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第一話
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「くっ! まあいいわよ。 またいちからやってやる! やってやるんだからーーー!!」
私の声は、見たことのない景色と青く澄んだ空に響いた。
そう私は厳霊 光《ごんりょう ひかり》高校生だった。 だったというのは、この異世界に転移したからだ。 否、させられたからだ。
それは今から少し前のことだった。
「ヒカリ、あなたはこの世界の人間ではありません。 異世界の人間なのです」
目の前の金の杖を持ち薄い布をまとったコスプレ美少女が話す。 私は驚いた。 それは異世界というパワーワードにではなかった。
「いや、その前にあなただれ!? ここ私の部屋なんだけど!」
私の部屋でどや顔してる緑の長い髪の少女にいった。
「私はナドキエ、人は私を女神と呼んでいます」
「女神って...... へー、神様っているんだね。 ビックリした」
「......そのわりには冷静ですね」
確かに神様ってこと以外驚きはしなかった。 私には普通では考えられない特殊な力があったからだ。 その力のおかげで里親だった両親が亡くなりながら、この世界で生きてこれたのだ。
「それで、何のようなの? 特に叶えてほしいこともないよ、お金以外」
「......あなたは理を外れた力により、この世界へとわたってきた異世界人なのです。 ですのであなたを異世界に戻します」
「はぁ!? いやだよ! ここで生活できる状態になるまで、どれだけ大変だったと思ってんのよ!」
「それは残念ですが、元の世界にもどすしかありません」
「そんな! 私のせいじゃないのに! いや! いやだ!」
ぎゃあぎゃあわめいてみるも、女神はその整った顔を全く崩さず、こちらを見ている。
(くぅ! ならば!)
「で、でも、この世界に...... 大切なお友達とか、恋人とか出来たから......」
そうできるだけいじらしくみせてみた。
「ええ、お友達は残念ですね...... ですが、あなたに恋人はいないでしょう。 年齢と同じ十五年という期間ね」
冷ややかな目をして女神は言い放つ。
(くっ! ばれてる! 泣き落としも無理か......)
「でもそれは見落としたそちらの過失ではなくて。 そのミスを棚にあげ、私のようなかよわい子供にいきなり異世界にいけなんて、そんな非道な行いが神様にできるの?」
「そうですね...... 確かに」
(よし! 相手の非をついた、あとは......)
「......ですが」
「えっ?」
「それはそれ、仕方ないので異世界へとお帰りください」
そういうと女神は杖を頭上にかかげた。
「まって!! そっちのミスでしょ! ひどいよ! 冷たすぎる!」
「ええ、時に悪魔のようだというものもいますね......」
そう女神が哀しげに微笑んでいうと、私の体は消え始める。
「ゆるさん! 許さんぞ! かならず第二、第三の私がよみがえり......」
そう私は魔王みたいなことを言いながら意識がなくなった。
そして目が覚めたらこの草原にいたのだ。
「あの女神め、躊躇せず飛ばしやがって...... とはいえ、きてしまったものは仕方ない。 切り替えて生存することを考えよう。 まあ私にはあの力があるし、なんとかなるでしょ」
そういつものように楽観的に考える。
(私っていつからこんなポジティブなんだっけ...... えっと確か...... 両親が事故で死んで、手の暖かいあの人が......)
「ん? 何か地響きがする」
後ろを振り向くと、カピバラのような生き物が走ってくる。
「かわいい! いや、なにこの音、えっ? おっきくない! でかい! めちゃくちゃでかい!!」
熊のような大きさのネズミが迫ってくる。
「うわああああああ!!」
私は逃げるが、背後からどんどん地面を揺らし迫ってくるのがわかる。
(ヤバい!! 異世界が始まってすぐ終る!! だめだ! よし!)
振り返りよくみて、タイミングをはかりギリギリかわす。
(とりあえず、顔を!)
返す刀で鼻辺りを殴った。 すると驚いたのかその大きなネズミらしき生物は逃げていった。
「......危なかった"あの力"がなければ死んでた...... いったっ!! これ指折れてないよね!」
赤くなった手をフーフーしていると、遠くから声が聞こえる。
「おーい!! 大丈夫か!」
そういって鎧をきて槍をもつ二人の男の人が走ってやってきた。
(言葉がわかる。 助かった。 でもこの人たちの姿......)
「それにしても素手でラージマウスを追い払うとは......」
「それで君は見かけない姿だが、他の国の人かね」
(言葉はわかる! ここは一応......)
「ええ、実は記憶がさだかではないんですの、体も弱くて、コホン、コホン」
わざとらしくせきをしてみせた。
(クックック、このかよわい私をみて、さあ!!)
「体が弱くてあんなモンスターを追い払えるかな......」
男の人の一人が首をかしげた。
(ま、まずい、疑われてる! な、なぜ!?)
「ま、まあ記憶がないのは大変だしな。 とりあえず町まで連れていこう」
(助かった...... えっ、今モンスターって言ったよね!? 異世界とは聞いてたけど、そんなファンタジーな世界なわけ!)
