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第五十二話
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「依頼をうけるの? この間死にかけたばかりなのに」
俺たちがギルドで依頼をうけ遺跡へと入ると、アンナは非難めいたようにいう。
「それはいわないで...... あれは、ちょっと調子に乗っただけだよ。 実は実戦で試したいことがあるんだ。 この間マルリッチに試したかったが...... モンスター以外も取引《トレード》しておきたいんだ」
「マルリッチ ......それってターナのことね」
「ああ、他の生物ならどうなるかとか、いままで虫ぐらいしか試せてないしな。 それに依頼をこなして名前を売りたい」
「もうAクラス冒険者よ。 私たち」
「ああ、たが冒険者として名を挙げたことで、グナトリアの人口は増えている。 土地と水と食料も確保でき、あとは人を増やすだけだからな」
「まあ国を強化した方が安全ね...... わかったわ。 ただもう無茶な取引はやめてよね」
俺たちは遺跡内を進む。 現れてくるモンスターを倒し取引《トレード》で魔召石をつくる。
「あれとかげよ!」
アンナにいわれてみると壁を小さなとかげがはっていた。
「よし!」
そのとかげを捕まえ、取引《トレード》してみる。 ポーションへと変えられた。
「普通の生物も魔力が含まれていたなら、やはり変換可能か...... 問題は人だな」
「さすがにそれは試せないわ...... まさかここにきたのって!?」
「ああ、ここには遺体があるってきいたからきた」
「ちょっと! さすがにそれは!」
アンナが慌てる。
「この遺跡を作った古代人は死んだあと神へと戻すために、その遺体を放置して、モンスターや動物に葬らせる風習があったらしい。 ほらあそこにある」
台の上にボロボロになった骨だけの遺体がある。
「それを取引《トレード》につかうの? さすがにクズね......」
「ありがとう」
「ほめてないわ。 でも骨を変換しても物質と同じじゃないの?」
「ああ、だがホカホカの遺体なんて、モラル的に取引《トレード》できないだろ」
「そういう感覚があってくれて、ちょっとほっとしたわ」
アンナが胸に手をあてていった。
「それと気になることがある。 まあみててくれ、この骨は魔力値50だ。 取引《トレード》!」
骨が草に変わった。
「草? これはラーク草ね。 これがなに?」
「おかしいだろ? さっきの骨は50、ラーク草は2だ」
「あれ? 残りの魔力は?」
「ああ、俺はずっと取引《トレード》してて違和感があった。 ぴったり魔力を交換するなんてできない残った魔力が消えてしまう」
「考えたこともなかったわね...... だいたい最大まで変えてたから...... でもそういうもんじゃないの?」
「まあな。 残りは大気に拡散するとかかもしれない...... それともうひとつ、葉っぱをよくみてくれ」
「普通の草よ。 ツヤツヤしてて...... えっ?」
「そうだ。 ツヤツヤしてる。 つまりまだ生きている」
「なら、生きているものへ交換できるってこと!?」
「正直、生き物も交換リストにはあった。 さすがに食品なんかは必要ないからからやったことないからな」
「生き物まで取引《トレード》できるのね...... ということは!?」
「ああ肉体も可能かもしれないということだ。 リストにはでてないけどな」
「だったら、やっぱりターナも可能かしら!」
「うむ、それをこれからいろいろ試さないといけない......」
「試すってどうやって?」
「来たぞ」
遺跡奥から、ガシャガシャと金属がすれる音がする。
「ガガ...... ガギギ......」
暗がりから鎧を着た骸骨たちが六体ほど歩いてくる。
「スケルトン!!」
「遺体に魔力が集まってモンスター化したやつらしいな。 アンナはとりあえず手を出さないでくれ」
「一人でスケルトン六体は無茶よ!」
止めるアンナを振り切ってスケルトンへと突っ込む。 蒼氷球を投げつけた。 一体のスケルトンを一瞬で凍らせた。
(リリンに強化してもらった蒼氷球だ! そしてスケルトンに......)
