに向かう。 それらと対峙する。
「来るよ!!」
「サンダーヴォルテックス!!」
「ダイダルウェーブ!」
「エアリアル!」
「ロックバレット!!」
私たちの魔法が蛇たちに当たる
「ぐっ......」
(やはり、ナドキエのいった通り、これもティフォンの体の一部......)
ティフォンはその巨大な両手を振るってきた。
「ディフェンスバリア!」
「マテリアルシールド!」
「オールフィールドガード!」
ペイスたちの魔法でそれを防ぐ、ティフォンは何度も腕を振り防御魔法を壊してくる。
「これほどとは! ヒカリそれほどは持ちません!」
ペイスが叫んだ。
「わかってる!」
(まだ! まだ覚悟が決まってない! 知覚加速を、いえ、私を信じきれてないんだ!)
ティフォンの猛攻にじりじりと前線が押し下げられる。
「あきらめなさい...... そうすれば楽に滅びを迎えられる。 なぜ抗うのです。 世とは不条理なもの、死も病も苦しみも、悲しみも運命......」
ティフォンが哀しそうにつぶやいた。
「ぐっ! ざっけんな! あんたがあきらめただけでしょ! 私たちは未来を諦めてない!」
「私は滅びを無限にみてきたのです。 さまざまな介入も試みました。 それでも運命はかえられなかった...... これが最善なのです」
「私たちはあきらめない! 未来も! 世界! みんなとの生活も!」
「もう静かに滅びなさい......」
ティフォンは閉じていた目を開けた。 すると目から炎を吹き出した。 その炎はこの巨大な部屋全てを焼き付くすほどだった。
その炎をヘカテーが作った魔法シールドの魔法球で防ぎ、二丁のガンブレードで切り裂くが私たちは吹き飛ばされた。
「ぐっ!!!」
「きゃあ......!!」
(ナドキエに聞いてたから、何とか死なすにすんだ......)
「ナドキエ...... 無駄に抗うから苦しむのです...... 運命を受け入れればそのような苦しみは避けられます」
「それはあんただけよ...... 私たちは諦めて生きることの方が苦痛なの!」
「それでも滅びはくつがえせない......」
「それはあんたの勝手な考えだっていってんの!!」
私はロキュプスクの持っていた黄金の鎌を持って駆け出した。
そして昨日ナドキエとの話を思い出す。
「でも、私の予知じゃ、いくら行動を予測しても、あなたの話を聞く限り、強大な力を持っているティフォンにはかなわない......」
「では諦めるの」
ナドキエはそういってこちらを見据える。
「いや! 必ず何か手があるはず! もしなければただ戦う! 絶対に後悔はしたくないもん!」
「そう...... それよ。 その想い」
「想い?」
ナドキエは目を閉じ少し黙ると、口を開いた。
「......あなたのスキルは予知ではないわ」
「えっ? 予知じゃない、じゃあなんなの......」
「......望まぬ未来を壊す力」
「望まぬ未来を壊す力...... それで私が危機の時、その未来が見えたの」
「そう。 でもあなたがその未来を受け入れてしまったら、その未来は確定してしまう」
「未来を受け入れる......」
「諦めよ...... あなたが自分を信じられなくなり諦めれば、その最悪の未来は訪れる」
「つまり、私が諦めなければ回避できるってこと」
私がそういうと、ナドキエは私の目をみてうなづいた。
(そう、ナドキエはいっていた...... これが未来)
さっきから私は、仲間たちの残酷な死を何度も見せられてる...... こんな未来が訪れるんじゃないかと私を惑わせる。 楽な死にかたなれそれでもいいかと迷ってしまう。
「うわぁぁぁぁあ!!」
私は巨大な鎌でティフォンの目を切り裂いた。
「ぐぅ!!」
ティフォンは目を押さえている。
「みんな蛇を攻撃!!」
「どうして諦めない! この先に苦しみしかないのに! 私をこれ以上苦しめないで!」
ティフォンの爪が仲間たちを切り裂く。
「きゃあああああ!!」
「うわぁぁぁぁ!!」
「み、みんな!」
みんながその爪でバラバラにされていく。
「やめて!! やめて!! やめ...... もうやめ......」
私はうずくまった。
(この想い、両親が死んだあのときと同じ......)