とにかく二人に町までの間に色々聞く。
この人たちは町を警護する兵士で、この世界には魔力で生まれるモンスターという化物がいて、かなりの驚異だということ、ここはネスラシアという大陸のバールレ王国という国の片田舎だということを聞いた。
(モンスターがいる世界か...... 危険だけど、リスクにはリターンのチャンスあり! この世界を知らない私でも生きていく手段はありそう。 いしし)
その日から私の異世界サバイバルがはじまった。
私の声は、見たことのない景色と青く澄んだ空に響いた。
そう私は厳霊 光《ごんりょう ひかり》高校生だった。 だったというのは、この異世界に転移したからだ。 否、させられたからだ。
それは今から少し前のことだった。
「ヒカリ、あなたはこの世界の人間ではありません。 異世界の人間なのです」
目の前の金の杖を持ち薄い布をまとったコスプレ美少女が話す。 私は驚いた。 それは異世界というパワーワードにではなかった。
「いや、その前にあなただれ!? ここ私の部屋なんだけど!」
私の部屋でどや顔してる緑の長い髪の少女にいった。
「私はナドキエ、人は私を女神と呼んでいます」
「女神って...... へー、神様っているんだね。 ビックリした」
「......そのわりには冷静ですね」
確かに神様ってこと以外驚きはしなかった。 私には普通では考えられない特殊な力があったからだ。 その力のおかげで里親だった両親が亡くなりながら、この世界で生きてこれたのだ。
「それで、何のようなの? 特に叶えてほしいこともないよ、お金以外」
「......あなたは理を外れた力により、この世界へとわたってきた異世界人なのです。 ですのであなたを異世界に戻します」
「はぁ!? いやだよ! ここで生活できる状態になるまで、どれだけ大変だったと思ってんのよ!」
「それは残念ですが、元の世界にもどすしかありません」
「そんな! 私のせいじゃないのに! いや! いやだ!」
ぎゃあぎゃあわめいてみるも、女神はその整った顔を全く崩さず、こちらを見ている。
(くぅ! ならば!)
「で、でも、この世界に...... 大切なお友達とか、恋人とか出来たから......」
そうできるだけいじらしくみせてみた。
「ええ、お友達は残念ですね...... ですが、あなたに恋人はいないでしょう。 年齢と同じ十五年という期間ね」
冷ややかな目をして女神は言い放つ。
(くっ! ばれてる! 泣き落としも無理か......)
「でもそれは見落としたそちらの過失ではなくて。 そのミスを棚にあげ、私のようなかよわい子供にいきなり異世界にいけなんて、そんな非道な行いが神様にできるの?」
「そうですね...... 確かに」
(よし! 相手の非をついた、あとは......)
「......ですが」
「えっ?」
「それはそれ、仕方ないので異世界へとお帰りください」
そういうと女神は杖を頭上にかかげた。
「まって!! そっちのミスでしょ! ひどいよ! 冷たすぎる!」
「ええ、時に悪魔のようだというものもいますね......」
そう女神が哀しげに微笑んでいうと、私の体は消え始める。
「ゆるさん! 許さんぞ! かならず第二、第三の私がよみがえり......」
そう私は魔王みたいなことを言いながら意識がなくなった。
そして目が覚めたらこの草原にいたのだ。
「あの女神め、躊躇せず飛ばしやがって...... とはいえ、きてしまったものは仕方ない。 切り替えて生存することを考えよう。 まあ私にはあの力があるし、なんとかなるでしょ」
そういつものように楽観的に考える。
(私っていつからこんなポジティブなんだっけ...... えっと確か...... 両親が事故で死んで、手の暖かいあの人が......)
「ん? 何か地響きがする」
後ろを振り向くと、カピバラのような生き物が走ってくる。
「かわいい! いや、なにこの音、えっ? おっきくない! でかい! めちゃくちゃでかい!!」
熊のような大きさのネズミが迫ってくる。
「うわああああああ!!」
私は逃げるが、背後からどんどん地面を揺らし迫ってくるのがわかる。
(ヤバい!! 異世界が始まってすぐ終る!! だめだ! よし!)
振り返りよくみて、タイミングをはかりギリギリかわす。
(とりあえず、顔を!)
返す刀で鼻辺りを殴った。 すると驚いたのかその大きなネズミらしき生物は逃げていった。
「......危なかった"あの力"がなければ死んでた...... いったっ!! これ指折れてないよね!」
赤くなった手をフーフーしていると、遠くから声が聞こえる。
「おーい!! 大丈夫か!」
そういって鎧をきて槍をもつ二人の男の人が走ってやってきた。
(言葉がわかる。 助かった。 でもこの人たちの姿......)
「それにしても素手でラージマウスを追い払うとは......」
「それで君は見かけない姿だが、他の国の人かね」
(言葉はわかる! ここは一応......)
「ええ、実は記憶がさだかではないんですの、体も弱くて、コホン、コホン」
わざとらしくせきをしてみせた。
(クックック、このかよわい私をみて、さあ!!)
「体が弱くてあんなモンスターを追い払えるかな......」
男の人の一人が首をかしげた。
(ま、まずい、疑われてる! な、なぜ!?)
「ま、まあ記憶がないのは大変だしな。 とりあえず町まで連れていこう」
(助かった...... えっ、今モンスターって言ったよね!? 異世界とは聞いてたけど、そんなファンタジーな世界なわけ!)
とにかく二人に町までの間に色々聞く。
この人たちは町を警護する兵士で、この世界には魔力で生まれるモンスターという化物がいて、かなりの驚異だということ、ここはネスラシアという大陸のバールレ王国という国の片田舎だということを聞いた。
(モンスターがいる世界か...... 危険だけど、リスクにはリターンのチャンスあり! この世界を知らない私でも生きていく手段はありそう。 いしし)
その日から私の異世界サバイバルがはじまった。
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