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第五十五話

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 冒険者たちは一様にその場に座り込む。 疲労困憊のようだ。

「君たちは冒険者か、ありがとう......」

 疲れきった顔で騎士の姿の男が話かけてきた。

「ああ、まずポーションで回復を、アンナも頼む」

 俺たちはフルポーションを冒険者たちに渡した。

「ああ、助かった...... ここまで来るまでポーションも使いきってしまっていたからな」

 男はディランド、アルバス王国騎士団団長でこのパーティーのリーダーだった。 

「完全に私のミスだ...... あの時バルバロ様の命を、やはり何としても拒否するべきだった」

 どうやら冒険者を雇えなくなったバルバロに、無理矢理連れてこられたらしい。

「まさか、バジリスクまでいるとはな...... 知っていれば、対策をしていたのだが、部下たちには申し訳なかった......」

 そう沈んだ顔で石になった騎士たちをみる。

「石になったものはもう戻らないしな。 どうする? いちるの望みにかけてみる?」

「どういうことだ!? まさかよみがえらせる方法があるのか!!」

 ディランドは興奮気味に俺の肩をつかんだ。

「いてて、でも死んでるかもしれないから、成功するかはわからないよ」

「かまわない! このままでも一緒だ!」

 俺は石像に触れる。

(取引《トレード》一応試す。 リストに騎士アルベルト...... これか10万」

 石像が光り輝く。 すると目の前の石像が騎士へと変化した。

「うっ......」 

「おっ! 生きてる! 成功した」

「おおお! アルベルト!!」

(よし、成功した。 他の人も......)

 それから、石像になったものたちを次々ともとに戻した。



「助かりましたぞコウミどの! このご恩一生忘れません!」

 騎士団と冒険者たちが頭を下げた。

「それで、伝説の剣を探しにきたんだろ。 あったの?」

「ええ、奥の台座に刺さっていました...... それに近づいたときあのバジリスクにおそわれ......」

 後ろの台座にはなにもなかった。

「ないぞ...... どこに! ん? そういやバルバロもいない...... まさか」

 その時、きた方向から悲鳴が聞こえた。

 俺たちが向かうとバルバロはムカデのモンスターの前に倒れていた。

 ディランドがムカデを一閃したおした。

「うっ......」  

 バルバロは重傷で、もう助からないのは明白だった。

「ちっ、まだ生きてやがる」

「なにいってんの!? もう死ぬわよ! 回復も間に合わない! 早く!」

 アンナに言われてしぶしぶ取引《トレード》を行う。

「えーと、バルバロは100...... こいつ貴族の癖に魔力もないのか、まあ死にかけの実験台だと思おう」

 俺は取引でバルバロを治した。

「はっ! ここは......」

「おい、その剣さっさと渡せ」

 剣をバルバロから奪い取る。

「貴様はいつぞやの!! それは私のものだ! 私は貴族だぞ! それを返せ!」

「えい!!」

「ぎゃ!!」 

 容赦なく、バルバロの顔面をぶん殴った。 

「貴様なにをする!? へぶっ!!」

 二回目をぶちかました。

「やめて...... ぶほっ!!」

 三回目をうちこんだ。

「もうやめなさい!」

 アンナに止められる。

「がふっ、こ、こんなことをして、た、ただで、済むと思うな。 お前たちなにをみておる! この者を捕らえぬか!」

 顔を張らし鼻血をだしながら、バルバロは騎士達にそう命じた。

「......残念ながら、バルバロさまそれはできかねます」

「へっ......」

「あなたは私たち騎士団に、これは国の命と無理にここに連れ出しました。 しかしコウミどのの話では、ヴィンドアンさまはそのような命をだしておらぬご様子、これはどういうことですか」

「そ、それは......」

「コウミどのは我ら騎士団の救出とバルバロ様の拘束をヴィンドアンさまから依頼されてここにこられた」

「そ、そんな!」

「では、あなたのみがらは我らが拘束します。 ではコウミとの、アンナどの失礼します」

 騎士たちはバルバロを俺がだした縄をかけた。

「ま、まて...... これは何かの間違い、剣を手に入れたのは私だぞ! 私の剣だぞぉぉぉ!!」

 最後まで見苦しく抵抗しながら、冒険者とディランドたちに引きずられつれていかれた。

「終わったな......」

「なんで三発も殴ったの?」

「一発目は腹が立ったから、二発目は更正させるため、三発目は特に理由はない」

 俺がそういうとアンナはため息をついて歩きだした。
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