その時ティフォンに炎の弾があたった。
「あたしたちは大丈夫だ! お前の力を信じろ!」
その声にハッとする。
血だらけのカンヴァルがハンマーをふりおろし叫ぶ。
「ヒカリさん! 私たちは信じています!」
「ヒカリ! がんばって!」
ムーサとヘカテーは肩を貸しあって魔法を使い叫んでいる。
「あなたはこんなことで諦めるの!」
シアリーズは剣で蛇を切り体をささえる。
「先生! あなたが信じた私はあなたを信じます!」
「ヒカリ! 私たちはあなたの信じる未来にいます!」
アルテとヘスティアが弓を剣をもち立ち上がりそう叫ぶ。
「ヒカリ...... あなたはいつだって、私たちを信じてきたでしょう! 私たちもあなたを信じています!! だから!」
傷を負いながら片手でペイスが私の落とした銃を向けていた。
(そうだった! だめ! 最悪の未来を受け入れちゃ! 必ず未来がある!)
「自分を信じろ私! みんなが信じてくれる自分を!」
私はティフォンにかけ登りその首に鎌を振り下ろす。
「ぐぅ!! なぜ...... 諦めない...... 怖くはないの...... 先のわからない未来を......」
「諦めない! 私がアブソリュートデスデザスターライトニングバーサーカーヒカリだからよ!」
落ちながら叫んだ。 その時、空中からティフォンの前にドナキエが現れる。 私は光の球体に包まれゆっくり地面に降りる。
「ナドキエ......」
「わかったでしょ、この子たちは諦めない。 あなただって諦めてたわけじゃないでしょう......」
「私はあきらめたわ......」
「いいえ、それならあなたはなぜ、あの時残していったの」
そういわれてティフォンは目を見張る。
「まさか...... そんな」
「そうこれはあなたが残した可能性...... あなたが抗おうとした結果」
そうナドキエにいわれて、ティフォンは黙った。 そして、私の方を見つめている。
「そう...... 私が諦めてないことを認められていなかっただけなのね......」
「ええ、そう。 もう人に任せましょう...... 私たちは眠りにつくの」
「......分かったわナドキエ」
そういうと、ティフォンは哀しげにいった。
「あなたたちに任せましょう...... それとごめんなさい。 たった一人にして」
「えっ?」
それだけいうとティフォンは微笑んで目を閉じ、その体は石のようになって崩れていく。
「おやすみ...... 姉さん......」
ナドキエは地上に降り立つと、私の前に歩いてきた。
「ありがとう...... あなたたちのお陰でティフォンを苦しみから解き放ってあげられた。 私が眠りにつく前に最後の力で元の世界へ送れる......」
「戻れる...... あの世界に」
私は後ろを振り向くと、みんなの顔があった。
「いい、私はここで生きてくよ。 例え滅びが待っていたとしても抗ってみせる!」
「そう、わかったわ」
そういうと笑顔でナドキエは私の手を握った。
(この手...... 知ってる。 私の両親が死んだとき、私の前に......)
「じゃあさよなら......」
そういうとナドキエは微笑みながらその姿を消していった。
「さあ! たっべるわよ!」
「ヒカリ! そんな傷でその量を食べたら死んじゃいますよ!」
ペイスは私の皿を止める。
私たちはブレイルドに戻り、大議事堂で歓待をうけていた。
「お前! あたしのぶんまで取るな!」
「前に私のお菓子取ったでしょ!」
カンヴァルと料理を取り合う。
「騒がしい日々が帰ってきたわね」
シアリーズがそういって微笑んでいる。
「ええ、でもこれが私たちの毎日です!」
「うん!」
ムーサとヘカテーが笑顔でそういう。
「だね! あたしも自由になれて、またギルドに行ける!」
「だめですよアルテさま。 少なくともヒカリの真似をしては、せめてペイスどのの真似にしてください」
「どういう意味!! ヘスティア!」
「本当に、ありがとうございましたヒカリどのたち、スタンピードを止めてくださって、本来なら我ら全員でやらなければならぬところを、せめて傷ついたお体をおやすめください」
サモンズと、元老院のおじいちゃんたちが近づいてきて頭を下げる。
「いいよ。 それよりスタンピードに使われるはずだった魔獣の場所はわかった?」
「ええ、かなりの数をいまも古文書の分析をして遺跡を探しております」
「ありがと、それでこの国にもギルドを作りたいんだけど」
「ええ、こちらとしてもぜひお願いしたい」