「取引《トレード》! 魔力値2000、よし更に強化した赤爆球に取引《トレード》!!」
スケルトンを赤爆球に交換してその場で爆発させた。 近くにいたスケルトンは吹き飛んだ。
「危ない!!」
アンナのその声で、前を見ると爆煙の中から剣が振るわれ、俺の腕が斬られた。
「ぐっ! いてぇ! くそ!」
その腕をつかみ、取引《トレード》でスケルトンを魔召石に変えた。
「大丈夫!?」
アンナが走って近づいた。
「何でこんな無茶を! まっていまポーションを!」
「いや、ちょうどいい、これも試したかったんだ......」
俺は流れ出る血をハイポーションでとめ、血を媒介に取引《トレード》で確認する。
「......魔力値100、150、だいたい500か。 そして取引《トレード》俺の血!」
俺の流れていた血が血の球へと変換され地面に落ちた。
「落ちた血魔力値500、ほぼ同じか」
「それって......」
「ああ、肉体も変換できるし、同じものにも変えられるってことだ。 ...... 痛い」
呆れるアンナをみながら、確信をえた。
俺たちがギルドで依頼をうけ遺跡へと入ると、アンナは非難めいたようにいう。
「それはいわないで...... あれは、ちょっと調子に乗っただけだよ。 実は実戦で試したいことがあるんだ。 この間マルリッチに試したかったが...... モンスター以外も取引《トレード》しておきたいんだ」
「マルリッチ ......それってターナのことね」
「ああ、他の生物ならどうなるかとか、いままで虫ぐらいしか試せてないしな。 それに依頼をこなして名前を売りたい」
「もうAクラス冒険者よ。 私たち」
「ああ、たが冒険者として名を挙げたことで、グナトリアの人口は増えている。 土地と水と食料も確保でき、あとは人を増やすだけだからな」
「まあ国を強化した方が安全ね...... わかったわ。 ただもう無茶な取引はやめてよね」
俺たちは遺跡内を進む。 現れてくるモンスターを倒し取引《トレード》で魔召石をつくる。
「あれとかげよ!」
アンナにいわれてみると壁を小さなとかげがはっていた。
「よし!」
そのとかげを捕まえ、取引《トレード》してみる。 ポーションへと変えられた。
「普通の生物も魔力が含まれていたなら、やはり変換可能か...... 問題は人だな」
「さすがにそれは試せないわ...... まさかここにきたのって!?」
「ああ、ここには遺体があるってきいたからきた」
「ちょっと! さすがにそれは!」
アンナが慌てる。
「この遺跡を作った古代人は死んだあと神へと戻すために、その遺体を放置して、モンスターや動物に葬らせる風習があったらしい。 ほらあそこにある」
台の上にボロボロになった骨だけの遺体がある。
「それを取引《トレード》につかうの? さすがにクズね......」
「ありがとう」
「ほめてないわ。 でも骨を変換しても物質と同じじゃないの?」
「ああ、だがホカホカの遺体なんて、モラル的に取引《トレード》できないだろ」
「そういう感覚があってくれて、ちょっとほっとしたわ」
アンナが胸に手をあてていった。
「それと気になることがある。 まあみててくれ、この骨は魔力値50だ。 取引《トレード》!」
骨が草に変わった。
「草? これはラーク草ね。 これがなに?」
「おかしいだろ? さっきの骨は50、ラーク草は2だ」
「あれ? 残りの魔力は?」
「ああ、俺はずっと取引《トレード》してて違和感があった。 ぴったり魔力を交換するなんてできない残った魔力が消えてしまう」
「考えたこともなかったわね...... だいたい最大まで変えてたから...... でもそういうもんじゃないの?」
「まあな。 残りは大気に拡散するとかかもしれない...... それともうひとつ、葉っぱをよくみてくれ」
「普通の草よ。 ツヤツヤしてて...... えっ?」
「そうだ。 ツヤツヤしてる。 つまりまだ生きている」
「なら、生きているものへ交換できるってこと!?」
「正直、生き物も交換リストにはあった。 さすがに食品なんかは必要ないからからやったことないからな」
「生き物まで取引《トレード》できるのね...... ということは!?」
「ああ肉体も可能かもしれないということだ。 リストにはでてないけどな」
「だったら、やっぱりターナも可能かしら!」
「うむ、それをこれからいろいろ試さないといけない......」
「試すってどうやって?」
「来たぞ」
遺跡奥から、ガシャガシャと金属がすれる音がする。
「ガガ...... ガギギ......」
暗がりから鎧を着た骸骨たちが六体ほど歩いてくる。
「スケルトン!!」
「遺体に魔力が集まってモンスター化したやつらしいな。 アンナはとりあえず手を出さないでくれ」
「一人でスケルトン六体は無茶よ!」
止めるアンナを振り切ってスケルトンへと突っ込む。 蒼氷球を投げつけた。 一体のスケルトンを一瞬で凍らせた。
(リリンに強化してもらった蒼氷球だ! そしてスケルトンに......)
「取引《トレード》! 魔力値2000、よし更に強化した赤爆球に取引《トレード》!!」
スケルトンを赤爆球に交換してその場で爆発させた。 近くにいたスケルトンは吹き飛んだ。
「危ない!!」
アンナのその声で、前を見ると爆煙の中から剣が振るわれ、俺の腕が斬られた。
「ぐっ! いてぇ! くそ!」
その腕をつかみ、取引《トレード》でスケルトンを魔召石に変えた。
「大丈夫!?」
アンナが走って近づいた。
「何でこんな無茶を! まっていまポーションを!」
「いや、ちょうどいい、これも試したかったんだ......」
俺は流れ出る血をハイポーションでとめ、血を媒介に取引《トレード》で確認する。
「......魔力値100、150、だいたい500か。 そして取引《トレード》俺の血!」
俺の流れていた血が血の球へと変換され地面に落ちた。
「落ちた血魔力値500、ほぼ同じか」
「それって......」
「ああ、肉体も変換できるし、同じものにも変えられるってことだ。 ...... 痛い」
呆れるアンナをみながら、確信をえた。
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