そうサモンズは笑顔で答えた。
それから半年、ブレイルドのギルドの開店した。 他にも世界各国にギルド支部をつくり、私たちはモンスター討伐を行っている。
「まだ魔獣はたくさんいます。 私たちだけではいつになるか...... それに魔法技術も確かに高まってます」
ペイスがそう不安げにいった。
「うん、でもみんなに事情を話した。 各国共同で魔法技術の規定もできた! なんとかなるよ! 諦めなければね!」
「そうですね! 私たちをみんなを信じましょう!」
笑顔になったペイスを見ながら、私はギルドの外に出て呼び掛ける。
「皆さんモンスター討伐、アイテム入手、護衛、何でもご依頼くたさい!」
そういったあと、大きく息を吸い込むと、天に届くほどの声で私はいった。
「冒険者ギルド始めました!!」
(ナドキエの神殿みたい)
「ヒカリ......」
ペイスがそう小声でいう。
目の前に目をつぶった見上げるほどの巨大な人がいる。 その姿は上半身は女性で下半身は蛇がとぐろを巻く姿だった。
私たちが近づくと、巨大な女性は目を開けず口を開いた。
「そこにいるのは何者です......」
その声は静かで穏やかだった。 しかしどこか哀しげでもあった。
「あなたがティフォン。 話があるの」
「なぜ私の名を...... そうナドキエね。 それでなにようです」
「スタンピードをやめてほしいの」
「......それはできません。 ナドキエに話を聞いたのならわかるでしょう」
「ええ、幾度もの滅びを繰り返している......」
「......そうです。私たちは人間がいつか滅ばぬようになることを信じ永きにわたりそれを見てきましたが、結果はいつも同じ......」
「でも同じ様に滅ぼすなら、ほうっておけばいいんじゃないのか」
カンヴァルがそういうと、ティフォンはまゆをひそめる。
「問題は魔力によって魂の変容をきたすということです...... 魂が変容すればもう生まれ変わることも昇天することもできません。 いずれこの世界は何も生まれない世界へとなるでしょう。 私の与える滅びならば新しい生命が生まれるのです」
「それでも私たちは生きたいんです!」
「信じて!」
ムーサとヘカテーは叫んだ。
「......残念ですが、魔法技術の進歩はここから飛躍的に高まるでしょう。 遺跡をいくつ壊しても、また同じように作られてしまう。 人の飽くなき探求心や欲望を止めることはできませんから」
諦めたようにティフォンはつぶやいた。
「仮に滅ぶとしても、それは私たちの意志ではないかしら、それをあなたが選ぶ権利などないわ」
シアリーズがそういう。
「......そうですね。 私の傲慢...... ですが何も生まれない世界に永遠に生きるのは苦痛以外なにもないのです。 わたしとてこのような姿になっても元は人、欲望もあります」
「自らのためにですか、ならばあたしたちもそうさせてもらう!」
「ええ、あなたが自らの傲慢を通すなら、私たちも通させてもらいます!」
アルテとヘスティアが強い言葉でそういった。
「無駄なこと...... あなたたちがどう足掻こうと、私を倒すことなどできません。 今ならば滅びまでの間、つかの間の平穏が訪れるでしょう。 お帰りなさい......」
「ことわる! つかの間の平穏なんかいらない! 私たちは永遠を手に入れるためにここにきたの!」
「ならばここで滅びを受け入れてもらうことになります......」
「やってみなさいよ!」
そう私がたんかをきると、ティフォンはその巨体を起こした。
「いくよ! みんな!」
みんなが散開して魔法やスキルで攻撃を加える。
「むだなこと......」
ティフォンの肩から無数の蛇の首がのびこちらに向かう。 それらと対峙する。
「来るよ!!」
「サンダーヴォルテックス!!」
「ダイダルウェーブ!」
「エアリアル!」
「ロックバレット!!」
私たちの魔法が蛇たちに当たる
「ぐっ......」
(やはり、ナドキエのいった通り、これもティフォンの体の一部......)
ティフォンはその巨大な両手を振るってきた。
「ディフェンスバリア!」
「マテリアルシールド!」
「オールフィールドガード!」
ペイスたちの魔法でそれを防ぐ、ティフォンは何度も腕を振り防御魔法を壊してくる。
「これほどとは! ヒカリそれほどは持ちません!」
ペイスが叫んだ。
「わかってる!」
(まだ! まだ覚悟が決まってない! 知覚加速を、いえ、私を信じきれてないんだ!)
ティフォンの猛攻にじりじりと前線が押し下げられる。
「あきらめなさい...... そうすれば楽に滅びを迎えられる。 なぜ抗うのです。 世とは不条理なもの、死も病も苦しみも、悲しみも運命......」
ティフォンが哀しそうにつぶやいた。
「ぐっ! ざっけんな! あんたがあきらめただけでしょ! 私たちは未来を諦めてない!」
「私は滅びを無限にみてきたのです。 さまざまな介入も試みました。 それでも運命はかえられなかった...... これが最善なのです」
「私たちはあきらめない! 未来も! 世界! みんなとの生活も!」
「もう静かに滅びなさい......」
ティフォンは閉じていた目を開けた。 すると目から炎を吹き出した。 その炎はこの巨大な部屋全てを焼き付くすほどだった。
その炎をヘカテーが作った魔法シールドの魔法球で防ぎ、二丁のガンブレードで切り裂くが私たちは吹き飛ばされた。
「ぐっ!!!」
「きゃあ......!!」
(ナドキエに聞いてたから、何とか死なすにすんだ......)
「ナドキエ...... 無駄に抗うから苦しむのです...... 運命を受け入れればそのような苦しみは避けられます」
「それはあんただけよ...... 私たちは諦めて生きることの方が苦痛なの!」
「それでも滅びはくつがえせない......」
「それはあんたの勝手な考えだっていってんの!!」
私はロキュプスクの持っていた黄金の鎌を持って駆け出した。
そして昨日ナドキエとの話を思い出す。
「でも、私の予知じゃ、いくら行動を予測しても、あなたの話を聞く限り、強大な力を持っているティフォンにはかなわない......」
「では諦めるの」
ナドキエはそういってこちらを見据える。
「いや! 必ず何か手があるはず! もしなければただ戦う! 絶対に後悔はしたくないもん!」
「そう...... それよ。 その想い」
「想い?」
ナドキエは目を閉じ少し黙ると、口を開いた。
「......あなたのスキルは予知ではないわ」
「えっ? 予知じゃない、じゃあなんなの......」
「......望まぬ未来を壊す力」
「望まぬ未来を壊す力...... それで私が危機の時、その未来が見えたの」
「そう。 でもあなたがその未来を受け入れてしまったら、その未来は確定してしまう」
「未来を受け入れる......」
「諦めよ...... あなたが自分を信じられなくなり諦めれば、その最悪の未来は訪れる」
「つまり、私が諦めなければ回避できるってこと」
私がそういうと、ナドキエは私の目をみてうなづいた。
(そう、ナドキエはいっていた...... これが未来)
さっきから私は、仲間たちの残酷な死を何度も見せられてる...... こんな未来が訪れるんじゃないかと私を惑わせる。 楽な死にかたなれそれでもいいかと迷ってしまう。
「うわぁぁぁぁあ!!」
私は巨大な鎌でティフォンの目を切り裂いた。
「ぐぅ!!」
ティフォンは目を押さえている。
「みんな蛇を攻撃!!」
「どうして諦めない! この先に苦しみしかないのに! 私をこれ以上苦しめないで!」
ティフォンの爪が仲間たちを切り裂く。
「きゃあああああ!!」
「うわぁぁぁぁ!!」
「み、みんな!」
みんながその爪でバラバラにされていく。
「やめて!! やめて!! やめ...... もうやめ......」
私はうずくまった。
(この想い、両親が死んだあのときと同じ......)
その時ティフォンに炎の弾があたった。
「あたしたちは大丈夫だ! お前の力を信じろ!」
その声にハッとする。
血だらけのカンヴァルがハンマーをふりおろし叫ぶ。
「ヒカリさん! 私たちは信じています!」
「ヒカリ! がんばって!」
ムーサとヘカテーは肩を貸しあって魔法を使い叫んでいる。
「あなたはこんなことで諦めるの!」
シアリーズは剣で蛇を切り体をささえる。
「先生! あなたが信じた私はあなたを信じます!」
「ヒカリ! 私たちはあなたの信じる未来にいます!」
アルテとヘスティアが弓を剣をもち立ち上がりそう叫ぶ。
「ヒカリ...... あなたはいつだって、私たちを信じてきたでしょう! 私たちもあなたを信じています!! だから!」
傷を負いながら片手でペイスが私の落とした銃を向けていた。
(そうだった! だめ! 最悪の未来を受け入れちゃ! 必ず未来がある!)
「自分を信じろ私! みんなが信じてくれる自分を!」
私はティフォンにかけ登りその首に鎌を振り下ろす。
「ぐぅ!! なぜ...... 諦めない...... 怖くはないの...... 先のわからない未来を......」
「諦めない! 私がアブソリュートデスデザスターライトニングバーサーカーヒカリだからよ!」
落ちながら叫んだ。 その時、空中からティフォンの前にドナキエが現れる。 私は光の球体に包まれゆっくり地面に降りる。
「ナドキエ......」
「わかったでしょ、この子たちは諦めない。 あなただって諦めてたわけじゃないでしょう......」
「私はあきらめたわ......」
「いいえ、それならあなたはなぜ、あの時残していったの」
そういわれてティフォンは目を見張る。
「まさか...... そんな」
「そうこれはあなたが残した可能性...... あなたが抗おうとした結果」
そうナドキエにいわれて、ティフォンは黙った。 そして、私の方を見つめている。
「そう...... 私が諦めてないことを認められていなかっただけなのね......」
「ええ、そう。 もう人に任せましょう...... 私たちは眠りにつくの」
「......分かったわナドキエ」
そういうと、ティフォンは哀しげにいった。
「あなたたちに任せましょう...... それとごめんなさい。 たった一人にして」
「えっ?」
それだけいうとティフォンは微笑んで目を閉じ、その体は石のようになって崩れていく。
「おやすみ...... 姉さん......」
ナドキエは地上に降り立つと、私の前に歩いてきた。
「ありがとう...... あなたたちのお陰でティフォンを苦しみから解き放ってあげられた。 私が眠りにつく前に最後の力で元の世界へ送れる......」
「戻れる...... あの世界に」
私は後ろを振り向くと、みんなの顔があった。
「いい、私はここで生きてくよ。 例え滅びが待っていたとしても抗ってみせる!」
「そう、わかったわ」
そういうと笑顔でナドキエは私の手を握った。
(この手...... 知ってる。 私の両親が死んだとき、私の前に......)
「じゃあさよなら......」
そういうとナドキエは微笑みながらその姿を消していった。
「さあ! たっべるわよ!」
「ヒカリ! そんな傷でその量を食べたら死んじゃいますよ!」
ペイスは私の皿を止める。
私たちはブレイルドに戻り、大議事堂で歓待をうけていた。
「お前! あたしのぶんまで取るな!」
「前に私のお菓子取ったでしょ!」
カンヴァルと料理を取り合う。
「騒がしい日々が帰ってきたわね」
シアリーズがそういって微笑んでいる。
「ええ、でもこれが私たちの毎日です!」
「うん!」
ムーサとヘカテーが笑顔でそういう。
「だね! あたしも自由になれて、またギルドに行ける!」
「だめですよアルテさま。 少なくともヒカリの真似をしては、せめてペイスどのの真似にしてください」
「どういう意味!! ヘスティア!」
「本当に、ありがとうございましたヒカリどのたち、スタンピードを止めてくださって、本来なら我ら全員でやらなければならぬところを、せめて傷ついたお体をおやすめください」
サモンズと、元老院のおじいちゃんたちが近づいてきて頭を下げる。
「いいよ。 それよりスタンピードに使われるはずだった魔獣の場所はわかった?」
「ええ、かなりの数をいまも古文書の分析をして遺跡を探しております」
「ありがと、それでこの国にもギルドを作りたいんだけど」
「ええ、こちらとしてもぜひお願いしたい」
そうサモンズは笑顔で答えた。
それから半年、ブレイルドのギルドの開店した。 他にも世界各国にギルド支部をつくり、私たちはモンスター討伐を行っている。
「まだ魔獣はたくさんいます。 私たちだけではいつになるか...... それに魔法技術も確かに高まってます」
ペイスがそう不安げにいった。
「うん、でもみんなに事情を話した。 各国共同で魔法技術の規定もできた! なんとかなるよ! 諦めなければね!」
「そうですね! 私たちをみんなを信じましょう!」
笑顔になったペイスを見ながら、私はギルドの外に出て呼び掛ける。
「皆さんモンスター討伐、アイテム入手、護衛、何でもご依頼くたさい!」
そういったあと、大きく息を吸い込むと、天に届くほどの声で私はいった。
「冒険者ギルド始めました!!」
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これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
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「カンヴァルーー!」
の後のカンヴァルのセリフが自分とペイスの名前呼んでておかしい。ヒカルとペイスか、じゃないかな。
その後も誤字が続いてるので、よほど慌ててたのかな。